映画日記その300 「オットーという男」
本家の「幸せなひとりぼっち」は、6年ほど前に映画館で鑑賞した。老人オーヴェの偏屈ぶりと、オーヴェが近所の夫婦や子どもたちと接するうちに徐々に心を開いていく様子が、とてもよく描かれてたのを覚えている。
本作はそんな心温まる作品のハリウッドリメイク版だ。主演はトム・ハンクス。う〜ん……これがボク的にはちょっと違和感を感じてしまうのだ。本家を観ているだけに。トム・ハンクスは素晴らしい俳優さんには間違いない。間違いないのだが、なんだろ、彼はいい人なのだ。顔だちや表情や醸しだす雰囲気が紳士的で、彼を見ているといい人にしか見えないのだ。
そのため、偏屈で頑固で無骨な老害ジジイのオットーを演じるのに、トム・ハンクスではどうも弱いように思える。その点では本家で主役を演じたロルフ・ラッスゴードはまさにハマり役だったと思う。
とはいえ、そんなオットーが若かりし日の自分と、亡くなった愛妻との思い出を追想するシーンは心にしみる。まだ家族が健在のボクでも、自身と重ねて想いに浸るところがある。これをオットーと同じ境遇の老齢の方がみたら、心がふるえ感極まるものがあるのでは。
若いころの人生は足し算だ。しかし年を重ねるとどこかの地点から引き算に変わる。人生は家族で始まり、そして最後は家族で終わるのだ。自分の人生を最後はどのようにして、そしてどんなかたちで終わらすかを考えるにはいい作品だと思う。個人的には本家のほうがおすすめだ。
ご興味ある方は、ぜひ劇場にてご覧ください。
〜おまけ〜
高田純次のことば
「歳をとってやっちゃいけないことは、『説教』『昔話』『自慢話』」
なにかの本にあったことば
「最近の若者は」
「自分の常識が世間の常識」
「人間とはかくあるべき」
「俺の言うことを聞け」
「少しくらいわがままでも許してくれるだろう」
「すぐキレる」
これらの態度は周囲から煙たがられ孤立する要因となる。
人生の終盤、老齢になればなるほど、ユル〜く生きたいものじゃのぉ〜😆
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