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杜崎まさかず【掌編刑務所】
2024年7月24日 10:22
杜崎です。いつも僕の拙いnoteの記事を読んで下さり、誠にありがとうございます。 贔屓にして下さっていた方々には大変心苦しいのですが、今日は皆様にお別れをする為に筆を執りました。 この記事を書き終えたら僕は、いえ、私は、死ぬことに決めました。 本記事が遺言書、と言うと読んで下さっている方にプレッシャーを与えてしまうかもしれません。でも、ここで死ぬ理由を書かせて頂くことをお許し下さいませ
2024年7月24日 10:27
拝啓 見る間に暑さが増し、まだ五月も半ばだというのに日照りを灼熱にも感じます。貴方がいつか、冬よりも夏の方が苦手だとおっしゃられていたのを思い出し、老婆心ながら筆を執った次第です。避暑されておりますでしょうか。若い頃の様に、節約だと言って冷房を使わず過ごされていると、熱中症になってしまいますから。どうかご無理はせず、お体をご自愛されてくださいませ。 さて、この時期になりますと、楝神社の境内か
2024年7月24日 10:41
木材に打ち込まれた釘に吊るされた、鎌や鍬やレーキ。 プラスチックのコンテナ一杯に入った、丸められた軍手。 じょうろ、鉄鋏、スコップ、草刈機。〈今日は全国的に概ね晴れ模様。気温も穏やかでお出かけ日和となるでしょう〉 呑気に天気予報を伝える、フルボリュームの携帯ラジオ。 それらどれも、血が飛び散っています。 土埃の匂いのする畑の真ん中の小さな農機具倉庫で、仰向けに倒れている男性は口から上
2024年7月24日 10:47
「私も聞いた話なんやけどね、茜ちゃんのお友達ってツグミちゃんしかおらんかったらしいんね。何かと言うとツグミちゃん、ツグミちゃんって物凄い懐きようやったみたい。それを利用して、チョウジロウさんは茜ちゃんに飴を渡したんよ。お母さんの朱子に断固拒否されとった治験薬を混ぜ込んだ飴を」 言葉が、ただの文字として、流れていきました。 何も頭に入って来ません。何の意味もわかりません。 茜ちゃんの声が何度も
2024年7月24日 10:53
店から駅まで車で1時間、新幹線で2時間、都内の家に帰るまでに店での話を思い返す時間はたっぷりありました。『死ね』という言葉を見たときには過呼吸気味になった私も、村から離れれば離れるだけ、落ち着いたわけではありませんが、思考力を取り戻していきました。 やっぱり、どう考えても、女将さんは余所者ではありません。それは、誰なのかが私の中では明確だから言い切れるのです。 女将さんは、朱子さんです。間違