歴史改変SF

「高い城の男」

フィリップ・K・ディック「高い城の男」
朝倉久志訳 ハヤカワ文庫
1962年

史実とはちがう第二次世界大戦後の世界を描く、歴史改変SF。

䷀ここには、三冊の本が存在する。
物語の中に登場する小説「イナゴ身重く横たわる」。この小説の存在によって、現実と物語世界の境界は揺らぐ。
真理を求める登場人物たちは、先人の叡智「易経」を携えている。卦は、現実と物語世界を分け隔てなく貫く。
そして、この本自体

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𓆉merci𓆉
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ネオサイタマ2000:現実と響き合うニンジャスレイヤー

都市には秘密がつき物だ。『羅生門』に出てくる平安京の老婆は死骸の髪を抜いているのを咎められたときに「この街の人間はみな似たような悪事に手を染めているのだ」と言って食い下がったし、『トータル・リコール』に出てくる火星もシュワなしでは大変なことになっていた。

 後者は邪悪な為政者が陰で事実を隠していた例だが、何者かの作為のありやなしやに大した違いはないと自分は思っている。マジェスティック12やシオン

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アルベルト・アインシュタインの相対論

「ハァ……

ハァ…………」

時を同じくして、アルベルトはどんどん加速していく岩砕に追い詰められていた。

「く……なんて奴だ、

この僕がここまでやられたのは初めてだよ…………」

アルベルトは危機感と同時に高揚までもを覚えはじめていた。

そして光の剣を構え直す。

「だがもう、再び蓄光は完了した!」

アルベルトは急加速し、一瞬の隙をついて岩砕の背後へと廻って光の剣を振るう。

「なッ!!

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「天才」 VS 「天災」

その頃、空軍勢はというと

パラシュート男は黒コゲになりながらも近くの送電鉄塔に引っ掛かって生きていた。

だがグライダーの方はまだ羽ばたき飛行への挑戦をやめようとしない。

案の定、下手に鳥の真似なんかするから飛行は勝手にどんどん不安定になっていった。

「ひーん、キリモミ状態だーッ!

救助求む、誰かーっ!!

やっぱ余計な羽ばたきとかしなきゃよかった~」

今更になって後悔しているグライダー

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文系(無能力者)と理系(能力者)

その頃、オリバーは岩砕と同様に追い詰められていた。

「おとなしく捕まって下さい、ご隠居。今、貴方程の人物を失うには惜しい。

いくら貴方が電磁気学マスターだからといって……

古いTeX《テフ》の暗算では限界があるでしょう?」

プランクがオリバーを諭そうとする。だがボロボロになっても一向に戦う姿勢を崩そうとしないオリバーにプランクはため息をついた。

「………………これでもかのヴィクトリア朝最

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