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オキナワンロックドリフター

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オキナワンロックドリフターvol.123

オキナワンロックドリフターvol.123

話は少し脱線するが、冒頭にて琉神マブヤーの軌跡を記そうと思う。

きっかけは沖縄の総合観光土産物産問屋『南西産業』が、新しい土産物の一環としてご当地ヒーローの企画を出したことからである。当初はすでにグッズ化されている東映の戦隊ヒーローのパロディヒーローを企画したものの、版権等の問題で頓挫し、そこで、『南西産業』の代表と関西と沖縄を行き来し、沖縄ドラマを企画製作していた当時のプロデューサーが、200

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オキナワンロックドリフターvol.122

朝起きて、ギリギリの時間にチェックアウトをし、真っ先にしたことは、キャンパスレコードと照屋楽器店にて『琉神マブヤー』のDVDの在庫確認をすることだったが、どちらにもない!
取り寄せしましょうか?と問われたものの今欲しいので丁重に断り、さっちゃんとの待ち合わせ場所である中の町ローソン前にて大きなため息をついた。
さっちゃんの車が到着した。私は急いで飛び乗り互いの近況を話した。
以前よりあか抜

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オキナワンロックドリフターvol.121

朝5時半。足に何か刺さった感触とその後にきた猛烈な痒みで目が覚めた。マットレスが古く、どうやらダニかなんかいるのかもと思いながら痒み止めを塗り、朝食にした。昨日、城間兄弟に渡された袋いっぱいのグァバである。グァバの赤い汁で汚れてもいいようにと、パジャマ代わりの古いTシャツに着替えて一気に食べた。グァバは甘酸っぱく、瞬く間に食べ終えた。

まだそんなに日が照っていないし、散歩するにはいい時間だと思い

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オキナワンロックドリフターvol.120

期末考査が終わり、夏期休暇になった。
8月末にバイト先のオーガニックカフェを退職した。
バイトリーダーの草壁さんには「お疲れ様。私も来月には辞めるけん」と耳打ちされた。
オーナーの赤星さんには去り際に「あなたは何をやってもうまくいかないわ。絶対に」と毒づかれ、その呪いにげんなりした。
8月は聖歌隊の練習や教会礼拝でのミニコンサート等があるのでそれらに専念し、9月10日~16日まで沖縄旅行を満喫する

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オキナワンロックドリフターvol.119

喜びも束の間。私はスケジュールを見て落胆した。なんと、ライブの翌日に必修科目の期末考査があったのだ。しかも、朝から一教科のみという嫌がらせのようなスケジュールで。
素行と言動はともかく、一応、大学から奨学金をもらった模範生なので試験は絶対にすっぽかせないし、ライブの為に休んで再試を受けることは苦手な担当教授なのでできそうにない。
私は臍を噛む思いで正男さんに電話し、ライブに行けそうにないと伝えた。

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オキナワンロックドリフターvol.118

さて、前回はコザ文学賞について話したが。城間兄弟とは日々の忙しさの中に追われ、以前程は連絡していなかったが、それでもたまに電話すると身近なことを話し、ささいな喜びやしょっぱい気持ちを分かち合っていた。
ちなみにコザ文学賞のことは話したところお二方から手放しで喜ばれ、俊雄さんから「あんたの小説読ませてよ」と言われ、プリントアウトして細々したものと一緒に送付した。
そんな中、大学生活でも新しい変化があ

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オキナワンロックドリフターvol.117

2009年春。大学2年生になった。
正直、今までの不運の分が幸せになり、それが満期になって一括払いをもらったように幸せ過ぎたのが2009年の春から9月にかけてだった。
学内奨学金に採用され、バイト先にも友達ができ、資格試験もいくつか受かり、大学の帰りに寄る行きつけの店ができたり、かわいい後輩もできた。
が、バイト先には不穏な空気が漂ってきた。バイト先の先輩たちの一斉退職だ。
リーダーとサブリーダー

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オキナワンロックドリフターvol.116

今回は、日本語文章表現法の授業にて提出した「琉神マブヤー」の論文を転載いたします。
今となっては切なくもあり、紆余曲折あれど、劇団FEC代表の山城智樹さんが演じられたシーサーの精・与那原ケンが2022年4月~7月に放送されたクロスオーバー番組『オキナワンヒーローズ』にて帰って来て感慨深い気持ちになったりと様々な想いが去来しますが、当時はマブヤーに対する熱い思いで必死で書き、見事に優がとれました。

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オキナワンロックドリフターvol.115

一年次後期になると勉強のコツが掴めてきたのか。前期に比べて快進撃というくらい教授陣からお褒めの言葉をいただくようになった。
さらに。11月末にバイト、というよりボラバイトみたいなものか?偶然通りかかった市民会館の掲示板にてフェアトレードカフェの求人を見つけたのでダメ元で応募してみた。
数日後、カフェのオーナーから面接に呼ばれた。
市民会館向かいの文化会館にそのカフェはあるという。カフェのオーナーは

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オキナワンロックドリフターvol.114

さて、バイトも未だに見つからず、父親から奪還した母の遺産の一部と日本学生支援機構の奨学金でなんとかかつかつながらも学生生活を送ってはきたものの、やはり限界だった。そんな中、学内の給付型奨学金の告知がきたので当然ながら応募した。
やはり貧ずれば鈍ず。短期のアルバイトに藁を掴む思いで応募して採用されたものの、働いたら、提示額とかなり違う給料を渡され、抗議したら人格を否定される発言をされて散々な目にあっ

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オキナワンロックドリフターvol.113

今回は大学時代に受講した日本語文章表現法にて提出したIslandの『少年の日』についての論文を掲載いたします。

「少年の日」における沖縄の混血児たちの原風景

沖縄の混血ロッカーたちの、それまで疎外されていた鬱憤が、血が、たち騒いだ。アメリカ兵もそれらをむさぼるように受け止め、有り余るエネルギーを発散させた。まさに青春と青春のぶつかり合いである。欲望が渦巻いていた。

(砂守勝巳 「オキナワンシ

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オキナワンロックドリフターvol.112

残りの夏休みも聖歌隊の練習や大学主催のキャンプ等に参加して有意義に過ごした。
しかし、相変わらず貧乏だった。
バイトが見つからないまま後期に入り、かつかつの生活を送った。そんな矢先に我が家に異変が起きた。祖父がアルツハイマー症候群を発症。徘徊と汚言が増えた祖父にはらはらしながら毎日を過ごし、ストレスと祖父の徘徊からくる不安と不眠から勉強に支障をきたしはじめたことでイライラし、祖父と取っ組み合いの大

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オキナワンロックドリフターvol.111

今回は、コザ文学賞に応募したエッセイ、『想い出かき集めても』を全文転載いたします。
今読むと想いだけが空回りした文章ではありますが、ジミー宜野座というギタリストを埋もれさせてはいけないと無我夢中で書いたあの時の気持ちを忘れないでおきたいのでほぼ原文のまま転載いたしました。

『想い出かき集めても』

たった一年の出会いと別れだった。
思いのたけも伝えられず、ましてや肌すら合わせたことすらない彼が遺

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オキナワンロックドリフターvol.110

質問。
ここをご覧の方で、好きな人に告白しようとしたら、相手に「お前みたいなブスに告白されるなんてぞっとする」と否定され、さらに見ていた周りの人に笑われた方はいますか?
私はある。小学校6年の頃だった。
以来、私は人を好きになってはいけないんだという傷を背負い、後で恋人ができても、自己評価の低さや承認欲求の飢えを見透かされてしまい、随分と蔑ろにされた挙げ句淘汰されてますます心の傷を増やした。
今も

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