Hideaki Hamada
記事一覧
HIDEAKI HAMADA FILMS 01 について
小学生の頃、学校のプールに潜って、しばらく水中でふわふわ浮いている時間が好きでした。そこでは、外の騒がしい蝉の鳴き声、近くにいるはずの同級生たちの楽しそうな声が、遠くに感じられました。流れる水や泡の音が耳の奥で鈍く響いて、まるで独り別の世界に来たような感じがしたのです。
プールの底で、みんなが泳いでいる足や太陽の光が揺れるのをぼんやり眺めていると、身体が水と一緒になったような気がしました。息を止
見つめるということ、見つめられるということ。
みなさんはどんな時に写真を撮りますか? きっといろいろなきっかけがあるはずです。例えば、心が動いたとき、素敵だな、好きだなと思ったとき...? もしかしたら人はそんなときにカメラを向けて「写す」のかもしれません。
そう考えてみれば反対に「写される」ということは、それほど「写す」人から大切に思われている、とも言えます。多くの場合、「写す」と「写される」は、その関係の中でおこなわれているのではないで
時間と距離と僕らの旅。
2019年「時間と距離と僕らの旅」
odolというバンドのことを知ったきっかけはこの曲だった。その時はこれから続いていくことになるodolとの遠い旅の始まりだとは知る由もなかった。
2020年「小さなことをひとつ」
その後、コロナ禍が始まった頃、radikoのブランドムービーとして生まれたこの曲の映像を撮影する機会をいただいた。こんなご縁もあるのだなと感慨深かった。
緊急事態宣言が下され家
コマーシャル・フォト特集について
『コマーシャル・フォト』2023年11月号にて特集していただきました。38ページにわたり実績や作品、インタビューが掲載されています。単独で特集いただくのは2018年10月号以来、5年ぶりで二度目になります。巻頭ページでは俳優の鳴海唯さんを撮り下ろしました。くわえてショートムービーもつくりました。また、ここ数年で変化した部分として、映画やドラマのスチール、CMやMVなどの映像のお仕事について大きく扱
もっとみる写真は言葉、写真は時間
私は一体何を撮っているのだろう? そんなことを考えた経験はありませんか。もし答えがあるとして、それは人それぞれ、きっと多様なものになると思います。というより、なんだっていいのかもしれません。それでもあえて問い続け、何かを導き出そうとする行為は決して無駄ではないはずです。
こんなワークショップを考えました。
例えば「写真を《言葉》にしてみよう」という思考のレッスンをしてみます。その後、反対に「言
100年後に見つけてもらう
なんで撮ってるんだろうな、つまらない写真だな、こんなことしても意味ないな、というときがたまにあります。みなさんにもそういう経験はありますか?
インターネットとSNSの発展によって、写真を発表する機会がとても多くなったと思います。写真を撮ってSNSで発表することが当たり前になってずいぶん経ちました。それによって、これまで知られることがなかったかもしれない写真が世界中に届くようにもなりました。自分も
天使たちのシーン 小沢健二
“神様を信じる強さを僕に 生きることをあきらめてしまわぬように”
神様という響きにどこか近寄りがたい印象を持ってしまう。その意味が何によるかを慎重に捉えようとするからかもしれない。とりたてて信仰心が高いわけではない自分にとっては、咄嗟に身構えてしまう言葉だ。しかし、それでもこの歌詞が尊いのは続く「信じる強さを僕に」という部分にあると思う。
不安と恐れが世界を包んでいるいま、何かを信じるよりも疑
記録から記憶へ 〜写真を通してかかわるということ〜
「私たちと一緒に小豆島へ来てほしい!」その言葉がすべてのはじまりだった。
きっかけは「醤の郷+坂手港プロジェクト」を企画する原田祐馬くんと多田智美さんに出会ったことだった。大阪のとあるイベントの打ち上げで彼らと偶然一緒になったのだ。僕が自己紹介がてらに持っていた作品集を見るなり、彼らはその場で僕を小豆島に誘った。それが冒頭の言葉だった。
彼らの熱意に打たれた僕は訳のわからぬまま、その場で「行き
夢に迷って、タクシーを呼んだ
誰かと燃え殻さんのことを話すときはまるで亡くなってしまった人の思い出話のようになったりします。燃え殻さんってあんな人だったよね、なんて。会ったこともあるし電話とかでも話すのに、まるでいない人みたいに。ちょっと宙に浮いたような人。でも、よくわからない引力があるんですね。今回の映像は自分で作っておいて可笑しいのですが、眺めていると途中で眠くなって困っています。みなさんも寝てしまうかもしれませんね。
フォトグラファーはみな渋谷を目指す
淡路島生まれ大阪在住、去年、神戸にアトリエを構えました。でも渋谷にはよくいます―― 『relax』復刊号に寄稿したエッセイのプロフィールにはこう書いた。東京に住んでいないくせに、長いときには3週間くらい滞在したりする。そんな生活(?)を続けていると裏道にも詳しくなる。あ、ここを抜けたらここに出るんだ! という小さな発見に感動を覚えたり。
そういえば、我々フォトグラファーたちの朝は早い。だいたいは
ほんとうに欲しいものは手に入らない
絵が描けたらよかったし歌がうまかったらよかった。足が速くて背が高かったらよかった。初恋が実ればよかったし誰にも裏切られなかったらよかった。人には人それぞれの祈りや願いがあるのだと思う。
どうしても叶えられなかったことや手に入らなかったもの、全部がうまくいく夢をたまに見ます。それが夢だと気づいたとき、まだ目を覚ましたくなくてわざと起きないようにしたり... もう少し、もう少しだけ、と。それでも覚め
「First Love 初恋」ビジュアル撮影について
この記事は、台湾のデザイン&ライフスタイルメディア「Shoppig Design」による「First Love 初恋」のビジュアル撮影についてのインタビューを翻訳(導入、質問部分を意訳)したものです。
写真を星のロマンスにする、時の光を追う者2022/12/27
インタビュー・テキスト:Stephie Chiu/Aly Lin
最近は「『First Love 初恋』観た? 」が挨拶がわり。普段
言葉にすることをあきらめない
心のどこかで何か違うと感じながらとりあえず身近にある言葉を発してみたり、使いこなせない流行りの言葉に気持ちを託してみたり、それでもうまく言葉にできずに黙り込んでしまったり、そういうことはありませんか?
ものすごいスピードで過ぎていく毎日のなかで、新しい言葉がどんどん生まれています。その意味をゆっくりと消化する暇もないまま、反対に長く使ってきたはずの言葉の意味でさえ変わっていることに気づいて戸惑う