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教師1人が学びの責任を持たない、包括的なアプローチとは『何のためのテスト?』第6章(読書会記録)

 社会構成主義第一人者ガーゲンの「何のためのテスト?――評価で変わる学校と学び」のオンライン読書会の記録です。※あくまで個人の受け取り方・感想です。

第6章 授業評価への関係論的アプローチ

 第7回は第6章。これまで子どもの視点で、いわゆる工場生産のような学校教育の弊害が書かれてきていましたが、今回注目されているのは教師です。

現状の教師への評価

 私自身は教師ではないので、本に書いてあること&読書会に参加している教師の皆さんの話となります。
 現状の多くは、生徒のテストの点数=教師の評価となってしまいがちだそうです。教育が商品化されているので、生徒の成績を向上させる能力=教師の能力という見方に。
 これは、教師だけが学びのプロセスの責任を負っている状態です。

包括的なアプローチ

 本書では、上記のような状態を脱却するために、「包括的なアプローチ」を提唱しています。
 そのまま抜粋をすると、「教師はガイドであり、ファシリテーターであり、メンターであり、学習者でもある」。そして、「専門性の発達は、教師同士の関係、生徒、同僚との関係、さらには保護者との関係も含め関係プロセスを育てることまで拡張して考える必要がある」とのことです。

 これには、教師の立場/教師以外の立場の人から様々な感想が出ました。
 1人に上記全ての役割をやらせようとするとつぶれるのでは?という意見に対し、役割を持たせるというよりも、関係性を広げていくという意味ではという意見。
 自身が教育においてそういった接し方を受けてないと実体験としてのイメージが湧かないのではという意見や、新卒で突然そういった関係を築いていくのは大変なのではといった意見などなど。

 個人的には、上記のような役割って、子どもの頃からいわゆる「学校の先生」以外を含めれば幅広くいろんな関係性の中で体験してるんじゃないかと思ったんですよね。近所の人、従兄弟、親の友達、習い事の先生などなど。
 ただ、そういった日常の中の経験を、「仕事(ここでいうと教師)」に結びつけて、言語化することが難しいのかもという話が出て、なるほどなあと思いました。

 なお、本の中では実践に向けた4つの方向性や、3つの形式、そして具体的な改善事例などが載っているので、教師の方は参考になるかもしれません。

その他読書会での話題

  • テストの結果=教師の評価だと、わざと簡単なテストにしたら簡単に点数を上げられてしまう。信憑性はいかに?

  • 学生向けの授業アンケートも、形骸化しているケースも少なくないのでは?

  • テストのための勉強をさせると、終わった瞬間に忘れてしまう

  • 現状でも専門性を高めるために学んだり、いろんな人との関係構築をしたいが、そもそも雑務に追われてなかなか時間が取れない

  • アクションリサーチによる省察などは、時間があっても1人でやるには難しそう

📖読書会記録
序章 ガーゲンの新作「何のためのテスト?」
第1章 テストで正確な「評価」はできない?
第2章 先生・生徒の新たな関係パターンとは?
第3章 「価値」を先生と子どもが共同探求で決めていく
第4章 小学校で「関係」に基づく評価を行うヒント
第5章 中学・高校で「関係」に基づく評価を行うヒント
第6章 教師1人が学びの責任を持たない、包括的なアプローチとは
第7章 学校自体も、多軸で評価をしていく

📖ガーゲンの前作「関係からはじまる」読書会まとめはこちら

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