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はるのひ
2018年12月25日 13:46
日常のふとした時に、空を見上げる。電車の流れる車窓の向こう。自転車をこぐ、スーパーからの帰り道。エレベーターから玄関までの数メートル。洗濯物をとりこむベランダ。そのたびに、ああ、この色合いが最高に好きだ、と思う。川面よりもまぶしい水色。幻想的な青とピンク。淡いグラデーションの藍。ピンクとオレンジの間の夕焼け。どの色も、二度と見られない。写真には収まらない。ずっ
2018年3月14日 14:33
「はるのひ」という名前は、中原中也の『春の日の歌』という詩から来ている。初めてこの詩を知ったのは、”文字“ではなく、”音“だった。朗々と読み上げられたときの、その独特のリズム。ぱっと正確には意味が取れないのに、どこか惹かれる…そんな経験は初めてだった。***** 春の日の歌 作・中原中也 流(ながれ)よ、 淡(あは)き 嬌羞(きょうしゅう)よ、ながれて ゆくか 空の国?
2017年8月9日 19:03
真冬の夜の闇の中、車は街を滑る。頭上には、いつになく見事な満点の星空。「代わりに見といて」ハンドルを握る彼は前方に視線を戻し、ふわりと言う。彼の隣で、彼の分まで星に見とれる。地図は出さずに、目指すは海の方。間違った道をぐるりと回りまた同じ場所に出て、2人で笑う。見知らぬ街の、見知らぬ坂を上りきると突然 視界が開けた。同時に息をのみ、歓声をあげる。宝石のよ