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映画日記。

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映画日記集です。
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映画日記その311 「コヴェナント 約束の救出」

映画日記その311 「コヴェナント 約束の救出」

2021年、米国はアフガニスタンからの撤退を完了した。しかしこれで平和が訪れるのかというと、残念ながらそんなことはない。アフガニスタンに米軍がいなくなったことで、政権はタリバンが掌握することとなる。

そして米軍に協力してきたアフガン人は家族もろとも虐殺されるという悲惨な事件がおきることとなる。それは国連が把握しているだけでも160件にのぼるというのだ。

そんなアフガニスタンでは今なお数千人(映

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映画日記その310 「ボーはおそれている」

映画日記その310 「ボーはおそれている」

上映中の映画をネットで調べていたら、本作が目に止まった。ホラーでありながらコメディともあったからだ。若いころはホラーやサイコサスペンスの映画を好んでよく観たが、年老いてきたせいか最近はコメディを観たくなる。本作はどうやらそのホラーとコメディの両方を楽しめそうなのだ。よし、これにしよう。

狂気じみていながら愛嬌ある主人公ボーがコケたりドジったりするドタバタ騒ぎの笑えるホラー。ボクはそんなイメージで

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映画日記その309 「ゴジラ−1.0」

映画日記その309 「ゴジラ−1.0」

【ネタバレあり】

ボクは正直ゴジラ世代ではない。「シン・ゴジラ」を鑑賞したとき、ボクはそれほどおもしろいとは感じなかった。それはゴジラ世代ではないため、きっとゴジラに思い入れがないことが原因なのではと思っていた。そのため本作は当初鑑賞する気はなかった。

しかしどうしたことか、国内はおろか海外でも大ヒットを記録しているということで、しょうがねえ、どんなもんか観てやろうかと、謎の上から目線で重い腰

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映画日記その308 「福田村事件」

映画日記その308 「福田村事件」

本作は実際におきた事件を基にした映画で、多くの差別問題が織りこまれている。このような「差別」をテーマにした映画のなかで、本作ほど強烈に迫る映画はほかにあるだろうか。「朝鮮人差別」「部落差別」「女性差別」などなど、ちと盛り込みすぎ感はあるにせよ、それでも強く心に突き刺さる。

とりわけ朝鮮人差別が本作の主題になるのだが、いかんせん、人種差別・民族差別・偏見というのは、人類が進化をとげていく過程のなか

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映画日記その307 「波紋」

映画日記その307 「波紋」

妻と結婚して20年。本作の予告編をみてちょっと気になって鑑賞した。いやはや、シュールだ。シュールすぎる。これは男として、どうレビューすればいいのか、本当に頭を悩ませる。本作は女性からしたら日常のホームドラマ、しかし男からしたらある意味サスペンスホラーなのかもしれない。

夫婦、宗教、介護、差別、貧困などなど、本作には多くの社会問題が盛りこまれている。その中でもやはり夫婦問題がズシリと心に突き刺さっ

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映画日記その306 「TAR/ター」

映画日記その306 「TAR/ター」

【酷評注意】

天才女性指揮者の栄光と転落のお話。いや〜、これがね、わかりづらいのよぉ〜。クラシックやオーケストラにくわしければすこしは見どころがあるのだろうが、序盤のターのセリフの長さで不覚にも寝てしもうたわぃ……。

そのターが幻聴に悩まされるミステリーホラー的なシーンのあたりから気を取りなおして観はじめたのだが、やはりわからないことだらけ。そんなわからない中で唯一理解できるのが、ターの精神が

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映画日記その305 「それいけ!ゲートボールさくら組」

映画日記その305 「それいけ!ゲートボールさくら組」

【ネタバレ注意】

なんのヒネリもない予定調和のベタな展開。そしてどこか昭和を感じる笑い。まさにツッコミどころ満載の本作では、いちいち細かいところを指摘して、難くせをつけてはいけない。なぜなら本作は設定から展開まで、無理やりに突っぱしっていく、笑いのエンタメムービーだからだ。

突っぱしるとはいっても、目まぐるしく展開していくスピード感はない。言うならば、笑いをまじえた「ゆる〜い突っぱしり」か。本

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映画日記その304 「仕掛人・藤枝梅安 2」

映画日記その304 「仕掛人・藤枝梅安 2」

【ネタバレ注意】

本作では梅安と彦さんが仕掛人となった理由が明かされる。そしてふたりの引きずった哀しい過去を掘りかえしながらの展開となる。作中でふたりはおたがい壮絶な過去を知ることになるのだが、とりわけ彦さんの過去は凄惨だ。あれはエグいで…あんなんされたら発狂するわ…。

ただふたりの展開のちがいは、彦さんはあだ討ちをするほう、梅庵はあだ討ちの対象として狙われるほうになる。本作はこの2件のあだ討

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映画日記その303 「シン・仮面ライダー」

映画日記その303 「シン・仮面ライダー」

本編が始まって早々に、仮面ライダーとショッカーの戦闘シーンがある。前知識としてあったのでわかってはいたが、冒頭からショッカーの血がおびただしく飛び散るシーンが続くのだ。それらのシーンをみて、あらためて本作は大人向けの仮面ライダーなんだと再認識する。

また「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」と違うのが、展開のスピードだ。とにかく全体的にスピード感があるのだ。ゆえにオジサンには、ところどころついて

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映画日記その302 「ロストケア」

映画日記その302 「ロストケア」

【ネタバレ注意】

現代の高齢化社会における、医療と介護の問題の「陰」の部分を見事に掘りおこした作品だ。認知症の高齢者とその家族の苦悩、そして介護現場の諸問題がずいしょに表現されている。

細かいところでいえば、斯波(しば)(松山ケンイチ)の「二人も職員が休んだら介護サービスがとどこおる」という言葉に、介護現場の切迫した人手不足を感じる。また女性の新人介護士が、夜は風俗でアルバイトをするシーンでは

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映画日記その301 「土を喰らう十二ヵ月」

映画日記その301 「土を喰らう十二ヵ月」

本作は鑑賞する人を選ぶだろう。現役の若い世代の人には、全くをもって退屈な映画かもしれない。しかしリタイア、セミリタイア、また現役でも日々ストレスにさいなまれ、セミリタイアに憧れる人にはたまらない一本だろう。そして現在、セミリタイア生活を送っているボクには、あるべき姿のひとつを映像化したような作品だ。

セミリタイアに対する憧れというのは、つまりは現代のストレス社会からの開放であり、ストレスフリーへ

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映画日記その300 「オットーという男」

映画日記その300 「オットーという男」

本家の「幸せなひとりぼっち」は、6年ほど前に映画館で鑑賞した。老人オーヴェの偏屈ぶりと、オーヴェが近所の夫婦や子どもたちと接するうちに徐々に心を開いていく様子が、とてもよく描かれてたのを覚えている。

本作はそんな心温まる作品のハリウッドリメイク版だ。主演はトム・ハンクス。う〜ん……これがボク的にはちょっと違和感を感じてしまうのだ。本家を観ているだけに。トム・ハンクスは素晴らしい俳優さんには間違い

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映画日記その299 「ワース 命の値段」

映画日記その299 「ワース 命の値段」

9.11はわれわれ世代にとって忘れられない衝撃的なできごとだった。2001年、夏の暑さがまだ残る9月11日早朝、ふとテレビをつけると、画面から信じられない光景が目に飛びこんできた。2機の旅客機がビルに突っ込むのだ。各テレビ局はその映像を一日中何度も繰りかえし放送し、ボクはニュースに釘づけになったのを覚えている。

本作のオープニングは、その時の実際の映像を交えて始まる。やはり実際の映像は、忘れかけ

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映画日記その298「仕掛人・藤枝梅安」

映画日記その298「仕掛人・藤枝梅安」

これはヤバいっ!良かった!マジで!

この世界観、大好きっっ❤️

中学のころにドハマりした「必殺仕事人」を思い出しました。でも必殺シリーズはしょせんドラマ、こちらは映画です。完成度が違います。豊川悦司さんっていつの間にこんな素晴らしい役者さんになったんだろ。醸し出す雰囲気がめちゃカッコいいッッ!!

池波正太郎先生の作品の映画化ですが、短編をうまく繋いだんでしょうかね。読んでないからわからないの

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