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映画日記その310 「ボーはおそれている」

日常のささいなことでも不安になってしまう怖がりの男性・ボー(ホアキン・フェニックス)は、ある日、直前まで電話で会話していた母親が死んだという知らせを受ける。母親のもとへ向かうべくアパートを出ると、世界は様変わりしていた。現実なのか悪夢なのかも分からないまま、次々に奇妙な出来事が起こる里帰りの道のりは、いつしか壮大な旅へと変貌していく。

シネマトゥデイ

上映中の映画をネットで調べていたら、本作が目に止まった。ホラーでありながらコメディともあったからだ。若いころはホラーやサイコサスペンスの映画を好んでよく観たが、年老いてきたせいか最近はコメディを観たくなる。本作はどうやらそのホラーとコメディの両方を楽しめそうなのだ。よし、これにしよう。

狂気じみていながら愛嬌ある主人公ボーがコケたりドジったりするドタバタ騒ぎの笑えるホラー。ボクはそんなイメージで映画館へと足を運んだ。

ところがだ。始まるとビックリ。なんじゃこりゃッ。めっちゃホラーじゃないかッ。どこで笑うんだ?? いやこれ、笑えんぞ。しかも意味がわからない。おそらく何かしらの意図があるのはなんとなくわかる。しかしその意味がわからないから唐突な展開に唖然とするしかない。

本作はボクからしたらコメディ感ゼロ。100%サスペンスホラーだ。若いころならまだしも、年老いた今のボクに100%サスペンスホラーはちときつい。

正直言うと、鑑賞中に何度か退館しようとした。しかしどうしたことか、それができない。なぜだろう。それはまずホアキン・フェニックスの怪演が秀逸すぎること。ジョーカー同様にめっちゃ狂気と迫力を感じさせる。それからつぎつぎと巻き起こる予測不可能な展開。これが不思議と観ていて飽きないんだな。

ボクはとうとう3時間という長い時間、さっぱり意味がわからない不思議な映画を鑑賞し終えた。だからこの時点での感想はひとこと、「意味がわからない」のみ。

そしてボクは帰宅してさっそくネットで調べた。本作を鑑賞した皆さん、同じ感想をもつのだろう。YouTubeでは解説動画がたくさんあがっていた。ボクもその例に漏れずに、あまりにも意味がわからなすぎたので、さっそく解説動画を観た。

そこでボクはがく然とする。なんとありとあらゆるシーンにしっかり意味があるのだよ。ええ〜ッ、な、なんやってぇ?? ボクは思わず複数の解説動画を観まくった。おどろくことこの上ない。多くのバカみたいなシーンに、宗教的な深い意味があることを知ったのだ。

これね、本作を鑑賞後は必ず解説動画を観ることをオススメする。こんなん解説動画みなかったらわからんわ。それほど本作には伏線がたくさんあるし、しかも難解すぎて伏線の回収すら気付かない。

そして解説動画を観たあとにひとつ思ったことがある。冒頭で記したコメディ感ゼロ。いや、これは考ようによってはコメディにも思えるな。主人公ボーが実家に帰るという、ただそれだけの物語にこれだけのサスペンスホラーが続くのは、ある種コメディなんだな。うん、これはコメディである。

めっちゃマニアックな映画なのでオススメはしない。しかしそんなマニアックな映画や難解なシーンの解読が好きなかたにはとても良い映画かもしれない。なんてったって3時間ぶっ続けで難解なホラーを見せつけられるのだからね。ははは……。





「ボーはおそれている」解説動画 〜初級編〜
ざっくり簡単に解説されてます。


「ボーはおそれている」解説動画 〜中級編〜
初級編の動画内容からさらに踏み込んでます。


「ボーはおそれている」解説動画 〜上級編〜
この解説がすばらしいッ。宗教的な意味にも踏み込んで解説されてます。そしてなんてったって動画の町田智浩氏は雑誌のインタビュアーとしてアリ・アスター監督に直接確認もしてるので、非常に信頼性の高い解説となってます。



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