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はなしシリーズ

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日々思ったことやすきなことについて書いている、ふぁんとむのエッセイ集です。
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記事一覧

すすけたガラスのひかり―『エゴン・シーレ展』にて

すすけたガラスのひかり―『エゴン・シーレ展』にて

夜中、英語日記で感想を書いた『エゴン・シーレ展』。
(その英語日記の本編はこちら)
何故かその時はそのことを英語で書きたくなって、英語日記に記したけれど、やっぱりもう一回ふかくふかく書きたくて、この記事。

英語日記の本編にて、わたしはエゴン・シーレの絵(特に 年あたりの作品)に、『闇と光を感じた』と書いた。
絵の具を使ってキャンバスに描いている作品において、彼の筆使いというかタッチには色ムラがあ

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わたしにとって短歌をよむということ

わたしにとって短歌をよむということ

この間、プロフェッショナル~仕事の流儀~という番組の、俵万智さんが出演している回を見た。
わたしはとってもしがない短歌詠みで、しかも俵万智さんはわたしが短歌の世界にとびこむきっかけとなった人で、たまたまテレビをつけたらそれがやっていて、見るしかないと思って見た。
ことばをじっくりじっくり吟味してつむぎだす彼女の姿勢に、とっても心を打たれた。

でも、今日はその感想じゃなくて。
あの番組を見て、わた

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ことばを使うのは、こわい

ことばを使うのは、こわい

ことばは諸刃の剣。
本当にそうだと思う。

ことばを愛する者がこんなことを言うのはおかしいかもしれないけれど、
でもわたしは、ことばを使うことがこわい。

きっかけは、件の戦争だった。
ニュースで目にし、生死というものを、わたしは人生初めてはっきり身にしみて感じた。

それから考えるようになった。
今この赤信号の横断歩道を一歩踏み出せば、わたしは車に轢かれる。
今ここから真っ直ぐ歩けば、わたしはホ

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魚と電車の夢

魚と電車の夢

最近、夢日記をつけている。理由は様々だが、それはおいおい。
とにかく、その日記の中で頻繁に出てくるフレーズが、この「魚と電車」である。
どうにも、わたしはこの2つをよく夢に見るようだ。

まず魚の方は、大抵は泳いでいない。
だいたい死んでいる。

この間は、漁港のあのコンクリートの岸(フジツボがたくさんついているようなところ)から、大きな大きな魚の死骸を見下ろしていた。
魚だったんだろうか、あれ。

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「じんわりいとおしい」をはじめて知る

「じんわりいとおしい」をはじめて知る

愛おしい、という感情がこの世界にはある。
例えば小さな頃から持っているぬいぐるみを抱きしめた時。あるいは弟を可愛がる時。
愛おしい、という感情をわたしは知っていると思っていたけれど、「じんわりいとおしい」をこの間はじめて知った。

わたしの拠り所のひとつで、どきどきもくれるけれど、やっぱり一緒にいて安心する人がいる。その人とこの間はじめてハグをした。
ハグをした時肩ごしに、薄暗がりの中でまばゆく光

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友達と手紙を書く、交換する、いとおしさ

友達と手紙を書く、交換する、いとおしさ

一週間前のこと。ある友達が、文通をしている相手について話してくれた。
英語を学ぶ合宿?イベント?で出会った、ここからは遠い他県の友達。
普段はお互い、めったにLINEで連絡はとらないのだけれど、月イチほどの頻度で手紙を交換するのだそう。
「元気?」から始めて、最近あったことなどを書き、最後に「あなたと友達になれてよかった」と書く。
「本当に、大事な友達なんだぁ」と笑う彼女が、わたしは素敵だと思った

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「無機物の朝」で短歌が詠みたい

「無機物の朝」で短歌が詠みたい

最近学校で短歌の授業があって、ひとりひとつ短歌を詠んで提出することになった。
しがない短歌詠みであり、短歌を詠むのが好きなわたしは当然いっぱいはりきる。
一週間かけて、やっと今朝提出した。
身バレが怖いので提出したものは伏せるけれど、テーマとしては「冬の朝」、それからキーワードは「つめたい・寒い」「孤独」「ひとり」。

といっても重く苦しい孤独を描いたわけではない。
冬の朝は冷たくて、寒くて、白く

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わたしを穿て、さかな

わたしを穿て、さかな

何をしても短歌に入れがち。青を見るとかならず頭をよぎる。ふとしたときにおもうのは、いつだって「さかな」である。

さかな きみが泳ぐのが海ならば わたしは果たして海なのだろうか

さかな、と心の中で唱えると落ち着く。さかなの字面を見ると、安心する(特にひらがな)。
それはまるで、元いた場所に帰るかのような感覚に近い。
さかなはきっと、わたしにとっては、ひたすらに安寧の象徴なのだと思ったりする。

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曖昧な言葉で話してみたい、というはなし

曖昧な言葉で話してみたい、というはなし

お久しぶりです、ふぁんとむ―Funtomです。
しばらく私生活が忙しく、今さっき起きたばかりのような心地で眠りにつく日々が続いていました。やっとnoteを書けてうれしいです。
今日は『曖昧な言葉で話してみたい、というはなし』です。いつも以上に脈絡なく、がしがし書きなぐっています。

この間学校でなにか発表する機会があった時、友だちに「ふぁんとむの言葉は分かりやすくて、すっと入ってくるね」と褒めても

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欲しいと想うきもちが、一番きれいなんだよ、というはなし

欲しいと想うきもちが、一番きれいなんだよ、というはなし

穏やかな夜からこんにちは、Funtom―ふぁんとむです。
今日も思ったことを、とつとつと書きます。
今日は、『欲しいと想うきもちが、一番きれいなんだよ、というはなし』。

美術品を見たり、骨董品を見たり、ということが、ここ数年ですっかり好きになりました。
細かな意匠や作者の隠された遊び心、『ここが好き…!』と感じるポイントを見つけると、とても心が踊ります。
きゃー!わー!という喜びではなくて、しみ

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大人になるってどんなかなぁ、というはなし

大人になるってどんなかなぁ、というはなし

こんにちは、Funtom―ふぁんとむ、16歳です。
この間は成人の日でしたね。そして明日は、先輩たちが大学共通テストを受ける日。
来年は高校2年生、いよいよきっと、受験勉強も本格的にはじめなければいけません。今から少しずつ、はじめているつもりではありますが。

『大人になるってどんなかなぁ』。
進路についての話をされるたび、もう少しで18歳、大人なのだと、大学生になるのだと(本当になるかはわかりま

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よるとうみのはなし ―眠れない夜のエッセイ

よるとうみのはなし ―眠れない夜のエッセイ

こんにちは…いえ、こんばんは。Funtom―ふぁんとむです。

note初心者なので、どうしようなにしようと公式noteさんのアカウントを見て回っていたところ、『眠れない夜に』の企画を見つけました。

『夜』…。とっても好きな言葉です。
ただ、『夜』そのものは必ずしも大好きというわけでもありません。
幼い頃に見た恐ろしい夢、どこまでも暗い暗い時間…。昼間のうるささを離れてほっと一息つける時間である

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