かのバイエルンのルードヴィヒ二世も同性愛者の暗愚の君であるという点がヴィルヘルム二世と共通しているが、彼等は同じような価値観を持っていたのだろう このドイツは政治不安の要素しか存在しない いや、それはこの時代だけの話ではない ドイツには伝統的に宗教しか存在せず、政治など無かった
黄禍論やオイレンブルク事件などという、冗談のような沙汰ばかりを起こしたヴィルヘルム二世は、暗愚の君そのものであった 彼はドイツ帝国を滅ぼすことになったのは必然である キリスト教を重んじた彼は、白人至上主義者であったが同性愛者でもあった この男はキリスト教でも問題とされる存在だろう
同性愛者で白人至上主義者のヴィルヘルム二世は、カトリックなら確実に問題視される存在である とはいえ、プロテスタントには白人至上主義を肯定する派閥もあり、同性愛を肯定する派閥もある ヴィルヘルム二世はプロテスタント教徒であったので、彼の性質は存外に問題ないかもしれない
ヒトラーもルードヴィッヒ二世やらヴィルヘルム二世やらと同じような価値観を持っていたことは説明不要だ こうした民族主義者がゲルマン民族至上主義を唱え、一次大戦と二次大戦を引き起こしてヨーロッパ全体を破壊した 産業革命のイギリスが近代を造り、民族主義のドイツが近代を壊したわけだ
ビスマルクのドイツ帝国とは実質的にはプロイセン王国の拡大版に過ぎない ヴィルヘルム二世の親政より前の時代は、あれはプロイセン王国でしかない ビスマルクは産業主義社会を創ることに成功したが、彼がプロイセン人であったが故にだ ビスマルクがドイツ人であれば、現実政治よりも政教一致を選ぶ
第一次大戦で最も活躍したプロイセン人はフリッツ・ハーバーというユダヤ人であった 彼の活躍がなければ、ドイツ帝国は攻勢を維持して戦い抜くことは出来なかった ユダヤ人を追放したナチスは、クルスクの戦い以降は攻勢を維持出来なかった 攻勢を維持できた期間は一次大戦の方が長いのだ