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映画日記その306 「TAR/ター」

リディア・ター(ケイト・ブランシェット)は、ドイツの著名なオーケストラで初の女性首席指揮者に任命される。リディアはひと並みはずれた才能とプロデュース力で実績を積み上げ、自身の存在をブランド化してきた。しかし、極度の重圧や過剰な自尊心、そしてしかけられた陰謀によって、彼女が心にかかえる闇は深くなっていく。

シネマトゥデイ

【酷評注意】

天才女性指揮者の栄光と転落のお話。いや〜、これがね、わかりづらいのよぉ〜。クラシックやオーケストラにくわしければすこしは見どころがあるのだろうが、序盤のターのセリフの長さで不覚にも寝てしもうたわぃ……。

そのターが幻聴に悩まされるミステリーホラー的なシーンのあたりから気を取りなおして観はじめたのだが、やはりわからないことだらけ。そんなわからない中で唯一理解できるのが、ターの精神がじょじょに崩壊していくようすだ。

序盤は仕事のできるキャリアウーマン風。自分のキャリアに対する自信と自尊心がみなぎっている。ところが周囲のさまざまなできごとによる圧力やストレスによって、幻聴や幻覚に悩まされるようになる。そこから少しずつアイデンティティがくずれていき、ターの精神は崩壊する。

いいッ、この展開。映画としてとてもいい。まさにボク好みではないか。ところがだ。じょじょにじょじょにターの精神が病んでいっていたのが、隣人とのなにかのトラブル(?←これもよくわからない)によっていきなりアコーディオンを弾きながら叫ぶように歌いだすのだ。そして一気に狂人と化す。いや唐突すぎるよぉ〜。

そこからターは別人のように人格がくずれ、ついに精神が崩壊する。なんだろ、この唐突感は。もうすこし葛藤しながら爆発してもよかろうに。最後もこれまた唐突に舞台がフィリピン(?)へ。これもボク個人的には、あの世界のターが行方不明に…的なシーンがあってもよかろうに、と思ったしだいだ。

とにかく映画全体が鑑賞者を置いてきぼりにして、わけわからないまま進んでいくのだ。そしてターの精神が崩れていくのと並行して、映画自体も崩れていくようにボクには思えた。

酷評になってしまい申し訳ないが、おそらくクラシック音楽に精通し、英語が理解できる人であれば、またちがうように思うのだ。しかし残念ながら両方とも無知なボクにとって本作の唯一の救いは、ターを演じるケイト・ブランシェットの鬼気せまる熱演だな、うん。


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