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北欧のリビングラボ

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北欧のリビングラボについて、コンセプトや事例の紹介をしています。 情報共有ネットワークとしてFBのリビングラボ研究所(https://www.facebook.com/group… もっと読む
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記事一覧

『実験の民主主義』読書会 2024年2−3月

『実験の民主主義』読書会 2024年2−3月

坂口緑先生が、「思いつきで始めた」という『実験の民主主義』の読書会。全三回が終了。一回が2時間弱という骨太の読書会で、私以外の参加者は、『実験の民主主義』で言及されているさまざまな研究者(トゥクビルとか)をよくご存知の方々でした。

民主主義に関しては、きちんと学んだことはなかったのですが、振り返ってみると、徳島県小松島『まちづくりのリビングラボ』で出会った岡山大学の岩淵泰さんから色々と学んだり(

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リビングラボの日本モデル

リビングラボの日本モデル

2024年2月4日日曜日、こまつリビングラボ第五回:リビングラボのこまつモデルを考える、が開催された。

私は、「北欧の事例を交えたリビングラボの役割」という題目で30分ほどお話しさせてもらい、その後、青山学院大学教授の野末先生のファシリテーションで、90分程度の宮橋小松市長とのトークセッションを実施した。以前にも、なぜ小松市のリビングラボが面白いのか、素晴らしいのかということをお話ししたが(こち

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私のポットキャスト元年

私のポットキャスト元年

「最近、ポッドキャストワークショップをAL2でやっているのよね」

そうアンネッテに言われたのは、2019年秋だった。民間銀行ALのリビングラボAL2を知り調べていく過程で、戦略・顧客インサイト責任者のアンネッテと懇意になった。北欧の人らしいクール・エレガントな雰囲気の第一印象は、ちょっと話せば顕れてくるお茶目な表情で見事に覆される。頻繁に会うようになって、AL2のカフェの一角でそんな話になったの

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地方自治体でリビングラボ:石川県小松市

地方自治体でリビングラボ:石川県小松市

「未来型図書館づくり」のプロジェクトを市民と共に進めていくためにリビングラボを活用したい。そんな連絡を受けたのは、今年の5月ごろだったと記憶している。メールを交換し、オンラインでお話しし、なんだか惹かれるものがあって、今回の現地訪問に繋がった。今まで複数の自治体のリビングラボに関わってきているが、小松市は、リビングラボ実践の地の一つとして、今後も関わっていきたい興味深い自治体の一つになった。なにが

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デモクラシー・ガレージに行ってきた

デモクラシー・ガレージに行ってきた

民主主義のリビングラボ、デモクラシー・ガレージ(Demokrati Garage)に行ってきた。数ヶ月前に知ってから、何度も足を運ぶようになったデモクラシー・ガレージ。今回は、デモクラシーのリビングラボ、デモクラシー・ガレージについて紹介したい。

コペンハーゲンのNV (北西)にあるデモクラシー・ガレージ(Demokrati Garage)は、デンマーク在住の日本人、デンマーク・デモクラシーの重

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幸せ博物館で「幸せ」探し

幸せ博物館で「幸せ」探し

デンマークコペンハーゲンにあるHappiness Museum (幸せ博物館)。2020年7月に民間研究所Happiness Research Institute(CVR: 39680203)がオープンした小さな私設美術館で街中の半地下のスペースを手作り感たっぷりに展示スペースにしている。日本のメディアでも多々報道されているから(Greens, Ideas For Good)知っている人はいるかも

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まちへのラブレター:参加のデザインをめぐる往復書簡.乾久美子・山崎亮

まちへのラブレター:参加のデザインをめぐる往復書簡.乾久美子・山崎亮

まちへのラブレター参加のデザインをめぐる往復書簡.乾久美子・山崎亮.2012年.学芸出版社.

ほぼ10年前の本である。わたしの日本のまちづくりの知識は、日本の大学の知り合い研究者の枠の中に限定されており、日本のコミュニティデザインや都市開発についてそれほどよく知らない。往復書簡の登場人物の二人の名前は、聞いたことがあったが、どのようなことをされているのかはよく理解していなかった。完読したのち、こ

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岡山まちづくり探検〜地方創生時代の市民活動集〜・岩淵泰

岡山まちづくり探検〜地方創生時代の市民活動集〜・岩淵泰

この本を読んで岡山に行ってみたいと思った。岡山のことを全く知らないとわかって、そして岡山をもっと知りたいと思った。

私が筆者である岡山の岩淵さんを知ったのは、2019年に徳島県小松島市で「こまつしまリビングラボ」をやっていた笹尾さんに招聘されてワークショップに参加した時のことだ(これは以前、まちづくりのリビングラボとして執筆している。記録しておいてよかった)。

私は、日本列島の西側は正直あまり

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日本のリビングラボに見た未来:横浜市

日本のリビングラボに見た未来:横浜市

Photo by Gianni Scognamiglio on Unsplash


彩豊かなリビングラボの集積地:横浜リビングラボ日本でリビングラボを実施するときの秘訣が満載だ、と、思いもよらず素敵な宝物を手に入れた気分にさせられたのは、会話が弾んだ時に得られる一時的な高揚感によるものだったのだろうか。少し時間が経って、改めて振り返り、いや、そんなことないと思っている。期待が高まったのは確かな

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デンマークの新しい個人認証システム: MitID

デンマークの新しい個人認証システム: MitID

2020年11月1日執筆
2021年7月2日, 10月6日追記

はじめにデンマークでは、電子政府が進展し社会におけるITの活用が進展するにつれて、セキュリティやプライバシーといった課題も認識されるようになってきています。電子政府の進展で、より良いデジタルサービス、より安全で効率的なサービスを提供することができるようになる反面、改竄やなりすまし、個人情報漏洩などの問題への対応が不可欠になるのは自明

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リビングラボ101

リビングラボ101

リビングラボって何?オープンイノベーションにどうやって活用するの(What Is a Living Lab and How Can It Be Used for Open Innovation?)と題されたエッセイがとても読みやすく、リビングラボの導入資料 として役立ちそうだったので紹介したいと思います。

エッセイは、ダイムラークライスラーからのスピンオフ・イノベーションマネージメントソフト企業

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イノベーションが生まれる仕組み

イノベーションが生まれる仕組み

「イノベーションが生まれる仕組み」について、先端的UXデザインコンサルを推進するNTTテクノクロス主催のイベント「社会課題と企業活動の接点を探る:共創デザインの最前線」で、お話ししてきました。私がお話ししたのは、次の三点。1. イノベーションが生まれる仕組みとはどのようなものなのか、2. デンマークのイノベーション事例や私の今までのプロジェクト経験、3. 明日から始められるイノベーションを生み出す

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街づくりのリビングラボ

街づくりのリビングラボ

この数ヶ月間、意識的/積極的に日本のリビングラボに関わってきました。

5分圏内のまちづくりを掲げ、徳島県小松島でこまつしまリビングラボの2年目に取り組む笹尾さんは、徳島大学から北欧研究所にインターンに来てくれた経緯がある。1年目の活動内容を聞いて、充実した取り組みやうまくグローカルなネットワークを構築している点に感銘を受けた。海外の知見者の巻き込み方や参考の仕方、それを自分たちの小松島というエリ

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MUJIと武蔵美のリビングラボ

MUJIと武蔵美のリビングラボ

当事者である地域住民をいかに巻き込み、地域のニーズを顕在化して、より良いコミュニティや地域づくりに役立てていくか。そんなソーシャルクリエイティビティの試みが、日本でもあちこちでみられるようになってる。7月にラウンチされた市ヶ谷のMUJI 【MUJI com 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス】は、武蔵美の市ヶ谷キャンパスの1階に戦略的に設置された新店舗で、私が理想的と考えるリビングラボの要素をいくつも

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