無題5

夜の詩「風が吹いていたよ」


風が吹いていたよ 

乾いたガラス越しに見えたよ

ビルの谷間に 雨がカーテンのように揺れて

白い光のなかでそれは 海の底の砂みたいに

きらきら きらきら 輝いていた


こんな風に日常が

あっさり奇跡を起こしている

こちらが気づいても 気づいてなくても 

ただ そうするのが自然みたいに

ありのままの 美しい姿をして


風が吹いていたよ

乾いたガラス越しに見えたよ

それは ぼくを取り残して

一瞬のうちに通りすぎてゆくんだよ














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