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#パン
パン職人の修造 江川と修造 初めに
パン職人の修造は、口数の少ない主人公の田所修造(たどころしゅうぞう)がパンにまつわる色々な出来事に出会うお話です。元は2021年3月に「パン屋のグロワール」のホームページのブログで始まりました。
九州から関東に出てきてパンロンドというパン屋に就職した田所修造は、妻の律子(りつこ)と緑(みどり)を日本に残してドイツにパンの修業に行き、26歳で日本に戻って2人と再会。またパンロンドの店主柚木(通称親
パン職人の修造55 江川と修造シリーズ honeycomb structure
ベッカライホルツでは修造、江川、鷲羽の3人が選考会のパンデコレ(飾りパン)の練習をしてしていた。
修造はブルーベリーで色付けした生地で修造の故郷の山に夏になると風にゆらゆら揺れる愛らしい『ヒゴダイ』という葱坊主によく似た花をモチーフにしている。
その後上品な夕顔や、ヒゴシオンなどの紫色の高山植物を次々に作っていった。
それを見た江川は修造の助手の座を鷲羽や他の選手に取られまいと執念の炎を燃やし
パン職人の修造52 江川と修造シリーズ Prepared for the rose
パン職人の修造52 江川と修造シリーズ Prepared for the rose
ベッカライホルツの事務所のデスクに肘をつき、大木は電話していた。
「あぁ、そう、あの二人ベークウェルに行ってたよ。社長が礼を言ってきた。鷲羽も顔つきが変わってきたな。いい経験になったんだろうよ。はいはい。そっちはどうなんだ佐々木の仕上がりは?そう。じゃあな」
俺も負けていられないな。選考会まであと少し、これか
パン職人の修造51 江川と修造シリーズ イーグルフエザー
「僕もちょっと良いですか?」江川も口を挟んだ。
「ほら成形してるところとバゲットを乗せる板が離れすぎてて運んで置いてると形が悪くなっちゃう。近くに置いてやればいいのになんでわざわざ遠くに置くのかちょっと思っちゃいました」
「作業する時にさ、同じ事を繰り返す瞬間があるんだよ。その時に手は動かして頭の中では次にする事どころかその日の行程をすでに考えておく、するとえーととか言って次に何するかその時に
パン職人の修造50 江川と修造シリーズ イーグルフエザー
大木が帰ろうとする鷲羽と江川を呼び止めた。
「お前達には修行も兼ねてベーカリーベークウェルのヘルプに行ってもらう、江川が次に空いてる日に鷲羽も行ってきて良い。江川、決まったらメールくれよ」
「はい」
帰りの電車で江川は修造に質問した。
「ヘルプってどんな事をすれば良いんですか?」
「そうだな。ベークウェルって5店舗ある町のパン屋さんなんだけど、そのお店がイベントとかしたら沢山のお客さんに