＜ヴァルター・ベンヤミン『ベンヤミン・アンソロジー』訳者・山口裕之の解説より＞
“本書は、論文やエッセイといったかたちで書かれたベンヤミンの比較的短いテクスト、しかもベンヤミンを読むうえでもっとも重要なテクストを集めたものである。このアンソロジーには、たとえば『ドイツ悲劇の根源』あるいは『一方通行路』といった、ベンヤミンの思想をたとるうえできわめて重要なテクストであっても、独立した書物のかたちで出版されたものは含まれていないし、また、短めのものであっても、ここでとりあげなかった非常に重要なテクストはいくつもある。それでも本書は、ベンヤミンの思想が凝縮されたアンソロジーであるということはできるだろう。また、初めてのベンヤミンにふれる読者にとっても、手に取りやすい選集となるのではないかと思う。“