かなぶん

心の底から薦めたいものだけを薦めたいときに薦めたいだけ。本多め。

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最近の記事

文豪たちのラジオ

小説家のラジオを聴くのがたまらなく好きだ。 選び抜かれた日本語が耳に心地よく、1週間の疲れを解きほぐしてくれる。 1.高橋源一郎の飛ぶ教室 パーソナリティの高橋源一郎が毎週1冊本を取り上げ、ゲストを迎えるのですが、選書も人選も素晴らしく、ここで取り上げられた本を何冊買ったか知れません。 番組に招かれた、とあるゲストについて「迎えるべきではない」とプチ炎上が起こったときに高橋さんがぶった演説はいまも私の心をがっちり捕らえています。 控えめに言って最高ですよね。 2.村上

    • 8月の代官山彷徨

      用あって真夏の昼間に中目黒〜代官山を歩く。 旧朝倉家住宅は、目黒川から伸びる急な坂道を登った先にある。この一画だけ小さな森のようになっていて、避暑地のような清涼感に包まれる。 渋谷区が管理しているから、見学料は100円。ワンコインでこれだけ上質な憩いが得られるのだから、公共事業も捨てたものじゃないよなあと思う。 中目黒のCOWBOOKSでウディ・アレンの『おいしい生活』を買う。

      • 好きなものからできている~好きなもの100選~

        今回はRitaさんとのコラボ企画「好きなもの100選」をお届けします。 Ritaは大人になってからできた友だち。 こういう趣味の合うひとと、中学校か高校で「別のクラスなのにたまに漫画の貸し借りをしたり、部活のあとに一緒に帰ったりするような友だち」として出会っていたらさぞかし楽しかっただろうと思います。 Rita版はこちら! さて、好きなもの100選ですが、そんな友人に紹介すると思って書いてみました。 100個も挙げると、自分が何からできているかを白日の下に曝すようでちょっ

        • 「牛飼が歌よむ時に世の中の新しき歌大いにおこる」(伊藤左千夫)

        文豪たちのラジオ

          「読書によって心が広くなるより、狭くなる人の方が多い」(北村太郎) この言葉も忘れがたい。

          「読書によって心が広くなるより、狭くなる人の方が多い」(北村太郎) この言葉も忘れがたい。

          「汝の立つ処深く掘れ、そこに必ず泉あり」、ニーチェの言葉だそうです。深いね。

          「汝の立つ処深く掘れ、そこに必ず泉あり」、ニーチェの言葉だそうです。深いね。

          天才が書いた小説ーー矢作俊彦『あ・じゃ・ぱん!』

          ひょっとしたら一番好きな小説かもしれない。 ドイツや朝鮮半島のように日本が第二次世界大戦によって東日本と西日本に分断されてしまうという歴史改変、偽史小説。 東日本は共産主義国家になっており、ソ連の強い影響下にある。第一党の日本統一労働党の書記長が中曽根康弘、これを転覆しようと目論む反政府ゲリラ・独立農民労働党の党首が田中角栄である。 一方の西日本は吉本興業が牛耳る資本主義社会で、創業者一族の吉本シヅ子(笠置シヅ子)が内閣総理大臣を務めている。 吉本興業の社長は杉本高文、田

          天才が書いた小説ーー矢作俊彦『あ・じゃ・ぱん!』

          【はじめてのnote】小林秀雄「カヤの平」

           小林秀雄と言うと、難解な文章を書く気難しい老人という印象が先に立って好きになれなかったのだが、「カヤの平」を読んで印象が一変した。  スキー初心者の小林秀雄が『日本百名山』で有名な山男の深田久弥に引きずり回される格好で信州の雪山を滑走する。  いつもの自信たっぷり、居丈高な小林はそこにはおらず、ただただ這いつくばって死に物狂いで深田を追いかける様が、可愛らしく、愛おしい。  小林はランボオ『地獄の季節』の翻訳者、つまり詩のひとでもあったのだということを思い出させられる。

          【はじめてのnote】小林秀雄「カヤの平」