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パン職人の修造 101話〜149話 江川と修造シリーズ

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独立して江川と店を始める修造。パン職人として、経営者として、一家の主人として。頑張れ修造。
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#仕事

パン職人の修造127 江川と修造シリーズ パン屋日和

パン職人の修造127 江川と修造シリーズ パン屋日和

そんな訳で修造の芸術作品は公会堂のイベントに飾られる事になった。

沢山の人に分かりやすい物をと考えて、パンのヴィーナスというテーマにする。

生命の息吹と未来への羽ばたきだ。

しかし修造のイメージを実現化するにはパーツの数が半端ないしとにかく重くなるだろう。それを支える為に土台も重くした。

「完成してから運んだんじゃ壊れそうだから現場で組み立てたいんですよ」

修造は秘書に電話した。

そし

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パン職人の修造126 江川と修造シリーズ パン屋日和

パン職人の修造126 江川と修造シリーズ パン屋日和

「えっ」

そんな風に言われるとは思わなかったので横田は驚いてピリッと緊張したが、平然を装ってトングとトレーを持って店内を回った。

プレオープンの時にここにきた時パン粉がここのパンは世界大会のパン、パンロンドのパンそしてドイツのパンを置いている。

「これとこれと」時々パン粉の方を向いてトングをちょっと動かして『これ?』とそれとなく指すとパン粉が目で合図する。

横田は店内を一周見回って「これで

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パン職人の修造121 江川と修造シリーズ 満点星揺れて

パン職人の修造121 江川と修造シリーズ 満点星揺れて

東南商店街にある由梨の両親が経営している着物屋『花装(はなそう)』では、明日の浴衣イベントに参加する為に準備で大忙しだった。

東南駅からは随分離れた大きな街の南会館という所で着物屋が集まって行う『夏の大浴衣市』があるのだ。

由梨もこの日はパンロンドを休んで、浴衣を着て手伝いに行く事になっている。

父親と由梨は車に着物やら小物やら展示用のグッズを沢山乗せて前日準備に出かけた。

「あ、ここはリ

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パン職人の修造120 江川と修造シリーズ 満点星揺れて

パン職人の修造120 江川と修造シリーズ 満点星揺れて

ここは笹目駅から少し離れたリーベンアンドブロート

その工房で江川は修造の例の謎のハナウタを久しぶりに聴いた。

おそらくドイツの曲なんだろう。

グーググーグーグーと聞こえてくる。

大坂がパンを焼きながら「これなんの音かなあ」と言っている。

修造は世界大会の技術を駆使してパンスペシオ風の一升パンを作っていた。
息子の為の力作だ。

ああ〜

大地!

もう一歳だ!早いなあ。

ずっとずっと可

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パン職人の修造118  江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

パン職人の修造118 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

「那須田シェフ!」

「開店おめでとう修造君」
急に憧れのシェフ那須田が現れて驚いた。

「ありがとうございます」

「そろそろキテると思ってね、やってみると色々大変なことばかりだろう?」

「はい」

「誰でも通る道なのさ。今日は手伝いに来たんだよ、以前手伝って貰ったお返しにね」

「その節は勉強になりました」

修造は今の職場の状態を話しながら仕事をして、那須田は慣れた手つきでクロワッサンの成

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パン職人の修造117  江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

パン職人の修造117 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

その頃

岡田と修造は事務所で話していた。

最近の岡田への信頼は著しい。

岡田は「こんなものを見つけました」と言ってマーケットプレイスの画面を見せた。

「このリボンをよく見てください、グリーンの」

「え?」なんだか見覚えのあるドリップバッグをガン見する。

「あ!うちのリボンじゃないか!このまま売るなんて雑な事するなあ」

「いい様にされてますね」

「だらしなくて恥ずかしいよ全く」

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パン職人の修造113 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

パン職人の修造113 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

「ぼくそんな事してないよ」

西森と大坂はその瞬間は見ていなかったが「そんなわけないだろう」
「絶対触ってないと、、、思うけどな」
と冷静に言っている。

立花は「その場所は狭い所なんだから今度からあなたも当たらないようにしなさいよ」と注意してきたので白栂は「セクハラ!」と捨てゼリフを江川に言ってまた作業に戻った。

江川は困って事務所にいた修造に相談した。

「僕触ってません」

「お前がそんな

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パン職人の修造112  江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

パン職人の修造112 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

「なあ、さっき揉め事があった?」修造は立花に小声で聞いた。

「はい実は、、」

そばで見ていた立花が和鍵の態度については教えてくれたが小声での会話まではわからないと言う。

「えーそれは傷つくなあ。悪いけど和鍵さん呼んできてくれる?」

立花に呼ばれて廊下に和鍵が出てきた。

「さっき江川に材料の量の事で注意されたんだろ?どんな話だったの?」

「はい、、すみません」

和鍵は修造には素直に謝っ

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パン職人の修造111 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

パン職人の修造111 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

パン職人の修造 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

このお話は全てフィクションです。実際の人物や団体とは一切関係ありません。

修造と江川は無事にリーベンアンドブロートをオープンさせた。

最寄りの笹目駅からは少し離れているが近くにバス停もあるし、車は駐車しやすい場所にある。

連日の大賑わいに修造と江川、そしてパン職人たちは皆自分のポジションで頑張っていた。

修造は2階

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パン職人の修造107 江川と修造シリーズ リーブロプレオープン

パン職人の修造107 江川と修造シリーズ リーブロプレオープン

さて、撮影が始まった。

マウンテン山田と桐田が駐車場の入り口から駐車場が広いとか花が咲いてて綺麗とか説明しながら建物に近づいて来る。

きっとスタジオではコメンテーターなんかが見ている画面に「パンの世界大会の覇者のお店リーベンアンドブロート」とか画面に大写しにされるのだろう。

マウンテン達がやっとこっちに辿り着いた。

修造と江川が入り口に立っている。

「はい!こちらが世界一の男!田所修造シ

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パン職人の修造106 江川と修造シリーズ リーブロプレオープン

パン職人の修造106 江川と修造シリーズ リーブロプレオープン

新しくお店を構える時

それが初めての時

様々なトラブルが起こる。

そしてそれは大抵お客様の目に入らない裏側で起こる。

あの古びた建物は塗り替えられ、壁紙も床も綺麗になった。棚もテーブルも椅子も、そしてレジ台も整った。

外にはまだ植えたばかりの花が咲いていてドイツ風のタイルと芝もカッコいい。

そんなパン屋

Bäckerei Leben und Brot(生活とパン)がとうとう出来上がっ

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パン職人の修造105 江川と修造シリーズ リーベンアンドブロートができるまで

パン職人の修造105 江川と修造シリーズ リーベンアンドブロートができるまで

3ヶ月の工事期間を経て、いよいよ工場で仕事出来る様になった。

プレオープンは1週間後。

パンロンドのみんなや鳥井シェフや大木シェフにも来てもらうことにして律子に招待状の葉書を書いて貰った。
「なにこれ!桐田美月って?本物の?来てくれるわけないじゃ無い!それに売れっ子お笑い芸人のマウンテン山田さんまで招待状出すの?厚かましい。それにこの住所あってるの?」

「江川が出してくれって言うんだよ。絶対

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