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映画日記その305 「それいけ!ゲートボールさくら組」

ラグビーで青春をおう歌した学生時代から60年ほどがたち、もんもんとした日びをすごす76歳の織田桃次郎(藤竜也)。あるひ、彼は当時のラグビー部マネージャーだった木下サクラ(山口果林)と再会し、彼女が運営するデイサービス「桜ハウス」が経営危機にあることを知って支援をおもいつく。桃次郎は元ラグビー部の仲間たちに声をかけるが、銀行から融資をうけるには「桜ハウス」の加入者をふやす必要があった。考えたすえ、彼らは「チームさくら組」を結成してゲートボール大会で優勝をめざすことにする。

シネマトゥデイより

【ネタバレ注意】

なんのヒネリもない予定調和のベタな展開。そしてどこか昭和を感じる笑い。まさにツッコミどころ満載の本作では、いちいち細かいところを指摘して、難くせをつけてはいけない。なぜなら本作は設定から展開まで、無理やりに突っぱしっていく、笑いのエンタメムービーだからだ。

突っぱしるとはいっても、目まぐるしく展開していくスピード感はない。言うならば、笑いをまじえた「ゆる〜い突っぱしり」か。本作がジジババむけのエンターテイメントであるからには、ボクはこの昭和感ただよう「ゆる〜い突っぱしり」がポイントのように思う。

人は歳をかさねるごとに、気力体力をうしなっていくものだ。若いころは仕事にも趣味にも恋愛にも、情熱をもって全力で突っぱしることができた。ところがいつしかその情熱は冷め、体力的にも気持ち的にも突っぱしれなくなる。

そして昔を振りかえっては懐かしみ、その若さをうらやむ自分がそこにある。あのときは若かったなぁ、あのころにもどれたらなぁ。そう、ジジババはみな、若いころのように突っぱしれるものなら突っぱしりたいのだよ。

そこで本作は、ジジババにはジジババなりの突っぱしり方があることを示している。それは同級生どうしがおたがいの幼少期や青年期を知っているがゆえに生じる、大人の損得などまったくない、まるで子どものような純粋な心。そして同級生のためなら一肌でも二肌でも脱ごうとする心意気だ。その純粋な心意気が、60年ぶりの再会でも一瞬で強い絆をうむ原動力となるのだ。

キャプテンの桃次郎(藤竜也)をはじめ、個性豊かな面めんが一同にそろってあだ名で呼びあう。その瞬間、おたがい若かりし頃の感覚が一気によみがえり、気持ちも若がえる。また紅一点、マネージャーのサクラ(山口果林)の存在が華を添え、彼らの絆をいちだんと強くする。そう!本作は全国のジジババたちへの、笑いと涙の人生賛歌なのだ!

いやはや本作はコメディなのに、ジジイらが困難を乗り越えながら突っぱしる姿をみてたら、おっちゃん、うかつにも涙してしまったよ………ラストでサクラが桃次郎に、「あのころ…わたしのこと…どう思ってた?」(だったかな…?)なんて聞くシーンがあるのだが、いや〜〜、なんか……エエなぁ〜

ご興味あるかたは、ぜひ劇場でご覧ください。


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