文豪たちのラジオ

小説家のラジオを聴くのがたまらなく好きだ。
選び抜かれた日本語が耳に心地よく、1週間の疲れを解きほぐしてくれる。

1.高橋源一郎の飛ぶ教室

パーソナリティの高橋源一郎が毎週1冊本を取り上げ、ゲストを迎えるのですが、選書も人選も素晴らしく、ここで取り上げられた本を何冊買ったか知れません。
番組に招かれた、とあるゲストについて「迎えるべきではない」とプチ炎上が起こったときに高橋さんがぶった演説はいまも私の心をがっちり捕らえています。

「高橋源一郎の飛ぶ教室」に「迎えるべきでない」ゲストは、ひとりもいません。この世界にひとりも、です。(中略)
外の世界では王様やとんでもない悪党であっても、ここでは同じ人間として対等に話すことができる。そんな番組でありたいとぼくは思ってきました。だから、いまでも、いちばん出てもらいたいのは、たとえば、それが可能なら、トランプ前大統領です。ぼくは、彼の思想も行動もなにひとつ支持できませんが、あまりに正反対なので、会って話してみたいと思ったのです。リスナーが固唾を呑んで見守る中、ぼくとトランプ前大統領が音楽の話で盛り上がる。楽しそうではありませんか。そう、ラジオは自由で楽しくなくっちゃね。

『高橋源一郎の飛ぶ教室-はじまりのことば』(岩波新書)

控えめに言って最高ですよね。

2.村上RADIO

村上春樹の「村上RADIO」も心待ちにしている番組の一つです。
DJ村上春樹が選曲した音楽を流して解説するというシンプルな番組構成なのですが、「高橋源一郎の飛ぶ教室」や後述の番組と違って音楽がメインなので、走りながら聴くにはもっていこいです。
5月ぐらいの晴れた日に神宮外苑や多摩川沿いなんかを走りながら聴くと、人生のささやかな幸せみたいなものを噛みしめることができます。

3.岸政彦の20分休み

岸政彦の小説家としてのキャリアは高橋源一郎や村上春樹に比べて短いけど、極めて上質な小説やエッセイを書く、個人的最注目の書き手です。
語り口が柔らかで、偉そうじゃないところが岸政彦のいいところ。日本のおじさんがみんな岸政彦みたいだったら、日本はもう少し住みやすくて気持ちのいいものになっていたんじゃないかな。

4.アーサービナード ラジオぽこりぽこり

古本屋で見つけた『知らなかった、ぼくらの戦争』(小学館)という本が、アーサー・ビナードのラジオ番組を採録したものだそうで、それでアーサー・ビナードのラジオ番組の存在を知りました。
まだ聴き始めて間もない番組ですが、ここにも耳を傾けるべき言葉があると私の直感が教えてくれています。




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