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30日間の革命

100
毎日小説をアップしていき、100日間で1つの作品を作り上げます。
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#100日チャレンジ

30日間の革命 #毎日小説9日目

30日間の革命 #毎日小説9日目

 いつも通り、坂本は屋上のベンチにいた。そして、加賀は先ほどの話を坂本に話した。すると坂本はどこか納得したような穏やかな笑顔を見せた。

 「みんなが知らない一面か。森下君は大友先生の怖いだけじゃない一面を知っていたんだね。だからあそこまで頑張れるんだね」

 「どんな一面なんだろうな。めっちゃ気になるよ。でもさ、森下もそんなことで、あそこまで従順になれるんだから凄いよな」

 「ねえセト、人を動

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30日間の革命 #毎日小説10日目

30日間の革命 #毎日小説10日目

 森下は野球部の練習が終わり、グラウンド整備など全ての片付けが終わったあとも一人で自主トレをしていた。その自主トレが終わり、身支度をしている頃合いを見計らい、坂本と加賀は声をかけた。

 「森下君、お疲れ様!」

 坂本が声をかけると、森下は驚いた顔を見せた。二人は3年間違うクラスであったため、接点はなく、これが初めての会話となった。

 「え? お、お疲れ様」

 戸惑いながらも返事をした森下は

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30日間の革命 #毎日小説16日目

30日間の革命 #毎日小説16日目

 それからしばらく、加賀と手崎は対局を続けた。将棋はゲームで何度かやっており、少しくらいは善戦できるかと思っていた加賀だったが、結果は惨敗だった。

 「あれ? これってもしかして、もう詰んでる?」

 「はい。詰みですね」

 「さすが将棋同好会だね。やっぱ強いよ」

 「いえいえそんな。先輩が弱いだけですよ」

 「ははっ……。それはどうもすいませんね」

 加賀は、手崎の素直な言いぶりにはや

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30日間の革命 #毎日小説17日目

30日間の革命 #毎日小説17日目

 加賀は2組の教室を出たあと、そのまま1年の教室が並ぶ2階へと向かった。目的は、1年3組の馬場清史郎だった。加賀がピックアップした最後の人物である。馬場は1年生ながら、既に校内でも有名だった。いわゆる、完璧に近い存在であり、その見た目、成績、運動神経、全てにおいて校内でトップクラスだった。裏では”坂本小春の後継者”なんて呼ばれていたりもする。タイプの違うメンバーを揃えることを念頭に動いていたが、加

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30日間の革命 #毎日小説18日目

30日間の革命 #毎日小説18日目

 「単純にさ、革命軍とかどうかな?」

 「軍じゃないわよ。それに何かその名前、漫画で聞いたことあるよ」

 「そうだっけ? うーん。なんかカッコいいのがいいよね」

 「もちろんカッコよさも必要だけど、自分たちにピッタリくる感覚も大事だよ。カッコつけすぎて、名前負けしちゃってもダメだし」

 「じゃあ、主要メンバーの頭文字をとって、SKMか、KSYとか」

 「アイドルグループじゃないんだから。

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30日間の革命 #毎日小説19日目

30日間の革命 #毎日小説19日目

 情報処理部の部室は、もともとは備品室であり、3~4畳ほどの小さな部屋である。部室に入ると、神原以外に3名の情報処理部員がおり、パソコンでゲームをしているようだった。

 「ここに座ってください」

 神原は空いているイスに加賀を座らせて、自席へと戻っていった。

 「ありがとう。しかしきれいな部室だね」

 「そうですか? ありがとうございます。で、パソコンについて何を聞きたいんですか?」

 

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30日間の革命 #毎日小説24日目

30日間の革命 #毎日小説24日目

 そこには、見知らぬ顔の二人と加賀がいるだけだった。馬場の想定では、坂本もこの場にいるはずだったが、坂本の姿は見当たらない。そして、この二人は誰なんだ。そんな思いがけぬ事態に、馬場は少し混乱していた。

 「お、馬場君も来たね。それじゃ、始めよっか」

 加賀は、皆がそろったことを確認して話し始めた。

 「ちょっと待ってください。すいませんが、まずこちらのお二人はどなたですか?」

 馬場は話を

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30日間の革命 #毎日小説25日目

30日間の革命 #毎日小説25日目

 それから加賀は、神原たちに革命についての計画を全て打ち明けた。その話を聞きながら、手崎はあることに気が付いた。

 (そっか。加賀先輩が私に話しかけてくれたのは、この計画のためだったんだ)

 内心とても嬉しかった。地味で目立たない自分に声をかけてくれ、このとんでもない計画の仲間にも誘ってくれた。正直、革命については何も想像は出来ないが、これから加賀と一緒に何かをやれるということだけで、手崎は断

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30日間の革命 #毎日小説27日目

30日間の革命 #毎日小説27日目

 「今日は集まってくれてありがとう。みんな席に座っていいよ。ならさっそくだけど、今日集まってくれた新しいメンバーを紹介していくね」

 加賀がそう言うと、坂本は口をはさんだ。

 「せっかくなら、自分自身で自己紹介しようよ。セトが紹介するより、そっちの方がよりお互いのことを知れるでしょ」

 坂本の提案に、教室内の緊張感は更に高まった。

 「そ、そうだよね。なら、神原君からお願いしていい?」

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30日間の革命 #毎日小説28日目

30日間の革命 #毎日小説28日目

 「今度、他の生徒を集めて集会を行う予定なの。その集会に向けて、みんなには仕事をお願いすることになると思うから、よろしくね」

 他の生徒にも革命を浸透させるために、現在小規模での集会を計画中だった。森下がその集会に参加してくれる生徒を集めていた。

 「集会っていつやる予定ですか?」

 神原が坂本に問いかけた。

 「そうね。遅くとも、6月上旬にはやりたいと思ってる。集会に参加してくれる人の目

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30日間の革命 #毎日小説29日目

30日間の革命 #毎日小説29日目

 二日後、坂本の予想通り、馬場は10人の参加を取り付けたと報告にきた。

 「嘘ではありませんよ。LINEでのやり取りもちゃんと残っています。良かったら見ますか?」

 馬場は、自信たっぷりに加賀へスマートフォンを差し出した。

 「いや、遠慮しとくよ。誰も君のことを疑ってないから」

 加賀の表情が浮かないのは、馬場の成果を疑っていたのではなく、これから馬場とペアになっやっていくことに自信がなか

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30日間の革命 #毎日小説31日目

30日間の革命 #毎日小説31日目

 加賀以外、集まりの名称については初めて知ったが、一同の反応はまずまずだった。

 「いきなりだったけど、まずみんなに聞きたいのは、この名称を聞いて違和感を持った人はいる?」

 坂本は一堂に問いかけた。

 「白の会ね。かっこいいじゃん」

 加賀が答えた。そして、他のメンバーたちも、この坂本の案に賛同した。

 「白の会という名称については、違和感は感じません。なので、その意味を教えていただい

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30日間の革命 #毎日小説32日目

30日間の革命 #毎日小説32日目

 名称も決まり、6日に行う集会の準備を進めていった。坂本と手崎は集会の内容を考え、加賀、森下、馬場は当日の流れをや会場のセッティング、神原はホームページを制作していった。

 そうして準備を進め、集会前日を迎えた。最終的にちょうど30人が集会へ参加してくれることになった。会場は、第二視聴覚室で決まっていた。もちろん学校に”革命を起こすための集会をやる”なんてことは言えないので、加賀が事前に”文化祭

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30日間の革命 #毎日小説35日目

30日間の革命 #毎日小説35日目

 それから坂本は、革命の実行について少しだけ具体的な話をした。文化祭の日に、どのように何を行うつもりなのか。最初は少しざわついていた学生たちも、いつしか真剣に聞いていた。

 時折学生からの質問も受けながら、坂本は30分ほど話した。そして、最後に学生たちへこう呼びかけた。

 「私たちは”白の会”として、この活動を行っていきます。もし今日の話しを聞いて、興味を持ったら、このサイトにアクセスしてみて

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