ヘヴィ・メタルシーンを辿る旅 ver.1 / 様式美の要素:抒情的なイントロからのドラマチックな展開 / X JAPAN 、アイアンメイデン & ジューダスプリースト
正統派ヘヴィメタルの世界観
さまざまな音楽を聴いてきて、思うのは感性が豊な時期に、ハードロック&ヘヴィメタルに出会って良かったということです。
なぜかというと、、
特にヘヴィメタルという音楽ジャンルは元々が英国ルーツですので、とても、泥臭い感情に溢れているからです。つまり、日本で言うと民謡や演歌の世界に近いんです。
民謡や演歌には日本の感性が詰まっていますよね。日本人だから理解できるといっても良いかもしれません。
この音楽の根底には生活の苦労に根ざした日常の哀しみがあります。そして、ちょっとした恨みつらみに近いものも。
この日常風景を英国で切り取ったものがマザーグースですし、ブリティッシュフォークと呼ばれるジャンルになり、、、この泥臭い日常の感性に、英国、、というか、50年代のアメリカでロックの一要素となるアイリッシュ、ケルト風味をまぶしていって、、クラシックなどの西洋音階と融合し、、、その帰結が、様式美と呼ばれる世界観なわけです。
この様式美に満ち溢れているのが正統派ヘヴィメタルということです。
では、様式美とはどういったものなのか。。
今回は音楽に対する感覚を鍛えることができた、ハードロック、ヘヴィメタルについて書いてみようと思います。(略してHM/HRという表記が一般的です)
冒頭で書いた、メタルを思春期に聞いて何故よかったと思っているのかについては次回以降で回収いたします(次回以降の内容の方が説明しやすいかなと)
ヘヴィメタルの様式美とは?
まずメタルの方から。
これ、一般的なイメージは、革ジャンで、いかつい男がうるさい音をガンガン唸り声のように歌っているという印象かと思います。。
まあ、そういうものもこのジャンルの中に包括されているのは事実です。が、僕はあまりそういうものは受け付けないのです。ブルータルな音楽には様式美がない。
いわゆる正統派のメタルは、様式美がありまして、それは何かというと、きちんとメロディ、旋律があり、哀愁漂う音色であるということ。
となります。
では、この6つにそって、各項目について語ってみようと思います。(全6回予定)
ボンジョヴィ、ヴァンヘイレン、エアロスミス、キッスなどのハードロックはメタルの後に書いてみようと思います。
各回に、この音楽の歴史や、メタルやハードロック内の音楽的分岐についてもコラム的にご案内しようと思います。
さて、ここまできて、メタルという音楽に親しんでいない場合、忌避感をなんとなく感じてしまう場合もあるかもしれません。
その場合は↓の動画を試金石にしていただいて。
どうでしょうか?こういう音色が、僕の好きなメタルです。正統派メタルです。
1、楽曲の構成1、劇的なイントロからの、スピードチューン or ドラマチックな楽曲への流れ
これはメタルでは割とスタンダードな流れですね。。。
何かが始まる、、、という期待感をイントロで煽るわけです。そして煽って煽って、ドラマチックな楽曲が炸裂する。そうなったらもうメタルの虜です。
さて、では、それは???ということで、わかりやすい例を。↓
そうなんです。X JAPANのルーツはメタルなのです。「紅」「Rusty Nail」「Es Dur のピアノ線〜Silent Jealousy」などは、まさにこの流れを踏襲しています。
なお、X JAPANについては以前↓にまとめていました。
彼らの功績はメタルをお茶の間に展開させたことだと思っています。それでいながら、彼らの楽曲をだれもメタルとして聴いていない点が、ある意味素晴らしいと思ってます。ロックという括りでメタルを浸透させていったんですね、結果的に。
では、視点を変えて、世界的に有名なメタルバンドの楽曲から例に挙げると、典型的なものはこちら。
このジャケットは、好き嫌いあると思いますが、このイントロの旋律、ツインギターの絡みから、 印象的なベースのフレーズから始まるミッドテンポの楽曲。。。この流れはメタル随一と思う。なんと40年前のアルバムのオープニングです。
アイアンメイデン -Wrathchild
同じくアイアンメイデンだと、イントロ=英国の首相だったチャーチルのセリフから始まるこの楽曲。このスピード感、攻撃性、高らかに歌い上げるボーカルは他のバンドの追随を許さない力強さがみなぎっています。
アイアンメイデン -Aces High
クラシックをイントロに使う例もあります。シューベルトの未完成が見事なオープニングになっています。
Angra- Carry On
そして、今、40代以上のメタルファンが、かつてメタルに開眼したとき、ほぼ必ずと言っていいくらい、このバンドのこのアルバム、この楽曲を通っているといえるのが、こちら。
ハロウィン- Invitation 〜Eagle Fly Free
この典型的ながれは、気持ちを高揚させる効果がありますね。ドラマや映画でクライマックスでかかる音楽のような。
というわけで、第1回目、この項目ラストはこちらをお送りいたします。素晴らしいメタルですね。
X JAPAN- World Anthem 〜Blue Blood
ヘヴィメタル・ハードロックの歴史vol.1〜70年代のメタルシーン
さて、コラム的に軽めに歴史を振り返ります。
まずは70年代のメタルシーンから。
ハードロック、ヘヴィメタルのルーツは60年代後半まで遡ることができます。あのジミ・ヘンドリクスあたりですね。
この辺は過去↓にまとめています。
この流れで、わかりやすくいうならば、ブルーズ主体のレッド・ツェッペリン、クラシックや西洋音階主体のディープパープルが登場となります。
ものすごくざっくりいうと、
米国ブルーズ由来の音楽の系譜がハードロック、
英国の哀愁の音楽の系譜がヘヴィメタル、、
ということもできます。今回はメタルのご紹介ですので、メタル路線で語りますと、このディープパープルの系譜がルーツと言えると思います。
つまりは、前述のように、メロディアスであり、ギターソロが秀逸であり、楽曲が哀愁を帯びているという点。
ではディープパープルにそんな曲があったのか??ということで、典型的なものを2曲ほど。いずれも典型的な型にはまっています。ある意味、原型とも言えますかね。
Deep Purple- Highway Star
Deep Purple- Burn
そして、70年代には同じような系譜にUFOというバンドが存在していました。このバンドにはあの哀愁の旋律の名手マイケル・シェンカーが在籍していたわけです。
UFO- Try Me
この曲の抒情的なギターソロは様式美に溢れております。
そして、ディープパープルのリッチーブラックモアが後に結成するレインボーのこの曲も素晴らしい正統派メタルの原型です。
レインボー-タロット・ウーマン
この系譜の先に、、、ジューダス・プリーストという奇跡の出現
70年代前半、ディープパープル、UFOらが様式美のメロディ面でのベースを作り、そこにこの後にメタルのアイコンとなるバンドが地上に姿を表します。
このバンドは後のメタルの典型的パターンを生み出しました。それは、、
ジューダスプリースト- Exciter
この中間部のソロはぜひ聞いてほしい旋律。
しかし、70年代後半、ニューウェーブの流れが出現して、メタルや古き良きハードロックはオールドウェイブと呼ばれ、下火になってしまいます。
この辺は↓に以前まとめています。
そして、、、、、
↑の記事にも書いてましたが、地下に押し込められたエネルギーは、行き場を失って、、、住処となっていた地下の中に、その熱意を充満させながら、、解放される時を、今か今かと待っていたわけです。
そして、、ついに、その熱量が解き放たれる時がやってきます。それが1980年の出来事。
それは次回にて!
最後に、今回のテーマに沿った永遠のメタルアンセム
永遠のメタルアンセムをご紹介して今回の記事を終えます。
ジューダスプリースト- The Hellion 〜 Electric Eye
いつも読んで下さってありがとうございます。頂いたサポートはいろんな音楽などを聴いてご紹介するチカラになります。あなたに読んでいただき、新たな出会いを楽しんでいただけるよう、大切に使わせて頂きます。よろしくお願いします!