【人間関係】ほめ殺して、無茶な要求をする――パワハラしてくる人の手口と対処法⑤
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
パワハラ、モラハラをしてくる人は、悪意ある人は意図的に、あるいは、彼らが積み重ねてきた経験を基に無意識的に、他者(こちら側)を支配する心理術を使ってくることは、このnoteでも「ストローマン論法」をはじめ4つの心理術を通じてお伝えしてきました。
今回は、パワハラしてくる人の手口⑤として、日本随一のコミュニケーショントレーナーとして1万人以上レクチャーしている司拓也さんが新刊『嫌われずに「言い返す」技術』の中で紹介しているパワハラ、モラハラで使われる心理術の1つ、「エンハンシング効果」について解説、その対処法を紹介している該当箇所を一部編集して公開します。
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ほめ殺して、無茶な要求をする──エンハンシング効果
エンハンシング効果とは、賞賛や感謝の言葉などの言語的報酬を与えることで、相手のやる気や協力意欲を喚起させる効果のことを指します。ひと言で言えば、「ほめ殺し」です。
このテクニックを利用する人々は、相手に好意を示した後、何らかの無茶な要求をすることがあります。これによって、言われた側は好意の返報性が働き、言い返せなくなり、断ることが困難になるのです。
ほめて、断りにくくする──悪用事例
◎会話事例1
◎会話事例2
エンハンシング効果を利用されると、相手に無理な要求をされても断りにくくなります。
私も過去、アルバイト時代に、業務をスムーズに遂行するために上司にいくつかの業務改善の提案をしたことがあります。
このように、アルバイト仲間全員の前で言われ、断りきれない状況の中で仕事を引き受けざるを得ない状況になったことがあります。
エンハンシング効果から身を守る方法──対処法
以下に、それぞれの状況で適切に断る方法の会話例を示します。
◎会話事例1の対処法
◎会話事例2の対処法
これらの例のように、断る際には感謝の意を示し、代替案を提案することで、協力的であることをアピールできます。
「バ畜」を生む根源
「エンハンシング効果」は、賞賛や感謝の言葉を通じて、人の行動や協力の意欲を高める現象です。一見するとポジティブなコミュニケーションのように見えますが、この方法が「ほめ殺し」として悪用されることもあります。
つまり、相手をほめたり感謝の意を示した後に、過度な要求を行なうことで、相手が断りにくい状況をつくり出すのです。この心理的なメカニズムは、人々の善意や報酬への期待を操ることが可能です。
このエンハンシング効果の負の側面は、「バ畜」という現象にも見られます。
これは、アルバイトに身を投じる若者たちが、会社や店舗のために自分の時間や労力を惜しまず捧げることを指します。「社畜」から派生した言葉です。
昨今、学生の間でこの傾向が広がっており、彼らは学業や私生活を犠牲にしてまで、仕事に追われる日々を送っています。
この「バ畜」状態の背後には、エンハンシング効果が巧みに使われていることが多いようです。
「君しかいない」「君がいないと仕事が回らない」
これらの言葉によって、彼らが使命感に燃え、自分自身を犠牲にするまでの労働を奨励するものです。その結果、彼らは自分が過労の淵に立たされているという現実を見失い、「必要とされる充実感」に酔いしれるわけです。
自尊心が低く、他人に認められることに飢えている人ほど、他者からの頼み事や賞賛に心を奪われがちです。彼らは、自分が価値ある存在であると感じ、時には自己の健康や幸福を脇に置き、その期待に応えようとします。
賞賛は人の心を揺さぶる「麻薬」のようなものです。
その効果は人を高揚させることができますが、誤用すると、人を操作し、搾取する道具ともなり得ます。このエンハンシング効果は、適切に利用すれば人のモチベーションを高める強力なツールですが、悪用すれば、人の自由や尊厳さえも奪う可能性があるのです。
私たち一人ひとりがその力を正しく理解し、人を尊重し、支え合う関係を築くことが不可欠です。
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いかがでしたか?
今回ご紹介した新刊『嫌われずに「言い返す」技術』の著者・司拓也さんは、日本で随一のコミュニケーショントレーナー。心理学をベースに、話し方、声の出し方を、1万人以上にレクチャーしています。
嫌われずに言い返す、著者オリジナルのメソッド「ポーカーボイス&トーク」の重要エッセンスを、多くの会話事例を交えながら徹底解説した新刊『嫌われずに「言い返す」技術』(司 拓也・著)は、おかげさまで発売1週間で重版出来、全国書店、ネット書店で発売中です。興味のある方はチェックしてみてください。
▼『嫌われずに「言い返す」技術』の「はじめに」「目次」はこちらで読めます。
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