無題

夜の詩「夕焼け」

本屋を出て スマホのシャッターを切った

大きく横たわる肋骨に 赤く血がにじんだような空だったから

あれは誰のものでもない空だ

両手で抱くことは決して叶わない

だから こんなにも狂おしい気持ちになるのか

触れられなくて当然のものを

ただ当然のごとく目にしただけで

だけど このぼくにしたって

誰のものでもないぼくだから

道端にころがる石と なにも違わないのだと

気づいて少し ほっとしたんだ


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