営業のK

此処では創作ホラーや長編ホラー、そしてジャンルに縛られる事なく好きなものを書いていきた…

営業のK

此処では創作ホラーや長編ホラー、そしてジャンルに縛られる事なく好きなものを書いていきたいと思います。 たとえ需要が無くても・・・・。 だから、有料でお読み頂く事は全く考えておりません。 全て無料で・・・・。 あしからず・・・・。

最近の記事

岡山怪談会その後・・・。

2024年7月14日に岡山県岡山市のライブハウスでぼっけい岡山怪談会が開催された。 俺にとっても初めての県外遠征であり否が応にも力が入っていた。 おかげさまで怪談イベント自体は大成功で幕を閉じたが俺が書きたいのはこれ以降の怪異である。 実はイベント終了後、すぐに愛媛県に向かわなければいけなかった俺は楽しそうな打ち上げにも参加せずに1人岡山駅へと移動した。 そして午後6時半の特急電車に乗り焼く時間かけて愛媛県の松山市へ。 今思えばこの電車に乗った時から少しずつ怪異が忍び寄ってい

    • ○(しろまる)

      双子といえば瓜二つの容姿に一心同体といった仲の良さをついついイメージしてしまう。しかしどうやらそうでもない双子が存在していたとしてもなんら不思議ではない。 一卵性と二卵性に分かれるが一卵性と二卵性ではそもそも遺伝子の伝わり方が違う。 一卵性では全く同じ遺伝子情報を持っているが二卵性ならば50パーセントに留まる。 更に生まれてからの生い立ち次第では性格や容姿にもかなりの差が発生するのだろう。 しかし、どれだけ見た目や性格が違っていたとしても、それだけでは説明のつかない神秘的な繋

      • 月曜日のビーチパラソル

        ジーンズのポケットをまさぐってようやく取り出した煙草は箱ごとひしゃげていた。 そんな事などお構いなしに取り出した煙草に火を点ける。 シュボッ・・・・ジジジ・・・。 両切りのキャメルを思いっきり吸い込んでから虚空に向けてゆっくりと吐き出す。 いつからだろうか・・・。 この煙草に変えてからずっと使い続けているジッポーの1941レプリカもようやく俺の手にも馴染んできた。 眼の前にはどこまでも続く白い砂浜と蒼い海が広がっている。 俺は煙草を咥えたまま砂浜の上に仰向けで寝転んだ。 蒼い

        • 日曜日のポンジュース

          保科さんは看護師として働く33歳の男性。 以前はごく普通の結婚観を持っていたが現在では全く結婚する気は無いのだという。 それというのも・・・彼は28歳の時に元彼女と死別している。 元彼女の死因は自殺。 自殺する半年ほど前には彼女とは別れていたらしいのだがある日彼が自宅アパートへ戻ると部屋の中で彼女が首を吊って死んでいた。 彼はロフト付きの部屋に住んでおりそれを利用しての天井付近からの首吊りだった。 現場検証と検死の結果、発見は死亡推定時刻から3時間ほどしか経過していなかった。

        岡山怪談会その後・・・。

          ホンモノとの夜

          一昨年、俺の地元である金沢市で怪談朗読イベントを主催させてもらった。 その際イベント会場や宿泊先で体験された怪異の報告が多く寄せられた。 これから書いていく話はそんな中でも関東からご参加いただいた湯島さんという30代の女性が体験された話になる。 ホテルの立地上、地名もホテル名も彼女が住んでいる県すらここには一切書き記さないがホテルの営業妨害になるという理由からだとご理解いただきたい。 彼女は毎年幾つもの怪談イベントに参加されている。 ただ経済的にそれほど余裕のある生活を送って

          ホンモノとの夜

          自給自足

          名古屋で生まれ育った持田さんは東京の一流大学を卒業し一流企業に就職してからも出世競争を勝ち抜き若い課長として未来を嘱望されていた。 そしてそんな頃、彼は突然会社を辞めたという。 全てがどうでもよくなった。 嘘と建前だけに囲まれて生きているうちに自分も同じ事をしている事に気付いてしまった。自分が本当に嫌になった。 綺麗ごとでも格好をつけていた訳でもなく本気で生きる意味を見失った。 一時は自殺すら考えたが自分には自殺する勇気など持ち得ていない事を悟り次に探したのはそれからの生き方

          夜逃げ

          人生には色んな事が起こる。 良い事もあれば悪い事もあるし最高の時もあれば最悪の時もあるのだろう。 そしてそれは一過性の状態なのかもしれないしどうやっても抜け出せない絶望の結末なのかもしれない。 絶望は人をネガティブにして更に深みへと誘い込む。 それでも人は強いのだ。 立ち直る、いやその絶望から抜け出す為に人生をリセットする夜逃げという選択も悪くはないのかもしれない。 東京にお住いの筑田さんはある意味では人生の頂点を体験した方なのかもしれない。 気まぐれで購入した宝くじが当選し

          禁忌の墓石

          相良さんの母方の田舎は新潟県の魚沼市の田舎にあった。 娯楽施設などは皆無だったが海や川や山も近く、新潟市で生まれ育った彼にとってはとても新鮮な楽しみがあった。 母親は年に何度か1人で里帰りをしていたが、小学生だった彼や兄は年に1度か2度一緒に連れて行ってもらえるのが関の山だった。 そんな母親がいつも羨ましく感じられた。 だから、年に1度か2度の里帰りの際には、これでもかという程色んな冒険をして遊んだ。 母親から、絶対に駄目!と言われると余計にそれを破りたくなってしまう。 しか

          禁忌の墓石

          パチンコ

          俺はギャンブルはやらないと決めている。 結婚する際に妻から宣告された。 ギャンブルに手を出したら離婚するからね・・・と。 そんな言葉をいまだに守っている訳ではないが、不確実なものに魅力を感じられない 性格が起因しているのも事実だ。 当たる確率が低いギャンブルにお金を使うくらいならそのお金で欲しい物をローンで購入する方が良い、とつい思ってしまう。 だから競馬も競艇も競輪も一切やった事は無いが営業という仕事をしている関係で こっそりパチンコをしてしまう事があるのも事実だ。 営業の

          男が見ていたもの・・・。

          高知県にお住いの正島さんはそれまでずっと空き家になっていた中古住宅に移り住んだ。 それまでは賃貸マンションで暮らしていた彼ら家族だったがお子さんの2人も大きくなりさすがに手狭になった事で住み替えを決断した。 少し郊外ということで交通の便は不便になったが2階建てで部屋数も多く小さな庭まで付いているのにかなりの格安だった。 そんなある夜の事、彼は強い尿意を感じて眼が覚めてしまう。 眠たかったがやはり朝までは我慢できそうもなく仕方なく彼はトイレに行くことにした。 部屋を出て階段へと

          男が見ていたもの・・・。

          ロープウェイ

          俺はロープウエイというものがあまり得意ではない。 いやロープウエイに限らず箱型で高所を移動する乗り物はとにかく苦手なのだ。 確かに俺が高所恐怖症だからというのも理由になるのだろうが実際にはそれほど簡単な事ではない。 俺は過去に山のロープウエイや遊園地の観覧車の中でうごめき続ける人影を何度も見ている。 勿論、営業時間外の深夜に・・・。 そんなモノを何度も視てしまっているから高所を移動する箱型の乗り物には間違いなく何かが棲みついていると確信している。 それらが動き出すのは別に夜に

          ロープウェイ

          体重計

          体重を気にする方は多いと思う。 勿論、まぐらんも・・・。 太り過ぎや痩せ過ぎの方だけでなく医師から進言されたり健康維持の為に体重管理をしている方もいらっしゃるのだろう。 そして体重を管理するのに不可欠なのはやはり体重計という事になる。 そんな体重計に纏わる話を書いてみようと思う。 栃木県にお住いの角田さんは介護職で働く34歳の独身女性。 最近、とても辛い事がありそのせいかどんどん痩せていき体力も気力もボロボロになってしまった。 仕事中に倒れた彼女は栄養失調と眩暈という診断

          森に置かれた椅子

          その椅子が初めて見つけられたのはトレッキングが趣味のご夫婦によって。 いつものトレッキングコースである森の中を歩いていると前方の大きな木の下に椅子が在るのを見つけた。 確かに山や森の中で椅子を発見する事は過去にもあった。 しかしそれはキャンプで使う様な簡易的な椅子だったからその時見つけた椅子を見た時、ご夫婦は強い違和感を覚えた。 その椅子はまるで洋館にでも置かれているゴージャスな椅子だった。 とても1人では移動させる事も難しいと思われる重そうな椅子。 そんな椅子がきれいなまま

          森に置かれた椅子

          体重が増える

          人間は死ぬと僅かながら体重が減るのだという。 これは昔から色々と実験されている現象らしいのだが実際のところ、それは魂が身体から抜け出た事で軽くなってのだという説と別に科学的な説もあると聞くが誰もが納得する結論というのは出ていないのではないだろうか。 俺としてはその現象は魂が出てしまったから、という理由に賛成したい。 実際のところ、魂という物自体に重量があるのかも分からないがその方が何となく自然の摂理に沿っている様に感じるからだ。 それではこういう事例はどうだろうか? ある日、

          体重が増える

          黒い石

          石には本当に沢山の種類が存在している。 それこそ1円の価値も無い石から高価な値段が付く石まで。 しかしそれはあくまで人間の、いや経済的な希少性に過ぎない。 実はもっと別の意味が含まれているのかもしれないし何も無いのかもしれない。 俺が子供の頃、石集めに夢中になった時期があった。 近くの河原で採取できる石は大きさこそ様々だったがそのどれもにツルツルとした石の表面の下に奇妙な模様が不規則的に散りばめられていた。 とてもきれいな石・・・。 ただそれだけの感想だった。 だから俺はその

          Yという後輩

          高井さんの高校時代の後輩にYという男性がいた。 高校時代は同じ美術部の先輩・後輩という関係だったが、しばらく東京を離れていたYが再び東京で暮らし始めてからは頻繁に連絡を取り合う間柄になった。 そんなある日、久しぶりに会って積もる話でもしようか、という事になり酒の席で高井さんはYから不思議な話を聞かされた。 その日Yは仕事の残業が長引いてしまい結局終電ギリギリで最寄りの駅に帰ってきた。 トボトボと自宅アパートへと歩いていると電柱の陰に誰かが立っているのが見えた。 時刻は既に午前

          Yという後輩