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旅エッセイ。どこでなにを考える?

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旅中に頭に思い浮かんだことを並べています。
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#ヨーロッパ

クリスマスマーケットは夢の中。

クリスマスマーケットは夢の中。

雪は子供が喜ぶものだと思っていた。

「あぁ雪が降ってきた。」とけだるそうに窓の外を眺めるのが大人。

降り積もっていく雪を背景にして温かいコーヒーを片手に、赤チェックのブランケットを膝にかけ、読みかけの雑誌をめくるのが大人の冬の過ごし方だと思っていたんです。薪ストーブの近くには犬がいたりして。

そんな想像とも妄想とも言えるような私の未来はまだ遠いようで、現在の私は足元のドクターマーチンのチェリ

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さよならアイルランド。飛行機に乗るまでの話。

さよならアイルランド。飛行機に乗るまでの話。

普段オフィスに行くために乗るバスと同じバスに乗った。

向かう先はいつもと違う。あと車内の混み具合。何で大荷物の今日に限って、こんなに人が乗り込んで来るのだろう。他のバスがいるせいで、停留所に止まりきれずウロウロしている私のバスは魚の集団みたいな人の塊をあっちこっちに動かした。そんな人の波を横目にため息をつく。

荷物は取り敢えず詰めたけど、絶対カウンターで引っかかる。Ryanairの厳しさと追加

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記憶に呼びかける香りと音楽

記憶に呼びかける香りと音楽

ココナッツの香りをかぐと、オーストラリアで出会ったホストマザーを思い出します。

彼女からココナッツの匂いがしていたのか、彼女が作った料理に使われたココナッツオイルが私の記憶に刻まれてるのかは定かではありません。

むんとした熱帯の空気の匂いは、バリ島に旅行で行ったときに降り立った空港を、

金木犀の甘い香りは、幼少期に保育園まで通っていた地元の道を、

独特なナンプラーの匂いは、街中に屋

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認めることができる人になりたい。#やさしさってなんだろう

認めることができる人になりたい。#やさしさってなんだろう

優しい人になる。

これは私が掲げている目標の一つであり、いつになったら達成することができるのか判断が難しい目標でもある。

「優しい」の定義は人によって違うし、同じ人でも時が経てばきっと言葉が持つ意味は変わるからだ。

私はこれまで、「優しい」というのは「何でも許せる人」だと思っていた。

でも時に大切な人達がした間違いを許せないこともある。許せない人は優しくない人なのだろうか。本当の意味で「や

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きっと秋の夜長が癒してくれる

きっと秋の夜長が癒してくれる

私事で申し訳ないのだが、最近心がささくれている。

勿論ささくれた私の心のせいでケガをした人には大変申し訳ないと思ってはいるのだが、今は他の人に気を留める余裕もないくらい自分の心のケアで手が一杯だ。

特に自分がイラつく理由も見当たらないし、怒ってしまった事柄も冷静になれば大したことではないのも理解できるのだが、その瞬間はそこまで頭が回らない。

実は生理中である、と言えばそれが理由でそれまでのこ

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人生は会わなきゃいけない人に会わなきゃいけないタイミングで会うように出来ているという話

人生は会わなきゃいけない人に会わなきゃいけないタイミングで会うように出来ているという話

人の訃報を聞いた。
アルゼンチン人の同僚のお父さんが、母国からアイルランドまでわざわざ会いに来て一緒に旅行をし始めて2日経ったときの出来事だったそうだ。

同僚のその後の話によると、心臓発作が起きた彼女の父親は、そんなことがいつ起きてもおかしくない状態だったと医者からは伝えられたらしい。

最後にお互いの顔を見れた、と思うとこの悲しい事実を人伝いで聞くよりマシだとその同僚は言った。



こんな

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好きという引力

好きという引力

丁寧に整えられたグリーンの芝に並ぶ、赤と白のユニフォーム。スタジアム中に響くのは両サイドのサポーターの大きな歓声だけど、選手の真剣な顔からはその声が届いているのかもわからないくらいの集中と熱気が滲み出ている。

世界中の人が固唾をのんで見守るのは欧州チャンピオンズリーグのファイナルマッチ。私も例外では無く、アイルランドの首都ダブリンにあるスパニッシュスタイルのパブで、試合の行方を見届けていた。

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