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★読書感想文

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読書感想文を集めました。
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記事一覧

読書感想文 7月7日は日中戦争開戦の日~『生きている兵隊』『麦と兵隊・土と兵隊』『…

 先日、ネットで文庫本を2冊購入した。1冊は石川達三の『生きている兵隊』(中公文庫)。も…

nority
3か月前
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読書感想文『畜犬談』追加(ネタばれ必至!)

 先日投稿した太宰の『畜犬談』について、蛇足と思われるかもしれないが、若干の追加をしたい…

nority
3か月前
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読書感想文 太宰治『畜犬談』に込められた反戦のメッセージ!!(ネタばれ注意!)

 何十年かぶりで太宰治の『畜犬談』を読んだ。他の目的で太宰の文庫を開いたら、たまたま『畜…

nority
3か月前
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読書感想文『本陣殺人事件』因果は巡る糸車

(少しだけネタばれ注意)  横溝正史の『本陣殺人事件』は、戦後の昭和21年に発表されたミス…

nority
4か月前
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読書感想文『蟹工船』 小林多喜二と博愛丸

 『蟹工船』というプロレタリア文学の名作がある。数年前ワーキングプアが社会問題になった時…

nority
4か月前
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読書感想文 川端康成の『伊豆の踊子』と『雪国』に見る時代の変化

 「湯ケ野までは河津川の渓谷に沿うて三里余りの下りだった。峠を越えてからは、山や空の色ま…

nority
4か月前
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読書感想文 『李陵』は中島敦の「戦陣訓」批判

 「生きて虜囚の辱めを受けず」。昭和16年の1月に当時陸軍大臣だった東條英機によって発せられた「戦陣訓」のあまりにも有名な一節である。「戦陣訓」は長引く日中戦争に緩み勝ちになった軍隊、国民に対して気を引き締める目的で発せられた。この一文がどれだけの日本人の命を奪ったことか。軍人、兵士は生きて降伏することを禁じられ、国民は自決用の手榴弾を持たされた。この「戦陣訓」に対する中島敦の静かな抗議が、『李陵』ではないか、と私は考える。  匈奴に捕らえられるも、自決しなかった李陵。優れた

読書感想文 中島敦の『山月記』に日本の怖さを見る

 久しぶりに中島敦の『山月記』を読み返してみた。以前読んだ時には、感じなかったことを今回…

nority
4か月前
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読書感想文 血液型で読み解く芥川の『羅生門』

 平安時代の荒廃した京都。京都は典型的なA型の町。その荒れた京都を象徴する崩れかけた羅生…

nority
8か月前
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読書感想文              血液型で読み解く芥川の『蜜柑』

 芥川はA型です。芥川が活躍した時代、『蜜柑』の時代は、大正時代、第一次世界大戦が終わる…

nority
8か月前
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読書感想文              杜子春よ

 杜子春よ、わしがお前をなぜ、仙人にさせなかったかわかるか。いやその前に、お前はなぜ仙人…

nority
8か月前
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読書感想文  血液型で読み解く芥川の『トロッコ』 一本のレール

 良平はトロッコが好きな少年でした。レールの上を突っ走って行くのが。たぶんA型なのでしょ…

nority
8か月前
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読書感想文 芥川の『蜜柑』の母性愛

 芥川の短編『蜜柑』の登場人物は2人だけである。芥川本人と思しき「私」と小娘である。「私…

nority
8か月前
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読書感想文 『蜘蛛の糸』が切れる時   

 カンダタは血の池地獄で絶望していた。そこへ、一条の希望の光が差し込んできた。極楽から1本の蜘蛛の糸が垂れてきたのである。なぜかは知らぬ。(助かるかもしれない)カンダタはその蜘蛛の糸に飛びついた。カンダタの頭の中には自分のことしかなかった。(助かるかもしれない、助かるかもしれない。いや、何としても助かるんだ。こんな地獄から抜け出してやる・・・)地獄にはもちろん、カンダタのほかにもたくさんの罪人が、絶望の淵をさまよっていた。そしてカンダタと同じように地獄から抜け出したいと考えて