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豊かさとの程良い距離感

ここ最近「豊かさとは何か」をよく考えています。今まで数年間はそこまで忙しく働くことなく、程良いワークライフバランスで過ごしていたのですが、管理職になってハードワークをしなければならない状況から、「豊かさ」について考えるようになりました。

仕事が増えているのだから、所得も増えることを意味するので、その点では「豊かさ」を手に入れることに近づいているのですが、これはあくまでも金銭的および物質的な豊かさです。仕事の成果による充足感などはあれども、それは精神的な豊かさとは少し異なる感覚を持っています。

どんなに稼いでも自分より稼いでいる人はたくさんおり、どんなに働いても追いつくことができない存在ばかりです。そうこうしているうちに、時間は物凄いスピードで過ぎ去っていきます。

それだったら、飽くなき成長と競争を求められる市場から一歩距離を置いて、自分なりの「豊かさ」を見つけた方が良いのかもしれません。要は周りと比較して豊かさを求めてはいけないと気づいたわけです。

カール・マルクスは著書のなかで、隣人との比較によって豊かさの感じ方が異なることを、下記の様に述べています。

家が大きかろうと小さかろうと、周囲の家も同じ大きさであるかぎりは、住居としてのすべての社会的必要性を満たすことになる。だが、小さな家のそばに宮殿が建てられれば、小さな家は掘っ立て小屋に格下げになる。

Karl Marx and Frederick Engels, Selected Works, 3 vols.(Moscow:Progress Publishers, 1969),Ⅰ:163.

幸せを金で買うことができたとしても、それはあくまでも相対的なものでしかないのです。

なので、普段からあまり金の臭いがする場所に身を置かないことが幸福を実現するためのひとつのポイントなのかもしれません。

ここで極端に都会から離れてしまい、慣れない地方暮らしで仕事を見つけることができず、物質的な豊かさまで失ってしまっては元も子もありませんが、マルクスの時代で言う宮殿の様な豪奢なもの、高層ビルや高級レストラン、欲望にまみれた繁華街などからは、適度に距離を置くことが大切なのでしょう。

例えば、僕は静かな場所で本を読んでいる時間に底知れぬ「豊かさ」を感じます。これは物質的豊かさとは違う、本質的な豊かさだと思います。

友人や知人と食事をしている時に豊かさを感じる人もいれば、旅行に行っている時に豊かさを感じる人もいるはずです。

「豊かさ」の解釈を物質面でばかり求めてしまうと、勝ち目のない戦いに巻き込まれて疲弊してしまうことが目に見えています。

周りとは比較せず、自分にとっての「豊かさ」をいかに見極めるか。そして物質的に豊かな場所といかに程良く距離を取るか。これが幸福の鍵だと思います。

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