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#2 虎に翼より〜 スンっ族〜

今週の朝ドラ「虎に翼」で、久々に『スンっ』を聴いた。
それは虎子の口からではなく、虎子の亡き夫優三の声で。
戦地で自分が生きて帰ることが出来なかったらということを想定しての手紙の中に。
自分が死んだら、新しい幸せと生活をはじめてと願うと同時に、虎子や優未に対して「きみたちを『スンっ』とさせる人はダメだ」と綴っている。

虎に翼で、真っ先に私にヒットしたのが、この「スンっ」だ。

この「スンっ」は、言いたいことがあっても言わずに黙っている態度を指している。当時の男尊女卑社会の中で、女子は一歩ひいて逆らわずコトを荒立てずという価値観をよしとする当時の当たり前と、それに従属して生きざるを得ないのが当然という価値観のメタファーだと思っている。
そして、ドラマの中では、この「スンっ」に居心地の悪さや、自由な自己表現や自己主張を制限されている当時の女性の諦念をなぞらえているように思う。

しかし
この「スンっ」は、今もわりとけっこうアチコチで見かける。
…と私は思っている。
むしろ、意識的に行使される
「スンっ」
があると思っている。

こんな場面に遭遇したことはないだろうか?

何かの係や分担を決めなければならない時
しんと静まり返って皆一様に下を向く。
時間は刻々と過ぎていく。
このような集まりは
ある程度の時間が経つと、次のような流れで収束を迎えることが多い。
①進行役が痺れを切らして打診を始める
②沈黙に耐えられなくなった人が「◯◯だったら…」と手を挙げ始める
③気心の知れた人と一緒に役を引き受ける
④それでも決まらない場合は、新顔や若手など、組織の状況について、よくわからない人にしれっとまわす

という感じだ。
タチが悪いのは、年数の経過とともに
▪️スンっとすることで、回避する側
▪️スンっとできない(またはしきれない)回避ができない側

というように、いつの間にかカテゴリーが二分化される。
そして、係や分担が首をすげ替えただけで毎年同じメンバーで回すことになるというスパイラルに陥る。

組織が異動などで定期的に入れ替わりがあれば救いがあるが、メンバーほぼ固定だとか、入れ替わりが少数の場合はカオスだ。同じ人間が毎年何かしらの係や分担を引き受けることになる。

もうこれは「スンっ族の搾取」だ。
最初から人の時間や労力をアテにして、美味しいトコ取りをしようとする。(まあまあ美味しい話だよな)
スンっ族は、断る理由も準備している。(しかし同じ理由でも搾取される側はスルーされてしまうことがある。人によって違う謎ルール)
そして、スンっ族が搾取する側に必ずかける言葉がある。

〇〇さんなら、できるわよー
私は〇〇さんみたいにできないもーん無理だわー

そして、前後に
すてきー♡
すごいー♡
みたいは形容動詞や形容詞がつく。
言われた側はまったく嬉しくないし光栄でもない。裏メッセージにしか聞こえない。
褒めているのではなく、自分(自分たち)の代わりに役を引き受けてくれてラッキー、ありがとうという自分軸の感謝にしか聞こえない。

※ここで「それは裏を読み過ぎとか、悪意に取り過ぎ」と感じる方は、その尊い心と意欲のままに邁進してください。

スンっ族は、自分で汗は流したくないが、情報や資料は欲しい族。 
「つながりましょう」
「みんなの財産にしましょう」
みたいな言葉をスローガンか?というくらい頻繁に口にする。

スンっ族は、職場内ではどちらかといえば控えめで物腰柔らかな人が多い。よって敵も少ないというか、敵は作らないように立ち回ることができる族。なんで上司の覚えもめでたい。

稀に搾取村に収容された人間が、その状況を打開しようと提案をしようものなら、スンっの温度が急降下、無言の同調圧力となる。

今までうまくいってるんだから、余計なことは言わないでくれる?(面倒なところだけ担ってくれればいいんだから。黙っとけ)
すんっ族が「スンっ」を駆使して、相手を「スンっ」とさせようとする。

そんな組織の中で、円満に人と関わることの意味が見出せない私は、どちらかというと「はて?」族寄りなのかもしれない。

嫌われてもいい
悪評がたってもかまわない
と肚を括って
スンっ族に搾取されることから卒業した。


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