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旅エッセイ

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スマホもカメラも持たずに街へ出た

スマホもカメラも持たずに街へ出た

残り2%。この部屋のコンセントはなぜかベットの頭側でなく、足元側に設置されている。さすると元来怠惰で、また地元の謎のじいさんに勧められたウォッカを昨晩口にした私である。そんな私が夜の内に体を180度回転させてスマホに充電コードを差し込むなんてするはずがなかった。

ウズベキスタンのヒヴァは日本人の私からすれば嘘みたいな街だ。ヒヴァ・ハン国の首都だったというこの街は周囲を城壁に囲まれ、そこに迷路のよ

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100ルピーの笑顔

100ルピーの笑顔

ガンジス川に向かう階段を降ると、そこは陽だまりになっていた。朝のひだまりには、極端なまでに人に慣れた犬と、犬を人に慣れさせたインド人たちが集う。

ガンジス川の西側にはガートと呼ばれる階段上の沐浴場が84箇所続く。東から太陽が昇って沐浴場の裏手に沈むまで、ガートは常に日に照らされているのだった。

ガードに集まる人間はしたたかであり、愛を込めて換言すればちゃっかりしている。

無論、わかりやすく船

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甘すぎる麦茶とミャンマー旅行

甘すぎる麦茶とミャンマー旅行

記憶は味に宿る。

思い出せない異国での日々最近とあるお笑い芸人が、学生時代に足しげく通った中華屋の味によく似たつけ麺を見つけたらしい。そのよく似たつけ麺を食べると、人生でほとんど思い出していなかった学生時代の記憶が雨あられのようによみがえってきたという。そんな話を耳にした折、

とふと学生さんに尋ねられる機会があった。一番と言われると案外難しい。印象的な思い出はどこの国にも、沢山あるはずなのに。

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