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徒弟制度的スタートアップ企業の未来

今年に入ってから僕が勤めている会社の事業部に、外部から新しい事業部長が着任して職場の雰囲気がガラッと変わりました。

去年までは「仕組み化が大切だ」「業務標準化を意識しよう」「DXを推進するんだ」と諸手を挙げて業務改善に取り組んでいた部署が、ひと昔前の徒弟制度的な文化に急速に変わり始めているのです。

具体的な例を挙げるとコミュニケーション手段の多くが電話による会話に変化しました。

Slackなどのチャットで記録を残すドキュメントドリブンな方針に向かっていた事業部が、電話による会話のやり取りばかりの文化に逆戻りしているのです。「メール送っといたから見といて」の様な電話も多いです。

そして対面の会議や飲み会も増え、リモートワーク全盛の時代は終焉し、コミュニケーションは活発になったように思います。

これは一見すると退化しているように見えるのですが、今のところは良い方に進んでいるように思えます。売上も順調に伸びています。

何故かと言うと、今までの急激なDX化についてこれなかった社員が行っていた無駄なデジタルのコミュニケーションコストが激減したからです。結局のところアナログは早かったりするのです。

もちろん、完全なDX化が達成できていないからこういった現象が起こるのであって、本来はやり取りの記録をログとして残しつつ、スピーディーなコミュニケーションを取るべきです。しかし、それが不完全な状態であるならば、アナログの方が却って優勢になるのだと痛感しました。

会社の文化が急に昭和に戻ったようでありながら、実際には成長を続けて成功しているという、この現実は非常に興味深いものです。

確かによくよく考えてみれば、システムや制度というのは、導入すれば問題が解決するわけではありません。問題を解決するためのひとつの手段であるだけです。

アメリカで禁酒法が制定された時代に、却って密輸や密売が横行してしまい社会情勢が悪化した歴史があります。システムや制度が存在しても、その網の目をくぐる人間や、そのシステムや制度に順応できない人間が必ず出てくるものなのです。

下手にDX化して余計な負担が発生している状態であるのなら、徒弟制度的な文化に先祖返りすることで、一時的には組織の生産性を高めることができるのかもしれません。

これからどうなるのか楽しみにしながら見ていこうと思います。

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