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夜の詩シリーズ

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2015年12月の記事一覧

夜の詩「特別な夜がきた」

夜の詩「特別な夜がきた」

月の輝く特別な夜がきた

プレゼントを買いに外へ出たら

街はいつもよりキラキラしていて

人はいつもより荷物をたくさん抱えてた

右手にはケーキの箱

左手にはプレゼントの紙袋

顔には嬉しそうな笑みが広がっていたよ

今日という特別な夜には

みんなの頭に大切な誰かの顔が浮かんでる

みんなの心に幸せを願う気持ちがあふれてる

まるで誰かが誰かを想う糸で 世界が繋がっているみたい

そんな風に

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夜の詩「バイバイ」

夜の詩「バイバイ」

中学校のグラウンドが 

オレンジ色の陽に染まってる

校舎の影がそこに伸びて

運動部の子らが走ってゆく

校門をくぐった帰り道

澄んだ空気を吸い込んだら

君の声が聞こえたよ

ファイト オー! と高らかに

吐く息しろく 空にのぼった

一緒になった帰り道

無言で離れて歩いた夕暮れ

君はずっと うつむきかげんで

あの時 なにを思っていたの

バイバイが言えなかった私は

記憶のなかで

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夜の詩「旅路の置き手紙」

夜の詩「旅路の置き手紙」

急に寒くなったねと

言う私に うなずく母の

目じりの皺が優しげだった

きっと いつまでも感謝するでしょう

あなたの子供でいられたこと

もう何もかも嫌になったと

言う私を 叱った父の

拳が固く握られていた

きっと いつまでも覚えているでしょう

あなたの力強い声を

きっと きっといつまでも

忘れることはありません

夜の詩「空と海と陸の、地続きのその果てに」

夜の詩「空と海と陸の、地続きのその果てに」

都会の夜が空を暗くする

ビルの隙間に ほんのわずか

見える星は一つか二つ

ぶ厚いスモッグの層にはばまれ

ああ もしも星の数だけ命があるなら

この場所からでは どうしたって

億千万の人々の 

燃える命の息づきが

そこに そうして在るだなんて

想像することができない

私たちはただ 日々に追われる

食うため 生きるため

体力と時間の限界を超えて

何かを求めずにいられぬその性(サ

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夜の詩「風が吹いていたよ」

夜の詩「風が吹いていたよ」

風が吹いていたよ 

乾いたガラス越しに見えたよ

ビルの谷間に 雨がカーテンのように揺れて

白い光のなかでそれは 海の底の砂みたいに

きらきら きらきら 輝いていた

こんな風に日常が

あっさり奇跡を起こしている

こちらが気づいても 気づいてなくても 

ただ そうするのが自然みたいに

ありのままの 美しい姿をして

風が吹いていたよ

乾いたガラス越しに見えたよ

それは ぼくを取り

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夜の詩「音」

夜の詩「音」

あの頃 カセットデッキの

再生ボタンを押せば 流れた

懐かしい音の響きが 

いまも胸の 奥で鳴っている

新しいうたを聴くたび

あの音の響きを 探すんだよ

だって あの頃に泣いて笑って

たくさん傷ついた思い出は

あの音の響きにだけ 

見いだせるものだから

たとえばこの先 何億光年の

時の彼方の どこか知らない土地で

懐かしいと思う そんな音に出会ったら

それはきっと 現在(

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夜の詩「外人さん」

夜の詩「外人さん」

外人さん 

あなたいつも 一人ぼっちで

青いブルゾン着て 迷彩柄のズボンはいて

駅をズカズカ歩いてゆく

グレーのキャップの下は金髪

最近じゃもう 珍しくもないけれど

青い瞳の外人さん

どこからきたのかな

どこへ帰るのかな

その歩幅が弾むぶんだけ

愛する人が待つところへ

そうだといいな

そうだといいな

夜の詩「図書館」

夜の詩「図書館」

図書館の静けさは 

放課後の教室の 埃っぽい匂いがする

僕はもう大人になったけど

甘酸っぱいような孤独を感じていたのは

あの頃も今も 同じみたいだ

学生服を着た君たちが手をふり合うだけで

そこだけがやけに眩しい

混ざりたいなんて思わないけど

ちょっと眺めるくらい 許してほしい

どうしてそんな風に思うのか

手にした本を読むフリをして

いま考えているところだから

夜の詩「夕焼け」

夜の詩「夕焼け」

本屋を出て スマホのシャッターを切った

大きく横たわる肋骨に 赤く血がにじんだような空だったから

あれは誰のものでもない空だ

両手で抱くことは決して叶わない

だから こんなにも狂おしい気持ちになるのか

触れられなくて当然のものを

ただ当然のごとく目にしただけで

だけど このぼくにしたって

誰のものでもないぼくだから

道端にころがる石と なにも違わないのだと

気づいて少し ほっと

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