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1956年、愛知県刈谷市生まれ。名古屋大学中退。豊明市在住の男です。2年前印刷会社を定年退職して、毎日家の中で過ごしています。自分が勉強、経験してきたことを、自分なりの方法でまとめたものを発表する場としてnoteさんを選びました。これからも書き続けていくつもりです。血液型A。

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    3部作に『老いの恋文』というタイトルをつけてみました。

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★こころのプロムナード  9/2更新!古い記事も読んでね。掘出し物あるよ!

★悲しき軍歌 ★短編集 老いの恋文 ★俳句・短歌 with エッセイ ★古き良き、永遠の友よ ★ ❤芥川  

    • エッセイ 戦争の季節に思う

       戦争と死刑に関する私見を述べています。ご不快に感じられる方がいらっしゃるかもしれません。予めお断りしておきます。  もう何年も前のことになるが、確か遠藤周作のエッセイだったと思うが、欧米では、戦争反対論と死刑廃止論は、その根本が同じだということを知らされた。つまり、人間が人間を死をもって裁くことはできないという考え方である。なるほど、とまさに目から鱗の落ちる思いがした。  戦争とか死刑というものを、知的に、論理的に突き詰めて考えていかないと、こういう結論にはなかなか辿り着

      • エッセイ 終わらなかった戦争

        (私の個人的意見です。事実誤認もあるかもしれません。ご不快に思われる方がいらっしゃるかもしれないことを先にお詫びします)  今年も暑い8月がやってきた。6日は広島への原爆投下の日、9日は長崎への原爆投下の日、そして15日の終戦記念日。私は若い頃から戦争に関心を持ってきたが、といって特別深い知識を持っているわけでもないが、戦争は8月15日をもって、終わるべくして終わったものだと思ってきた。原爆を2発も落とされ、日本中を空襲で焼かれ、もう戦い続ける気力も戦力もなくなってしまった

        • エッセイ 涙

           由紀さおりの『故郷』(ふるさと)という歌(唱歌ではない)に、「あすは汚れた涙 流して生きてく私たちだけど」という歌詞があります。(作詞:山川啓介)「汚れた涙」とはどんな涙なんでしょう。涙にはいろんな涙があります。「悲しみの涙」、「悔し涙」、「嬉し涙」、「感動の涙」・・・。この歌の「汚れた涙」とは、「失恋の涙」、「出世競争に負けた涙」といったところかと解釈しています。  私もきのう、テレビ(録画)を見ていて少し涙ぐみました。往年の大歌手、渡辺はま子の名曲『あゝモンテンルパの夜

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          エッセイ 「海の日」に思う

           7月15日は「海の日」だそうです。今は7月の第3月曜となっているようですが、もともとは7月の20日でした。7月に祝日がないということで、無理やり祝日を作ったという印象がありますが、「海の日」自体には、ちゃんとした起源があるようです。  明治時代に制定された「海の記念日」というのが起源のようです。1876(明治9)年に、東北巡幸を終えた明治天皇がその帰りに灯台巡視船「明治丸」に乗り、7月20日に横浜港に無事帰還したことを祝って、制定されたものらしいです。ネットで知りました。天

          エッセイ 「海の日」に思う

          映画感想文 『戦場にかける橋』 戦場に橋はかかったか?

           先日天皇と皇后がイギリスを訪問した際に、太平洋戦争中の、イギリス人捕虜の非道な取り扱いについての言及があった。  太平洋戦争は日本とアメリカだけの戦争ではなかった。インドネシアではオランダと戦っているし、インドシナ半島ではイギリスと戦った。ABCD包囲陣と呼ばれる所以である。  タイとビルマ(当時)を結ぶ泰面鉄道のクウェー川(映画ではクワイ川)に架ける橋の建設(1943年)を巡っての日本軍とイギリス人捕虜の対立を描いた映画『戦場にかける橋』は名作の誉れが高い。  「生きて虜

          映画感想文 『戦場にかける橋』 戦場に橋はかかったか?

          読書感想文 7月7日は日中戦争開戦の日~『生きている兵隊』『麦と兵隊・土と兵隊』『赤い高粱』~

           先日、ネットで文庫本を2冊購入した。1冊は石川達三の『生きている兵隊』(中公文庫)。もう1冊は火野葦平の『麦と兵隊・土と兵隊』(角川文庫)だ。『麦と兵隊』と『土と兵隊』は全然別物で、それぞれの正式名称は『麦と兵隊 徐州会戦従軍記』、『土と兵隊 杭州湾敵前上陸記』となる。3作とも日中戦争中に書かれたものである。  なぜこんな古い本を読む気になったかというと、太平洋戦争に比べて、日中戦争を描いた小説が圧倒的に少ない(と思われる)こと。被害者としての戦争より、加害者としての戦争を

          読書感想文 7月7日は日中戦争開戦の日~『生きている兵隊』『麦と兵隊・土と兵隊』『赤い高粱』~

          読書感想文『畜犬談』追加(ネタばれ必至!)

           先日投稿した太宰の『畜犬談』について、蛇足と思われるかもしれないが、若干の追加をしたい。  『畜犬談』に出てくる犬を「軍人」と書いたが、それに加えて、「憲兵」という意味もある。「憲兵」というのは、軍隊内の警察のようなものだが、次第に一般人に対しても目を光らせるようになり、志賀直哉や菊池寛も目を付けられていたようだ。犬のようにどこへでも付いて来るというのは、憲兵による監視を意味している。学生時代に左翼運動をしていた太宰はプロレタリア文学にも傾倒し、警察に2度も捕まり、兄による

          読書感想文『畜犬談』追加(ネタばれ必至!)

          読書感想文 太宰治『畜犬談』に込められた反戦のメッセージ!!(ネタばれ注意!)

           何十年かぶりで太宰治の『畜犬談』を読んだ。他の目的で太宰の文庫を開いたら、たまたま『畜犬談』のページが開いたのだ。若い頃読んだ時は、ただ笑える小説というぐらいのイメージしか持たなかったが、今度は以前とは全く違って、この短編にひっそりと込められた太宰の深い意味を感じ取った。  「犬は猛獣である」という一節が目に入った瞬間、私は中島敦の『山月記』を連想した。人間が虎に豹変して、昔の友人を襲う話である。太宰の文章を探してみると、あった。「かつての友に吠え、兄弟、父母をも、けろりと

          読書感想文 太宰治『畜犬談』に込められた反戦のメッセージ!!(ネタばれ注意!)

          エッセイ 幸多からんことを・・・

           きょう女房とボウリングに行ってきました。右側のレーンがずらっと空いていました。団体の予約が入っているとのこと。投げ出してしばらくすると、入口の方から、「キーッ」というような声が聞こえました。子どもたちでも来たのかなと思って、通路の方に目をやると、車椅子の行列が、私たちのレーンを通り越して、右側のレーンに向かっていました。先ほどの声は、その中の一人が発したもののようでした。車椅子の数は10台ぐらいだったでしょうか。母親らしき女性が1台ずつ押していました。乗っているのは10歳前

          エッセイ 幸多からんことを・・・

          読書感想文『本陣殺人事件』因果は巡る糸車

          (少しだけネタばれ注意)  横溝正史の『本陣殺人事件』は、戦後の昭和21年に発表されたミステリーだが、小説の舞台となるのは昭和12年11月だ。前年に2・26事件があり、12年7月には盧溝橋事件が起こり、8年に亘る日中戦争が始まる。そんな年に、横溝正史の疎開先であった岡山県倉敷市で起こった事件、という想定である。  この小説は、映画にもなっているし、(余談だが、ATG版では若き日の中尾彬が金田一役で出ている)テレビドラマ化も何回もされているが、戦争の臭いはほとんどしない。書かれ

          読書感想文『本陣殺人事件』因果は巡る糸車

          読書感想文『蟹工船』 小林多喜二と博愛丸

           『蟹工船』というプロレタリア文学の名作がある。数年前ワーキングプアが社会問題になった時に、突如として話題になった。当時と状況が似ているということなのだろうが、『蟹工船』が発表された1929(昭和4)年とは世界恐慌の起こった年で、労働者の悲惨さは現代とは比較にならない。小説では、資本家の横暴がこれでもかという感じで描かれている。  この小説にはモデルになった事件がある。1926(昭和1)年に起こった博愛丸(皮肉な名前である。小説では博光丸)事件である。林兼商店(現マルハニチロ

          読書感想文『蟹工船』 小林多喜二と博愛丸

          読書感想文 川端康成の『伊豆の踊子』と『雪国』に見る時代の変化

           「湯ケ野までは河津川の渓谷に沿うて三里余りの下りだった。峠を越えてからは、山や空の色までが南国らしく感じられた。私と男とは絶えず話し続けて、すっかり親しくなった。」  これは川端康成の『伊豆の踊子』の一節である。天城峠を北から南へ越えて来ると風景が一変することになぞらえて、踊り子の一行と親しくなり、心が晴れやかになってきた「私」の心理状態を表現している箇所である。  「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」こちらは有名な『雪国』の書き出しである。『

          読書感想文 川端康成の『伊豆の踊子』と『雪国』に見る時代の変化

          読書感想文 『李陵』は中島敦の「戦陣訓」批判

           「生きて虜囚の辱めを受けず」。昭和16年の1月に当時陸軍大臣だった東條英機によって発せられた「戦陣訓」のあまりにも有名な一節である。「戦陣訓」は長引く日中戦争に緩み勝ちになった軍隊、国民に対して気を引き締める目的で発せられた。この一文がどれだけの日本人の命を奪ったことか。軍人、兵士は生きて降伏することを禁じられ、国民は自決用の手榴弾を持たされた。この「戦陣訓」に対する中島敦の静かな抗議が、『李陵』ではないか、と私は考える。  匈奴に捕らえられるも、自決しなかった李陵。優れた

          読書感想文 『李陵』は中島敦の「戦陣訓」批判

          読書感想文 中島敦の『山月記』に日本の怖さを見る

           久しぶりに中島敦の『山月記』を読み返してみた。以前読んだ時には、感じなかったことを今回は感じた。「考えた」わけではなく、「感じた」のである。  私は以前から戦中の日本は、A型が切れた状態だと考えてきた。李徴が一瞬にして虎に変わった箇所を読んだ時に、これは当時の日本のことを言っているのではないかと、感じたのである。  『山月記』が書かれた昭和16年、太平洋戦争が始まる直前の緊迫した状況、すでに日中戦争は始まって4年を経過し、泥沼化していた。古代から近代まで長く親しい関係を続け

          読書感想文 中島敦の『山月記』に日本の怖さを見る

          続・座標軸 小泉劇場編

           小泉純一郎が総理大臣になったのは、バブルがはじけて10年後の2001(平成13)年だった。その間、1995(平成7)年の阪神淡路大震災をはさんで、自民党の下野、政権奪回があったが、失われた10年はいまだ取り返せないままだった。しびれを切らせた小泉は「自民党をぶっ壊す」と息巻いた。小泉は森派(安倍派)で、競争原理を取り入れた小さい政府を目指すアメリカ寄りの政権だった。小泉がぶっ壊すといったのは、大きい政府を続けて、バブル崩壊後もなかなか変わろうとしない左派政権だった。  郵政

          続・座標軸 小泉劇場編