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生き物からのラブレター

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私と海のほねなし(海産無脊椎動物)たちとの出会いや体験を振り返るエッセイ。
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#佐渡

【生き物からのラブレター#0】ラブレター解読のためにエッセイを書いてみることにした

私はヒトデや海の生き物から膨大な数のラブレターを貰っているらしい。

郵便受けがもうパンパンだから、読んであげて!とある人に先日言われて驚いた。

え?どうゆうこと?

そりゃ私は海の生き物大好きだし、生き物と接することで学んだことはたくさんあるけれど・・・ラブレターはちょっとよく分からない・・・

と思っていたのだが、ピコーンと今閃いた。

私が出会ってきた海のほねなしたちのことを書いてみよう!

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【生き物からのラブレター#21】ウミシダは植物じゃねぇ

【生き物からのラブレター#21】ウミシダは植物じゃねぇ

佐渡の海で初めて出会った生き物は数あれど、その中でもお気に入りなものの一つがウミシダだ.

もう名前にシダと入ってしまっているので、植物(海藻)に間違われるのも無理はない.そして見た目も名前に恥じず、本当にシダ植物の葉っぱにそっくりなのだ.葉っぱの広がり方までそっくり.植物(海藻)に間違われるのも無理はない.

それでも私は言いたい.
ウミシダは植物じゃねぇ!動物だ!
そしてウミシダの魅力を知らな

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【生き物からのラブレター#19】幻のシロナマコ

環境が変わればそこに棲む生き物も違う。人が直接海にアクセスできる海岸はみな一様ではなく、岩がゴロゴロした磯から泥どろした干潟、海藻生い茂る藻場など様々だ。

近くてもちょっと環境の違う場所にアクセスすれば異なる生き物に出会うことができるのが海の面白さのひとつだろう。

今日は佐渡の砂浜で出会ったちょっと珍しい生き物の話。

前回#18日本海の洗礼で話題にしたとおり、佐渡の海はあまり潮が引かないので

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【生き物からのラブレター#18】日本海の洗礼

【生き物からのラブレター#18】日本海の洗礼

海なし県出身の私が初めて本格的に磯採集をしたのは、新潟県佐渡島の日本海の海だった。

初めてだったので、その時は何の疑問も持たず水着に着替え、シュノーケルをつけて海に入った。

波に揺られながら、水の中で必死に目を凝らして生き物を探す。波に体を持っていかれないように支えながらだから必死なもんだ。岩の下に一瞬でも生き物らしきものが目に入れば、逃すまいとすぐに手を伸ばさなければ見失ってしまう。砂利と一

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【生き物からのラブレター#17】生き物を守りたいのならまずは生物多様性を知ろう

【生き物からのラブレター#17】生き物を守りたいのならまずは生物多様性を知ろう

私の専門はヒトデの系統分類学だ。その基礎を身に着け、方向性を決定づけたのが大学3年次の佐渡臨海実験所での系統動物学実習だった。

なぜ臨海実験所で系統動物学をやるのか?答えは簡単で、海のほうが圧倒的に多様な生き物がいるからだ。

人間は陸で生活しているから動物の生活圏は陸中心だと勘違いしやすいが、そもそも地球表面の7割は海だし、海の平均水深は3000m。圧倒的に海のほうが多い。

それに多細胞動物

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【生き物からのラブレター#14】プランクトンの世界へようこそ!

【生き物からのラブレター#14】プランクトンの世界へようこそ!

海の中はプランクトンだらけだ!

海の食物連鎖は植物プランクトンから始まる。植物プランクトンを動物プランクトンが食べ、動物プランクトンを小型の魚や他の小さな動物たちが食べる。そして最終的には私たちの身にもなるわけだ。

普通に採取した海水を見ればプランクトンはいるにはいるのだけれど、もっと効率的にたくさん観察するために網を使って一網打尽にする。

と言っても小さいプランクトンはそんじゃそこらの網じ

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【生き物からのラブレター#13】君のすべてを知りたいんだ

【生き物からのラブレター#13】君のすべてを知りたいんだ

アメフラシは磯の人気者?である。磯遊びに行ったなら、どうしても気になってしまうアイツ。

春から夏にかけて磯に大発生し、生殖のため時には複数個体が連なることもある。その大きくて柔らかい体を引きずって海藻をひたすら貪り食う。

黒くて柔らかいのでナマコだと勘違いする人も多いようだが、実は巻貝の仲間だ。

しかもうっかり踏むと紫色の汁を出す。踏まれたほうも踏んだほうもたまったもんじゃない。汁に染まった

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【生き物からのラブレター#12】かわいいかわいいウニの妖精

【生き物からのラブレター#12】かわいいかわいいウニの妖精

一度でいいから見て欲しい!と思うのがウニの発生である。

高校生物を履修したなら誰もが習うはずのウニの発生。卵が受精し、卵割を始め、陥入、孵化した後も形を変えプルテウス幼生になるというやつだ。

いくら流れを知っていても、写真で見ていても、ホンモノには叶わないと心底感じたものの一つだ。

発生とはまさに命が創られていく過程。これほど神秘的なものはなく、発生学に魅了される人が多いのも頷ける。

しか

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【生き物からのラブレター#11】佐渡の海

【生き物からのラブレター#11】佐渡の海

海の生き物の研究がしたい。そう思っていた私が進学先を新潟大学に決めたのは佐渡に臨海実験所があるからだった。

しかし、当時の理学部生物学科における佐渡臨海実験所での実習は2年次と3年次に1回ずつ。そんなの待ってられない!と思っていた矢先、新潟大生なら誰でも参加できる実習があることを知り、1年生ながらさっそく申し込んだ。

これが初めての佐渡。この後結局2年、3年、そして4年次もティーチングアシスタ

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