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【生き物からのラブレター#18】日本海の洗礼

海なし県出身の私が初めて本格的に磯採集をしたのは、新潟県佐渡島の日本海の海だった。

初めてだったので、その時は何の疑問も持たず水着に着替え、シュノーケルをつけて海に入った。

波に揺られながら、水の中で必死に目を凝らして生き物を探す。波に体を持っていかれないように支えながらだから必死なもんだ。岩の下に一瞬でも生き物らしきものが目に入れば、逃すまいとすぐに手を伸ばさなければ見失ってしまう。砂利と一緒にヒモムシを掴みとった時は思わず「捕ったどー!」と叫びたくなるぐらいだった。

磯採集って大変だけど面白いな!なんて思っていたのだが、後々こんなに磯採集がハードなのは日本海だけだということを知る。。。


その原因は潮の満ち引きだ。海があれば潮の満ち引きはもちろんどこでも起こるのだけれど、その潮位変動幅には地域差がある。

太平洋側と違い、半閉鎖的で水の出入りが少ない日本海側は圧倒的に潮が引かない。引いてもだいたい数十センチと言われている。潮が引かないのだから潜るしかない。

一方太平洋側は大潮時には2m近く潮が引くので、大潮の干潮時を狙えば普段は海の中にいる生き物たちに簡単に出会うことができる。しかも小さなプールのような潮だまりに取り残されていたり、岩の裏に張り付いていたり、なんというか「拾える」という感覚である。

日本海でのあの必死の採集はなんだったのか・・・。

面白いことに、その後私は日本で一番潮位変動幅が大きいと思われる有明海(なんと最大5m!)にも行くことになった。海に浮かんでいたはずの船が海底に着いてしまったり、見渡す限りの海だった場所が一面の干潟に様変わりする様子は本当に感動的だった。

でもこういった違いがあるからこそ、また多様性が生まれる。本当に色々な場所で貴重な体験をさせてもらえているなとつくづく思うのであった。


ついでに冬の日本海は演歌だ。薄曇りで一面灰色の世界、そびえ立つ断崖絶壁、打ち付ける荒々しい波。まさに演歌。

川端康成の雪国しかり、優れた芸術作品の表現力は本当に素晴らしいです。


☆生き物との出会いや体験を綴るエッセイ連載中☆

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