【発達障害】こんなときどうしたらいいの?#16~行事・イベントに参加できない~
はじめに
発達障害の子どもたちは、規則的な生活パターンを好むため、イレギュラーな行事やイベントが苦手です。そのため、林間学校や修学旅行に行きたがらなかったり、運動会に参加するのを嫌がったりすることがあるでしょう。また、音に敏感な子どもたちは、大きな音が鳴る運動会や遠足の集団行動が苦痛に感じることもあります。
親御さんが心配するのは当然のことです。行事に参加させても大丈夫か、一人で入浴や着替えができるのか、みんなからはぐれてしまうのではないかなど、不安はさまざまです。そこで、行事に向けた準備とサポートの方法について、いくつかのポイントをお伝えします。
1.事前の具体的な説明
行事の前には、例えば「10月10日の午前8時に学校に集合してバスに乗り、山のふもとのキャンプ場に向かう」「キャンプ場ではテントを張ってお昼ご飯を食べる」「午後にはハイキングをする」など、具体的にいつ、どこに行くのか、何をするのかを子どもに説明することが重要です。必要があれば学校の先生に詳細を確認し、紙に時間と予定を書いて、「8:00 学校に集合」「9:00 バスに乗る」「10:30 キャンプ場に到着」など、一つ一つ説明しましょう。
2.見通しを持たせるカードの活用
新しい場所に行くときや初めてのことをする際には、例えば「バスに乗る」「服を着替える」「お昼ご飯を食べる」「お風呂に入る」「歯を磨く」「新幹線に乗る」といった行程や手順を、絵や写真、言葉で表現したカードが役立ちます。「バスに乗る」カードや「新幹線に乗る」カードを見せることで、活動の流れを視覚的に示し、子どもに見通しを持たせることができます。子どもによっては、絵よりも実際の写真や文字が伝わりやすい場合もあるので、その子に合わせて、例えばバスの写真や「ご飯」の文字カードなどを選びましょう。
3.映像や写真の利用
行事の雰囲気や行く場所の様子を映像や写真で見せておくのも効果的です。例えば、運動会や学習発表会の場合、前年の様子をビデオ録画したものがあれば、それを子どもに見せて「これが去年の運動会の様子だよ」と具体的に伝えると良いでしょう。また、修学旅行や林間学校については、例えば「学校の先生が下見に行ったときに撮った宿泊施設や観光地の写真」を見せることで、「ここが泊まる場所だよ」と説明し、子どもに安心感を与えることができます。
4.無理をさせない
子どもがどうしても嫌がる場合は、無理に参加させるのではなく、お子さんの意思を尊重して無理をさせないようにしましょう。例えば、大きな音が苦手な子の場合、運動会では「かけっこだけ参加して、その後は教室で休む」といった方法が考えられます。修学旅行や林間学校についても、どうしても行きたくない場合は休ませることも選択肢の一つです。また、「初日は参加して、お昼過ぎに親が迎えに行く」という方法もあります。
5.先生との事前の話し合い
行事に参加させるかどうか悩んでいる場合は、事前に先生とよく話し合いをしておきましょう。修学旅行などの行事は子どもの成長や自信につながる大切な体験です。もし子どもが「行きたい」と言っている場合、親御さんの心配を解消する方法が見つかれば、ぜひ参加させたいものです。先生との話し合いでは、例えば「現地で迷子になった場合はどうするか」「夜に不安になったときの対応」など、行事の際に起こりうる状況をシミュレーションし、具体的な対処法を考えておくことが大切です。
6.宿泊時の対策
宿泊行事では、おねしょを心配する親御さんも多いでしょう。例えば、先生にお願いして「寝る前にトイレに誘導してもらう」ようにすることや、必要に応じておねしょを防ぐ薬を処方してもらうことが考えられます。かかりつけの医師に「修学旅行に行くので、おねしょ対策をしたい」と相談し、適切な対策を講じましょう。
7.安全対策
はぐれてしまうおそれがある場合は、例えば「先生が常にそばにいるようにする」「班行動でクラスメイトが必ず一緒にいるようにする」といった対応を決めておきましょう。具体的には、「移動中は常に先生が手をつないでおく」「班ごとにリーダーを決めて、その子が責任を持って見守る」といった方法が考えられます。
最後に
発達障害の子どもたちが行事に参加することで得られる成長と自信は計り知れません。親御さんのサポートと先生との連携をしっかりと行い、子どもたちが安心して行事に参加できるようにしましょう。無理をせず、一歩ずつ進んでいくことで、楽しい思い出と大きな成長を手に入れることができるはずです。