安岡美佳|Mika Yasuoka Jensen

リビングラボ(デザイン手法)を用いた社会におけるICT実装プロジェクトを実施。スマートシティ・電子政府・伝統工芸の知識伝承に関心あり。2005年よりデンマークと日本の2拠点で、研究活動中。What ICT can do to make our life happier!?

安岡美佳|Mika Yasuoka Jensen

リビングラボ(デザイン手法)を用いた社会におけるICT実装プロジェクトを実施。スマートシティ・電子政府・伝統工芸の知識伝承に関心あり。2005年よりデンマークと日本の2拠点で、研究活動中。What ICT can do to make our life happier!?

マガジン

  • 北欧のリビングラボ

    北欧のリビングラボについて、コンセプトや事例の紹介をしています。 情報共有ネットワークとしてFBのリビングラボ研究所(https://www.facebook.com/groups/1749263638549485)があります。 ジャパンノルディック・リビングラボ・コンソーシアム(http://livinglab.japanordic.com/)は、共同研究の枠組みです。

  • 北欧のスマートシティ

    北欧のスマートシティは、ICTやデジタル、データの力を使って、そこの住む人たちの幸せを追求する街。住みやすい街を模索する市民のボトムアップとコスト削減をしつつ公共サービスの質を落とさないためにはどうしたらいいかという行政のトップダウン、街を舞台に消費経済や生産経済を循環させる産業の真摯な共同的模索の体現です。中国型でも米国型でもない「ムーミン谷」型、それが北欧のスマートシティです。

  • 北欧の電子政府

    デンマークの電子政府を中心に北欧の電子政府に関する記事をまとめています。2000年あたりに北欧各国で始まった電子政府政策は、20年が経過し、確実な成果が積み重ねられています。安全・便利・効率的な電子政府の実現の一端を紹介します。

  • ハピネステクノロジ

    "What ICT can do to make our life happier" 幸せの国、住みやすい国、働きやすい国として各種国際指標でトップを維持するデンマークは、電子政府指標などでも上位に出てくることの多い国だ。電子政府政策進展の恩恵を受け、デンマークでは行政手続きに止まらず、医療、福祉、教育、金融などのあらゆる分野においてデジタル化が進み、デジタルの恩恵が国民生活の隅々にまで行き届いている。デンマークは、先端技術が次々と生まれる国というわけではないものの、国内外の先端技術をうまく活用した生活を良くする工夫が次々と生まれる、「人を幸せにする技術」の国なのである。

  • 北欧のデジタルトランスフォーメーション

    北欧のデジタルトランスフォーメーション(DX)の研究や実践について、また、実践につながるグローバルなDX研究についてご紹介します。

最近の記事

「多文化化するデンマークの社会統合:生涯学習が果たす役割とその可能性」を読んで

はじめに 週末を前に、待望の書籍が日本から届いた。坂口先生、ありがとうございました。 PostNordが出発点から定期的に情報提供してくれるので、少しずつ少しづつ…、期待が高まる。 気がつけば社会統合当事者 デンマークに住み、早くも20年ほどが過ぎようとしている。日本で生まれ育った私は、20年前には、移民として日本以外の場所に住む、住み続けるということの意味をきちんと考えたことはなかったし、母国ではない場所で暮らすことで見えてくる世界を、取り立てて意識的に認識したり外

    • デンマークのデジタル民主主義

      2024年10月28日、東京都にお誘いを受け、「Smat City ✖️ Tokyo」のイベントで、デジタル民主主義をテーマにしたパネルディスカッションに登壇した。海外に住んでいてもお呼ばれされるようになったポストコロナ時代は、嬉しい。 一人サテライト状態の場合の、相変わらずの疎外感はどうしようもないが、そのうちテレプレゼンスロボットでどうにかしようと思っている。 この登壇の機会に、デンマークのデジタル民主主義についてちょっと考えたので、まとめておきたいと思う。 デンマ

      • 北欧のスマートシティのポッドキャスト

        はじめに2022年12月、「北欧のスマートシティ」(学芸出版)を、上梓しました。北欧のデジタルは、デジタル主導ではなく、社会に溶け込んでいること、そして幸せな生活づくりに貢献している。ということが、メインメッセージです。テクノロジーの話は、もちろん中心に伝えているのですが、どのようにテクノロジーが役立っているのかを示すために、北欧がどんな社会なのかも伝える、そんな構成になっています。 その本を読んでくれたポッドキャスト番組「ゆかいな知性」からお誘いを受けて、半年間、Audi

        • データ駆動型は簡単ではない

          デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進の軸の一つにデータ駆動型経営(Data-Driven Enterprise)があるが、これは、言うほど簡単なことではない。DXのエンジンとなるデータは、実はそんなに簡単に扱えるものでもない。データを正確・タイムリーに収集し、どこかに格納し、活用することは、基本的でありつつも、簡単に解決できない長期戦が必要となる課題の一つだからだ。そして、そのデータは結構社会文化的影響を受ける。 経済産業省が2018年に発行したDXレポートでは、

        マガジン

        • 北欧のリビングラボ
          21本
        • 北欧のスマートシティ
          18本
        • ハピネステクノロジ
          18本
        • 北欧の電子政府
          15本
        • 北欧のデジタルトランスフォーメーション
          2本
        • デンマークのアクティブラーニング
          9本

        記事

          北欧のデジタル・トランスフォーメーション

          DX: Digital Transformation昨今、デジタルトランスフォーメーション(DX)をどのように進めるかという課題は、多くの民間・公共機関の課題になっている。日本では、経済産業省が2018年にDXレポートを公開し、その中で経営者が押さえるべきポイントをまとめたDX推進ガイドラインも公開されている。しかしながら、組織において、そして広く社会において、デジタル化は遅々として進んでいないというのが、一般的な肌感覚ではないだろうか。 2000年より社会における電子化が

          北欧のデジタル・トランスフォーメーション

          『博士と狂人』と辞書と編集者

          本当は、イギリス旅行に持って行こう、現地を旅行中に読もう、と思って買ったイギリスを舞台にした作品『博士と狂人』。予定変更で、2024年夏のスイス・イタリア旅行中に携帯して読んだ。 日本語の辞書は面白いのか 今年の6月まで半年間、Audibleのポッドキャスト『ゆかいな知性』北欧編でお世話になっていたフリーアナウンサーの加納有沙さんが、現在も『ゆかいな知性』を継続していらっしゃる。その、「日本語学編」で、もう一人の話者のサンキューたつおさんが、辞書にはキャラがあるという話を

          『博士と狂人』と辞書と編集者

          リビングラボで参加者を集める方法

          LLLポッドキャスト坂倉編(9・10)はどんな話? 2023年から始めたLiving Lab Laboratory(LLL)のLLLラジオ。最新話、LLLラジオの坂倉編(9・10)には、坂倉編は、「まずはどうやってリビングラボを始めるか」の秘訣がたくさん隠されています。 坂倉さん自身の軌跡からは、今のリビングラボの研究の基盤が何年にもわたって地道に積み上げられてきたことがわかります。まずは、ご自身の関心ごとから始まり、それが、自然の流れとしてリビングラボに行き着いたと言え

          リビングラボで参加者を集める方法

          デジタルとフィジカル

          今まで人間は、主にフィジカル空間に生きてきたけれども、今後、「デジタル空間のワタシ」は、無視できない存在になっていく。逃れようとしても、逃れることがどんどん困難になっていく。そして、困ったことに、フィジカルの私は、デジタルの私と完全に同一ではない。Digital Twinなんて正直不可能だ。 私は、ある住所に住み、身体を持ち、人と交流し、コミュニティに生きる。私は、同じようにデジタル空間に住み、交流し、デジタル・コミュニティに生きる。 私の両親のようにフィジカルな空間にい

          デジタルとフィジカル

          Designing Human Technology 10.0

          トレント(イタリア)で実施された 参加型デザインの博士課程セミナーDHT10.0に行ってきた トレントに行ってきた毎年5-6月に実施されるDesigning Human Technology (DTH)博士セミナー。参加型デザインに関心のある博士課程学生20名余りをEU圏から集めて合宿形式で実施される。3日間のセミナーは、学生と参加型デザインの研究者が小さなグループを構成し、互いに意見を言い合う相互扶助の研究会だ。今年で11年目だが、コロナで一度キャンセルされているので、1

          Designing Human Technology 10.0

          マイノリティの当事者が動き、マジョリティの理解者が立つ

          最近、興味深い考察を読んだ。 アカデミアにおける男女共同参画はなぜ遅々として進まないのか 〜英国・欧州日本人研究者交流会、男女共同参画セッション講演を終えて〜 (安藤 真一郎(アムステルダム大学 物理学研究所)) 書かれていることには賛成の言葉しかなく、とりあえず男性研究者も女性研究者も、研究者じゃない人も、読んで欲しいと切に思う。 本稿にも示唆されていることだが、欧州に住む日本人の一人として、そして北欧に住む女性として、北欧の男女参画の実践を見て考えてきたことの一つが

          マイノリティの当事者が動き、マジョリティの理解者が立つ

          『実験の民主主義』読書会 2024年2−3月

          坂口緑先生が、「思いつきで始めた」という『実験の民主主義』の読書会。全三回が終了。一回が2時間弱という骨太の読書会で、私以外の参加者は、『実験の民主主義』で言及されているさまざまな研究者(トゥクビルとか)をよくご存知の方々でした。 民主主義に関しては、きちんと学んだことはなかったのですが、振り返ってみると、徳島県小松島『まちづくりのリビングラボ』で出会った岡山大学の岩淵泰さんから色々と学んだり(「岡山まちづくり探検〜地方創生時代の市民活動集〜」 )と、細々と関心を深めてきた

          『実験の民主主義』読書会 2024年2−3月

          リビングラボの日本モデル

          2024年2月4日日曜日、こまつリビングラボ第五回:リビングラボのこまつモデルを考える、が開催された。 私は、「北欧の事例を交えたリビングラボの役割」という題目で30分ほどお話しさせてもらい、その後、青山学院大学教授の野末先生のファシリテーションで、90分程度の宮橋小松市長とのトークセッションを実施した。以前にも、なぜ小松市のリビングラボが面白いのか、素晴らしいのかということをお話ししたが(こちら:地方自治体でリビングラボ:石川県小松市)、今回のリビングラボワークショップで

          リビングラボの日本モデル

          私のポットキャスト元年

          「最近、ポッドキャストワークショップをAL2でやっているのよね」 そうアンネッテに言われたのは、2019年秋だった。民間銀行ALのリビングラボAL2を知り調べていく過程で、戦略・顧客インサイト責任者のアンネッテと懇意になった。北欧の人らしいクール・エレガントな雰囲気の第一印象は、ちょっと話せば顕れてくるお茶目な表情で見事に覆される。頻繁に会うようになって、AL2のカフェの一角でそんな話になったのを今でも昨日のことのように思い出す。 リビングラボ「AL 2」では若者が知りた

          私のポットキャスト元年

          地方自治体でリビングラボ:石川県小松市

          「未来型図書館づくり」のプロジェクトを市民と共に進めていくためにリビングラボを活用したい。そんな連絡を受けたのは、今年の5月ごろだったと記憶している。メールを交換し、オンラインでお話しし、なんだか惹かれるものがあって、今回の現地訪問に繋がった。今まで複数の自治体のリビングラボに関わってきているが、小松市は、リビングラボ実践の地の一つとして、今後も関わっていきたい興味深い自治体の一つになった。なにが注目要因になっているのかを改めて考えてみたい。 ①自律した市民 元々、住んで

          地方自治体でリビングラボ:石川県小松市

          イノベーションの法則

          イノベーションを生み出すための法則はあるのか。恩師との会話中に勧められた書籍「日本の革新者たち」や最近の日本の地方自治体との交流(例えばこれ)から、今までデンマークに特徴的だと思っていた事項なども日本で少なからず見られ、文化を超えたイノベーションの法則はありそうだとの思いを強くした。 「日本の革新者たち」(2016年)は、野村総合研究所未来創発センター2030年研究室室長の齊藤義明さんによる著作。日本の100名以上の起業家(革新者)たちとの対話により、導出されたイノベーショ

          イノベーションの法則

          北欧のスタートアップの祭典TechBBQはグリーントランジションへ

          2023年のTechBBQアップデート2023年のTechBBQは、9月13・14日に開催された。私は、今年で2019年から5年連続の参加になる(2019年報告)。例年になく、快晴な暖かい2日間で、少々の通り雨もあったものの、広い会場の熱気も手伝って、かなり熱い2日間となった。 実は、私にとって、2023年のTechBBQは、事前イベントから幕を開けた。NAVA (Nordic Asian Venture Alliance)のJulianと一緒に日本のデリゲーションに『デン

          北欧のスタートアップの祭典TechBBQはグリーントランジションへ