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かずきと俺の「海水浴へ行きましょう ベルトのついてる海パンで」

ぼくはジョーカーの感想を死ぬほど書いており、その中では見たばかりの映画を2度見ないという制約をぶっちぎってまでもう一度あのシーンは……!?と確かめるまで見てしまったぐらい見た。といいますか惹かれた。ヘッダ画像をお借りしています。

二度見ない例

そしたら小堺一機がぼくなんかより死ぬほど見ていた……いくら桁外れに年が離れた(年で人を観る行為についてなんて馬鹿らしいことなのだと普段から言っているのに言及してしまった。情けない限りだ)人だからって、いくらなんでもあのジョーカーを、そこまで見返す勇気がまずぼくにはないのだ。

と思ったらそうだった。一機は自身がコメディアンだった……

そして、恐ろしく映画好きだった……彼は地下にシアタールームを持っているのです。しかもかなり若くして造った。別にそれだけが理由ではないが、彼のラジオファンからは一流芸能人と揶揄されている。ので笑う。

一機にジョーカーが刺さらないわけないのです。しかもぼくが気が付かなかった、ロバート・デ・ニーロのうそくさ性にまでビシッと言及している……そりゃ生きてきた場数があまりにも違うからだろうが、恐れ入りすぎた。他人をいじるしか能がないカスがロバート・デ・ニーロ(の役回り)なのに、あわれ観客はその立場に平伏し、野郎のこぎたねえそれで笑ってしまっている……嘲笑しなければならないのに、だ。

いわばライオンのごきげんようでやっていたことが、まんまあの最後のデニーロがぶっ殺されるシーンにつながるわけだ。一機は一流芸能人と揶揄され、一流司会者と返したりする芸も持つ。もちろん巫山戯てだが、よく考えると一機ほど人を傷つけないで司会する人はいないのではないだろうか?それは一流司会者なのではないか?思えば浅井企画は……鈴木をはたく天野、中島中英をひっぱたくあの人ぐらいしか人を傷つける芸を持つ人はいないんじゃないか?なんなら萩本が人の心を折りに来るという部分で人を傷つけ異端まである。

メリケンのスタンドアップコメディに該当することを一機やラビ(もちろん一機のパートナーである関根勤のことである)は銀座NOWとかでやってきた(知らないので想像だ)そして黒子とグレ子となり、司会的立場にようやく収まった。つまりホアキン・フェニックスの立場も、ロバート・デ・ニーロの立場も経験した人なわけです。……ジョーカーが一機に刺さらないわけがない。

ぼくが一機を知った頃、なんて軽薄そうな人なのだろうと思っていたが違った。なんなら当該ロバート・デ・ニーロに見えていたが違った。断っておくがぼくはデニーロが微塵も嫌いなことはない。ジョーカーではぶっ殺されるべきだとは思ったが、デニーロの映画も死ぬほど見ているのは上記リンクでご理解いただけただろう。

果たして一機は軽薄ではなかった。昭和の頃、今からすると気違いみたいな倫理観の女優とか物語を書く人がお互いを嫌悪して本番中に罵り合いを始めていたらしい。手綱を握っているのは一機である。そんなことが日常茶飯事である。そんな修羅場を30年も駆け抜けた。ということを後からぼくは知った。……



この通りぼくはジョーカーの感想を死ぬほど書いた。ホアキン・フェニックスをジョーカーで嫌いにならないために(なる可能性に怯えていた)、ホアキン主役のカモンカモンまで見たという入れ込み具合である。今までそんなことしたことない。

ぼくは町の中の最底辺の雰囲気を生きる視点からホアキンのジョーカーを見てしまったけど、一機は自分がかつて置かれた状況を思い出しながら、つまりジョーカーを見ながら頭の中で過去の自分との対話篇を繰り広げながら13回も見に行ってしまったのではないだろうか。そしてぼくみたいに、どこで間違えなければそうならなかったんだろう?みたいな検証をしていたのであればより嬉しいが、別にそうじゃなかったとて全く構わないといいますか、別にぼくと一機の楽しみ方が違ってたらそれはそれで素晴らしいことである。

あの時こんなことがあったな、あの選択をミスってたら、関根勤と出会うこともなかったり、浅井企画にずっといることもなかったのかな、と。でもホアキンは地下鉄で撃ち殺した時点で、ゴッサムシティという特殊環境のあれを差し引いても人間界の法曹倫理には思いっきり"オワ"をやってしまっている。

といいますか、13回もホアキンが撃ち殺すところを観る胆力がある一機はたしかに事務所の人が言う通り怖いのかもしれない。ぼくはあそこは見れなかった。

デニーロを殺るところはまだいいんだけど、初回のあれを見、ブルース・ウェインのとこに行ったりその親父のまた別種のオワを見に行くところ、あれを13回も観るなんて……当時は映画館だったのだろうか?それにしても一機の心がすげえとしか言いようがない。

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