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【創作】絵本用ストーリー『だから星は回ってる』

【創作】絵本用ストーリー『だから星は回ってる』

子どもたちによみきかせをしていた時期に思いついたお話です。
漫画にするには難しかったので、絵本形式のテキスト(ちょっとだけラフ絵もあります)でお見せすることにしました。少しでもお楽しみいただけたら幸いです。

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「だからほしはまわってる」 作:岩泉舞
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あるひ、よにんのせいとが、こうちょうしつに よばれました。

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のぼっていく・・・。

彼は山登りが趣味というわけではなかった。
それどころか山に登った事など殆ど無く幼い頃に両親に連れられて観光地化
している低い山に登った程度だという。
それなのに、彼はなぜ急に山に登りたくなってしまったのか?
ちょうどその頃は決算月という事で仕事がかなり立て込んでおり、彼も他の同僚と
同じように徹夜で仕事を何とかこなしている感じだった。
ただ、彼の場合、他の人よりも担当する仕事が多かったのかもしれな

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酒に溺れる

酒に溺れる

仕事で愛知へ移住した大島さん。最初は慣れない土地に苦労したが、気づけば愛知に魅入られていた。理由は名産の地酒と乙川人形と言う
郷土人形に出会ったことだ。帰宅後は真っ先に酒瓶の蓋を開け、棚に飾った人形達を眺めた。凝り性な大島さんはこの二つにハマり、妻も呆れていた。ある日、妻と骨董市へ行き、顔見知りの店に入った。

陳列された人形を眺めていると、一風違う恵比寿人形が目に入った。表情は笑顔だが、顔はほん

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四半世紀前のキャプテン翼オンリーイベントの思い出

四半世紀前のキャプテン翼オンリーイベントの思い出

初めてのオンリーイベントに参加したのは、私が中学1年生の時でした。(四半世紀前ってタイトルに書いたけど、正確には今からもう29年も前になるのね……。)

私が同人誌の存在を知ったのは、たまたま運良く(運悪く?)地元の古本屋さんでキャプテン翼のアンソロジーを手に取ったからでした。(これはなんだろう…?このユニフォーム、多分翼君……だよね??)翼君と日向君だとおぼしきイラストが書かれた本を見つけ、なん

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綺麗なまま・・・。

「死ぬ時には綺麗なまま死にたいの」
それが彼女の口癖だった。
事故で体が潰され血まみれになって死ぬのも嫌だし、病気でガリガリに
痩せ細って死ぬのも嫌!
理想的な死に方は眠ったまま痛みも感じずに死んでいく事。
友達と飲みに行ったりして酔いが回ると必ず彼女はそんな言葉を口にしていた。
せっかく楽しく飲んでいるのにどうしていつもそんな話をするのよ?
と窘められても彼女は更にこんな言葉を付け加えた。
どれ

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山小屋の中で

とある大学の山岳部の学生4人が冬山に登っていた。
計画もしっかりと立てていたし天候も十分に考慮しての登山だった。
山を登り始めて2日間はとても順調だった。
しかし、3日目は天気予報とは大違いの酷い吹雪になった。
テントを張れる状態でもなく雪洞を掘る体力も残ってはいなかった。
彼らは次第に死を意識し始める。
それでも何とか最後の気力を振り絞りふらふらと歩き続けた。
すると、前方に小さな山小屋が姿を現

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降りて来るモノ

以前は心霊スポットマニアとそれなりに親交があった。
もう彼らとは疎遠になってしまっているが彼らに何度も同行したうえで
1つ分かった事がある。
それは、心霊スポットマニアと呼ばれる者達の殆どは、ほぼ霊感がゼロ
の者が多いのだという事だ。
つまり霊感がゼロならば実際に霊に遭遇することも無く雰囲気だけを楽しめる
のだろう。
いや、実際には霊に遭遇していてもそれに気付かない。
視えないのだから仕方ないのだ

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【取材した怪談話175】墓火

【取材した怪談話175】墓火

Aさんの義兄の地元はかなりの田舎であり、都市部では想像つかないような広さの墓地が存在する。墓地は高台の上にあり、その周りは田園風景が広がっており、見晴らしもよいところだそうだ。

この見晴らしの良さが災いしてか、義兄の小学校では『墓場で火の玉を見た』という噂が絶えることがなかった。この高台の上の墓地は近くを通る国道からもよく見えるし、小学校の登下校に使う道からもよく見えるのだ。

「帰宅途中の小学

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・・・・ました。

これはブログの女性読者さんから寄せられた話になる。
彼女は都内に住む30代のOLさん。
ちょうどその頃に格安物件を見つけて新しい賃貸マンションへと引っ越した
ばかりだった。
1人暮らしをしている彼女には少し広すぎる部屋の割に賃料が格安だった為、
何度も不動産会社に
それって事故物件じゃないんですか?
と確認したらしいがその度に担当者からは
絶対に事故物件でも瑕疵物件でもありません!
と断言されたら

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ヨミガエリ

えっ・・・・。
そう言ったきりAさんは飲んでいたコーヒーカップを持ったまま突然固まった。
その時、俺とAさん、そして姫ちゃんは行きつけの喫茶店でのんびりと
世間話に花を咲かせていたが、突然Aさんと姫ちゃんの動きが停止した。
出てきちゃいましたね?
でも、なんででしょうね?
出られるはずが無いのに・・・。
と姫ちゃんが言うと
それは分かんないけどね・・・。
でも、あれだけしっかりした封印を自分で壊せ

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使用禁止

これは仕事関係のお客さんから聞いた話になる。
彼の勤める会社は主に出版物のデザインが主な業務だ。
川沿いに建つ古い4階建てのビルの最上階にそのデザイン会社は入っている。
ビルはかなり老朽化が進んでおり仕事で訪問した際にはエレベーターを利用するのだが
振動や作動音が異様に大きく、このまま落下してしまわないかといつも不安に
駆られてしまう程だ。
だから俺はつい彼に聞いてしまった事がある。
あのエレベー

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