さんよつ

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胃に優しい日々。エッセイおよびコラムを書いています。ご依頼やお問い合わせはプロフィール記事からお願いします。

最近の記事

睡眠は幸せだが思い出には残らない

この前、仕事の懇親会を終えたあとにみんなに連れられて、久しぶりに朝まで飲むことになってしまいました。 懇親会までの準備期間も忙しかったために疲労は酷く溜まっており、そんな状態で夜明けまで飲んだ時にはさすがに体力が持たなかったようで、自宅についてからはぐったりとベッドに倒れ込むように爆睡しました。 翌日は休みだったので、この時に時間を気にせずに気の済むまで眠ることができたため、10時間以上眠り続けていました。その時の幸福度は信じられないくらい高いものです。 この時に、本当

    • 名言は言わない

      誰かが苦境に立たされていたり、落ち込んでいたりする時に、周囲にいる身になった場合は「何か声を掛けなければ」と思う様になります。 しかし、そういった状況で適切な声掛けをしてあげることができる人はごく少数しかいないはずです。 そういった場合、内容によっては却って傷つけてしまったり、より落ち込ませてしまったりすることを想像してしまい、思わず口ごもってしまうだけに終わることもあります。 例えば僕は若い頃にがんと診断されてしまいましたが、その時には周囲の人から色々な声掛けをされる

      • 心を落ち着かせる雑務

        技術の発展によって人間の仕事のうち、肉体労働や単純作業が機械によって代替されていくというのは、現代資本主義社会の避けられない潮流ですが、それでもまだまだ肉体労働や単純作業を行っている人が一定数いることも事実です。 そして面白いことに、そんな単純作業を好む人間が未だに多くいるのです。 若い頃に書店でアルバイトをしていた頃、コミックにシュリンクというビニールの包装をかける作業がありました。 この作業は大量のコミックをシュリンク専用の機械にセットしてスイッチを押し、シュリンク

        • お金について|金はシンプルな社会貢献

          ここ最近になって退職をすることになった若い社員が「お金を稼ぎたいとかそういうのはいいんで」と言って、退職する理由を説明していたことがあり、少し違和感を感じました。 僕が勤めている会社はそこまで稼げている企業ではありませんが、まだ若い会社ではあるので、これからの急成長を目指しているという点では「これから稼ぐぞ」といった風潮があるのは確かです。 そういった風潮に対して「お金を稼ぐよりもワークライフバランスを大切にしながら社会貢献を続けていきたい」といったような考え方があるよう

        睡眠は幸せだが思い出には残らない

          なぜ歴史を学ぶのか|歴史改変小説に学ぶ

          去年読んで面白かった小説のなかに『文明交錯』という一冊があります。 本作のストーリーは「スペインがインカ帝国を、ではなく、インカ帝国がスペインを征服」するという、歴史改変小説です。これがめちゃくちゃ面白かった。 史実では、スペイン人のフランシスコ・ピサロが1532年にアタワルパ軍に対して奇襲をかけ、アタワルパを捕獲して処刑することから、スペインの世界征服が始まっていきます。 当時のインカ帝国が滅びた主要な要因として、スペイン人達が運んできた天然痘が挙げられますが、本作で

          なぜ歴史を学ぶのか|歴史改変小説に学ぶ

          人生はトレードオフの連続

          最近、仕事が夜遅くまで続くことが多く、深夜に営業している中華料理屋に足を運ぶことが増えました。 中華料理屋のメニューは青菜炒めや酢豚のような一品料理もあれば、餃子や焼売のような点心、チャーハンとラーメンなどのご飯ものと麺類、こういった非常に多くのラインナップがあり、どれも量が多く満足度も非常に高い料理ばかりです。 そんなメニューを眺めていると、どれも食べたくなりますが、胃を全摘出している少食な自分にとって、複数の料理を注文しても食べ切れないことが多いため、美味しそうであり

          人生はトレードオフの連続

          世界はまだフラット化してない

          インドや中国の台頭、インターネットの普及を通して、グローバリゼーションについて論じた『フラット化する世界』という本があります。 インターネットがあれば、自宅にいながらも全世界の情報にアクセスすることができます。今では誰もが昔の様にローカルな世界観では生きていません。 そして、インターネットによって個人にもビジネスチャンスが拓かれた一方で、市場は単一になり競争相手もグローバルに拡がっていきます。消費者としては無限に拡がる市場から恩恵を受けられるかもしれませんが、労働者側は富

          世界はまだフラット化してない

          挫折が醸成する唯一無二のタフネス

          先日、会社で今期の人事評価があり、どうやら僕はタフな社員であるという評価をいただいたようでした。業務の幅も広くこなしつつ、出張も頻繁な現在の状態を難なくこなしている姿勢が評価されたようです。 そこで上司が「うちの若い社員はみんな真面目過ぎるゆえにすぐに落ち込んでしまう」という話を、僕のタフネスを称えながらしてくれました。 「俺は若い頃に数えきれないくらい失敗したし、思い出すのも恥ずかしいようなこともある。だから今の若い社員が小さなことで委縮して少し注意すると落ち込んでしま

          挫折が醸成する唯一無二のタフネス

          サブスク解禁について考える

          ここ最近になって大瀧詠一のアルバムがSpotifyでも聞けるようになり、学生時代にCDやレコードで聞いていた記憶を辿りながら、ありがたく思っていました。 世間的にもアナログレコード回顧の動きはありますが、外出していることも多い僕にとってはスマホで持ち歩ける音楽というのは非常に助かります。そして音楽はたくさん聞くので月額にした方が圧倒的に安い。 それでもまだまだサブスク未解禁のアーティストは結構多いんだなぁと思い、簡単に調べてみたところ、タワーレコードが一覧にしたページを公

          サブスク解禁について考える

          隣の芝生はお互い青い|平日昼間の生ビール

          この前、仕事でしっかりと休憩時間を確保できたので、節約生活もほどほどに、外食でうどん屋に行ってうどんを食べてきました。 その時はだいたい14時~15時くらいだったので、ランチのラッシュは過ぎて店内は数人しかいない落ち着いた状態でした。そこで僕は普通のうどんを注文します。 その後、僕のもとにうどんが届いたころに一人の中年男性がひとりで入ってきて、その流れで生ビールを注文していました。僕がうどんを食べ始めたころ、その男性のもとにはすぐに生ビールが届き、淡々とした表情でその生ビ

          隣の芝生はお互い青い|平日昼間の生ビール

          日記とブログ|公開と非公開

          僕は手書きで日記を書く習慣を10年近く続け、ここ数年でnoteを始めました。それにより日々の書き物がアナログとデジタルの二刀流となり、それぞれの特徴も体感しながら毎日書き物をしています。(もちろん日によってはサボってしまうこともある) まず、手書きの日記は誰にも見せない前提で書くという点が圧倒的に自由です。「○○と会って○○について話す。あまり共感できないが○○とはまた会いたい」とか、そのくらいのレベルで個人的な感想が書き込まれ、未来の自分以外の読み手のことは意識されていな

          日記とブログ|公開と非公開

          死ぬ前の後悔|実体験に学ぶ

          この前「死ぬ前の後悔ベスト〇〇」といったネット記事を思わず読んでしまい、その理由を読みながら「後悔しないように生きなければ」と素直に思い直してしまいました。 こういった類の記事は年中ネット上に溢れているイメージがあります。要は普遍的なテーマなのでしょう。 僕自身は20代前半にがんに罹った経験があるので、わざわざネット記事を読まなくとも「死ぬ前の後悔」を経験することができています。経験したにも関わらず、その時の後悔も10年以上の月日が経過すると薄れてしまうというのが今回の学

          死ぬ前の後悔|実体験に学ぶ

          徒弟制度的スタートアップ企業の未来

          今年に入ってから僕が勤めている会社の事業部に、外部から新しい事業部長が着任して職場の雰囲気がガラッと変わりました。 去年までは「仕組み化が大切だ」「業務標準化を意識しよう」「DXを推進するんだ」と諸手を挙げて業務改善に取り組んでいた部署が、ひと昔前の徒弟制度的な文化に急速に変わり始めているのです。 具体的な例を挙げるとコミュニケーション手段の多くが電話による会話に変化しました。 Slackなどのチャットで記録を残すドキュメントドリブンな方針に向かっていた事業部が、電話に

          徒弟制度的スタートアップ企業の未来

          偶然の出会いを求める合理主義者

          普段からできる限り合理的な判断をしながら暮らしていきたいと考えています。 家賃を低く抑えつつ節約生活によって確保した種銭は、インデックスファンドに毎月定額で投資しして、長期的なリターンを見込みます。仕事でもデジタルを駆使して人間の感情を排したデータを読み取り、作業にも優先順位をつけて効率よく取り組んでいるつもりです。 私生活でもバイアスに満ちた情報はしっかりと遮断し、訪問詐欺やネット上のターゲティング広告からはうまく逃れて生活ができています。これも合理的な判断ができている

          偶然の出会いを求める合理主義者

          豊かさとの程良い距離感

          ここ最近「豊かさとは何か」をよく考えています。今まで数年間はそこまで忙しく働くことなく、程良いワークライフバランスで過ごしていたのですが、管理職になってハードワークをしなければならない状況から、「豊かさ」について考えるようになりました。 仕事が増えているのだから、所得も増えることを意味するので、その点では「豊かさ」を手に入れることに近づいているのですが、これはあくまでも金銭的および物質的な豊かさです。仕事の成果による充足感などはあれども、それは精神的な豊かさとは少し異なる感

          豊かさとの程良い距離感

          質素な暮らしは豊かな暮らし

          ずっと出張が続いていたので、コンビニ弁当か外食ばかりの食生活が続いていました。 しかし、ここ最近は少し出張頻度も少なくなり、先日は久しぶりに近所のスーパーで割引シールが貼られている食材を買って自炊をし、数日間だけ質素な暮らしをすることができました。 そこで気づいたのが、どちらかと言うと、質素倹約な営みをしている方が、豊かな暮らしをしている実感を持てたことです。 外食は食材の調達も料理もしないで美味しいものを食べられます。食後の洗いものも不要なので時短にも貢献し、何より楽

          質素な暮らしは豊かな暮らし