#散文
たとえば永遠に失われた花が
たとえば。
この国では永遠に失われた花が、遠い異国で、誰かの手で、芽吹くこともあるだろう。
地球で永遠に失われたものが、他の星にて生まれ落ちることもあるだろう。
わたしたちが永遠に失ってしまったものが、いつかどこかで、産声をあげることもあるだろう。
絶望はしたくない、と思って、そうしようと決めて。それから信じることにした(信じられなくなるときもあるけれど、また信じることができればそれでいい)。
little forest/名付けられないもの
雨あがりに小さな森へ行く。大きなキノコがたくさん生えていて、なかにはフェアリーリングのように円を描いているものたちもあった。赤い毒キノコは童話のように愛らしい。雨の中で妖精たちの宴があったのかもしれない、と楽しくなる。
足元に積もった木の葉や土は湿っている。踏みしめるたびに独特の匂いが立ちのぼってくる。豊かな森の匂いだ、と思う。
湖は高い水嵩を保っていて、いつもは露出している樹や草たちがいくつ
永遠と幸福、遠方へと向かう夏
古い温室に差し込む光の角度
夏という季節が
幾度となく刻み込まれ
わたしたちを調律していく
白い花ばかりを摘んだ
花冠を編む手指に
重なる誰かの
翼の影
東の洞窟の氷柱
ぎんいろの時雨
積乱雲に棲む竜
うすむらさきと
ぎんいろの空が暮れていって
そこかしこに永遠を見つける
だから
わたしたちの意志や想いも
受け継がれるだろう
わたしたちの国が滅び
わたしたちの信じる神々が消えてしまっても
ある信仰と、あなたの手に触れることについて
いろいろなことから影響されたのかもしれないが、急に特定の宗教がおそろしくなってしまい、なぜだろう、と考えてみた。数日かかってぽん、と出た答えは「わたしが今まで知らなかった、新しい誰かの手に触れることができたのかもしれない」という思いだった。わたしがあなたの手に触れることを、許してくれたこと。
それはとても、とてもうれしいことだ。涙が出るくらい。
「なぐさめ」というテーマを得て、誰かの恐怖や悲し