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古本屋になりたい:44「エルマーのぼうけん」
幼稚園や小学校の秋の遠足は、たいていみかん狩りだった。
子どもの足で歩いていける距離に、みかん山がいくつもある。みかん山はみかん農家の果樹園であり、観光農園を兼ねているところもある。
思い返すと、幼稚園に上がる前から、家族や、他の市から遊びに来たいとこたちや、近所の同年代の子どもたちと、何度もみかん狩りに行っていた。
みかん山は傾斜のきついところが多いから、はしゃぎ回ると危ない。こけて、
古本屋になりたい:43 高野悦子「二十歳の原点」
ミートソースを作るためにトマト缶を開けようとしたら、プルタブがちぎれてしまった。
玉ねぎもにんじんもみじん切りにした。ミンチ肉も解凍した。
時間は元に戻らない。
わたしの中のもうひとりが教えてくれる。
でもほら、缶切りで開ければ。
ところが、我が家には缶切りがない。
栓抜きもないが、キッチンバサミの合わせの部分が丸くギザギザになっていて、いつだったか麺つゆの瓶の蓋はこれで開けた
古本屋になりたい:35 続編が出ない
〈バス=ラグ〉シリーズの二作目はまだかな…と今でも実は待っている、という人はどれくらいいるのだろうか。
チャイナ・ミエヴィルの「ぺルディード・ストリート・ステーション 上・下」(ハヤカワ文庫SF 2012年)は、スチームパンクに、昆虫や鳥の飛翔のイメージを濃厚に絡めた長編小説だ。
文庫版の帯には、若島正氏の解説の抜粋がある。
作者の試みが成功しているとは、簡単に若島氏は書かない。