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北欧のスマートシティ

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北欧のスマートシティは、ICTやデジタル、データの力を使って、そこの住む人たちの幸せを追求する街。住みやすい街を模索する市民のボトムアップとコスト削減をしつつ公共サービスの質を落… もっと読む
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記事一覧

『実験の民主主義』読書会 2024年2−3月

『実験の民主主義』読書会 2024年2−3月

坂口緑先生が、「思いつきで始めた」という『実験の民主主義』の読書会。全三回が終了。一回が2時間弱という骨太の読書会で、私以外の参加者は、『実験の民主主義』で言及されているさまざまな研究者(トゥクビルとか)をよくご存知の方々でした。

民主主義に関しては、きちんと学んだことはなかったのですが、振り返ってみると、徳島県小松島『まちづくりのリビングラボ』で出会った岡山大学の岩淵泰さんから色々と学んだり(

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私のポットキャスト元年

私のポットキャスト元年

「最近、ポッドキャストワークショップをAL2でやっているのよね」

そうアンネッテに言われたのは、2019年秋だった。民間銀行ALのリビングラボAL2を知り調べていく過程で、戦略・顧客インサイト責任者のアンネッテと懇意になった。北欧の人らしいクール・エレガントな雰囲気の第一印象は、ちょっと話せば顕れてくるお茶目な表情で見事に覆される。頻繁に会うようになって、AL2のカフェの一角でそんな話になったの

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地方自治体でリビングラボ:石川県小松市

地方自治体でリビングラボ:石川県小松市

「未来型図書館づくり」のプロジェクトを市民と共に進めていくためにリビングラボを活用したい。そんな連絡を受けたのは、今年の5月ごろだったと記憶している。メールを交換し、オンラインでお話しし、なんだか惹かれるものがあって、今回の現地訪問に繋がった。今まで複数の自治体のリビングラボに関わってきているが、小松市は、リビングラボ実践の地の一つとして、今後も関わっていきたい興味深い自治体の一つになった。なにが

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北欧のスタートアップの祭典TechBBQはグリーントランジションへ

北欧のスタートアップの祭典TechBBQはグリーントランジションへ

2023年のTechBBQアップデート2023年のTechBBQは、9月13・14日に開催された。私は、今年で2019年から5年連続の参加になる(2019年報告)。例年になく、快晴な暖かい2日間で、少々の通り雨もあったものの、広い会場の熱気も手伝って、かなり熱い2日間となった。

実は、私にとって、2023年のTechBBQは、事前イベントから幕を開けた。NAVA (Nordic Asian Ve

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デモクラシー・ガレージに行ってきた

デモクラシー・ガレージに行ってきた

民主主義のリビングラボ、デモクラシー・ガレージ(Demokrati Garage)に行ってきた。数ヶ月前に知ってから、何度も足を運ぶようになったデモクラシー・ガレージ。今回は、デモクラシーのリビングラボ、デモクラシー・ガレージについて紹介したい。

コペンハーゲンのNV (北西)にあるデモクラシー・ガレージ(Demokrati Garage)は、デンマーク在住の日本人、デンマーク・デモクラシーの重

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データに基づいた分析が社会へ与える影響

データに基づいた分析が社会へ与える影響

定期的に見ている情報の一つに、デンマーク統計局の統計報告がある。登録しているので、新しい統計レポートが出されると自動配信されるのだが、最近のレポートで興味深いものがあった。「だれがCOVID -19のワクチンを打ったか(Hvem er vaccineret mod COVID-19?)」と題されたものである。

「デンマークに住む人々で5歳以上がワクチン接種の機会を得て約90%がワクチンを摂取した

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コペンヒルに行ってきた

コペンヒルに行ってきた

先日、BWSCのうっちーに誘われて、アマーバッケ(Amager Bakke)に行ってきた。アマーバッケを知らなくても、コペンヒル(CopenHill)と言ったら、知っている人も1割ぐらいは出てくるかもしれない。スキースロープが併設されている廃棄物処理場といったらどうだろうか。2023年1月14日からドキュメンタリー映画『コペンハーゲンに山を』が渋谷のシアターフォーラムで上映されていて、それを見て知

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コペンのルーフトップに出現した農園の話

コペンのルーフトップに出現した農園の話

デンマークでは、従来より都心のアパートに住む人たちが小さな農地を所有し、週末農業を行うコロニーヘーヴ(kolonihaveve)が盛んに行われていた。一軒家であれば家の片隅で土いじりが簡単にできるけれども、都心ではなかなかそうもいかない。この昔からの流れは今も健在で、週末になるとちょっと家から離れたところにある猫の額ほどの農地にいそいそと土いじりをしに出かける人たちはたくさんいる。昔は、都市圏内で

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ソーシャル・データ活用に見る未来

ソーシャル・データ活用に見る未来

デンマークは、言わずもがなの先進デジタル社会である。世界に先んじて社会の隅々までデジタルが浸透する社会となることで注目されるのは、いかに便利なデジタルツールがあるかなどの表面的な部分だけではなく、デジタルインフラがあるからこそ指数関数的に社会に広がるイノベーションの種なんじゃないかなと思っている。

データは宝の山か?データは次世代の石油、と言われて久しいけれども、実際にデータを活用して産業が勃興

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デンマークのAI Innovation Houseに行ってきた

デンマークのAI Innovation Houseに行ってきた

先日、機会を得て、デンマークのヴァイレ市(Vejle)に設立された、AIとデジタル関連のインキュベーション組織に行ってきた。AI Innovation HouseのCOO、ミカエラ・アナセン(Michaela Andersen )さんが案内役だ。

AI Innovation Houseとは?3年ほど前にAIやITテクノロジーに特化したインキュベーション組織として作られ、最先端の技術の展示やイベン

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日本のリビングラボに見た未来:横浜市

日本のリビングラボに見た未来:横浜市

Photo by Gianni Scognamiglio on Unsplash


彩豊かなリビングラボの集積地:横浜リビングラボ日本でリビングラボを実施するときの秘訣が満載だ、と、思いもよらず素敵な宝物を手に入れた気分にさせられたのは、会話が弾んだ時に得られる一時的な高揚感によるものだったのだろうか。少し時間が経って、改めて振り返り、いや、そんなことないと思っている。期待が高まったのは確かな

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最先端でカオスな街づくり:レフスヘーレウーエン(Refshaleøren)

最先端でカオスな街づくり:レフスヘーレウーエン(Refshaleøren)

アクセスは水上バスで以前よりのんびり散策したいと思っていたレフスヘーレウーエン(Refshaleøren)に行ってきた。コペンハーゲン中央エリアから水上バスでアクセス(陸路もあるが遠回りだ)することのできる、今最もカオスな先端的街づくりエリアだ。「最先端だがカオス」なのは当然で、今までの都市のイメージから離脱した新しい都市の姿が求められている現在、イノベーションが行われるためには「カオス」であるこ

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世界最大の木造建築:サラカルチャーハウス(Sara Kulturhus)

世界最大の木造建築:サラカルチャーハウス(Sara Kulturhus)

サラ・カルチャーハウススウェーデン北部のSkellefteå(フレフティオ)市*に2021年9月8日オープンしたサラ・カルチャーセンター(Sara Kulturhus)は、20階建て、80メートルの世界最大の木造建築である。完成時のカルチャーセンターは、2つの演劇場(地域シアター)、美術館(Anna Nordlander Museum)、ギャラリー(Skellefteå Art Gallery)、

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最先端データ・マーケットプレイスの試み

最先端データ・マーケットプレイスの試み

コペンハーゲンの挑戦2016年、コペンハーゲン市は日立と協力し、世界初の都市データのデータ・マーケットプレイスを構築した。The City Data Exchange (データ・エクスチェンジ)と呼ばれるこのデータ・マーケットプレイスは、都市にまつわるデータの活用、流通、データを基盤としたビジネス創出を狙い、コペンハーゲンエリアのデータエコノミーを盛り上げることを狙ったものだ。脱炭素化とデータ活用

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