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30日間の革命 #毎日小説28日目
「今度、他の生徒を集めて集会を行う予定なの。その集会に向けて、みんなには仕事をお願いすることになると思うから、よろしくね」
他の生徒にも革命を浸透させるために、現在小規模での集会を計画中だった。森下がその集会に参加してくれる生徒を集めていた。
「集会っていつやる予定ですか?」
神原が坂本に問いかけた。
「そうね。遅くとも、6月上旬にはやりたいと思ってる。集会に参加してくれる人の目途がついたら開催する予定よ」
さらに神原は坂本に質問をした。
「それで、仕事ってのは具体的には何をやればいいんですか?」
「うん。今のところ、神原君には告知用のホームページを作ってもらうつもり。そんな作り込まなくてもいいから、簡易的なもので」
「ホームページですか。まあ、簡易的なものなら数日あればできますが」
すると、馬場が会話に割ってはいるように坂本へ問いかけた。
「僕は何をやればいいですか? なんでもやりますよ」
坂本は笑顔で答えた。
「馬場君には、森下君と一緒に集会に参加してくれる人を集めてもらうつもり。1年生にも来てもらいたいからね」
「……それだけですか? もっと色々なこともできますよ」
馬場は少し不服そうに答えた。
「ええ。今のところはその仕事に専念してもらおうと思うわ。森下君の下について、しっかりと人数を集めてちょうだい」
坂本も、馬場が不服なのを察知していながらも、決して譲ることはなかった。
「あ、あの。私は何をやればいいですか?」
手崎も恐々、坂本に問いかけた。
「手崎さんは、私とセトと一緒に集会に向けた計画のお手伝いをしてらもうわ」
その答えに、馬場は更に盾を突いた。
「ちょっと待ってください。僕にもその仕事やらせてください。恐らく、こちらの先輩よりも僕の方が適任ですよ」
教室に再び張り詰めた空気が流れた。
「ちょっとちょっと馬場君。やる気があるのは良いことだけど、その言い方は手崎さんに失礼だろ」
加賀が間に入った。馬場は加賀を横目で見て、一瞬間を置いてから話はじめた。
「そうですね。確かに、今のは失礼でした。申し訳ございません。でも、僕も革命を起こしたいと強く思ってこの会に参加しました。なので、もう一度お考えいただけないでしょうか」
坂本は相変わらず、一切の表情や仕草を変えず、じっと馬場のことを見つめながら答えた。
「わかったわ。ただし、私のお願いした仕事もちゃんと実行してほしいの。だから、あと2日以内に10人、集会に参加してくれる人を集めてこられたら、こちらの計画に入ってもらうわ」
馬場は笑顔になって答えた。
「10人ですか。わかりました。僕もわがままだけ言ってちゃいけませんからね。そちらの仕事をしっかりとこなしてきますよ。では、さっそく声がけを始めたいので、集会の日時を決めていただいてもいいですか」
「そうね。なら、集会は6月6日の放課後にしましょう。森下君にも伝えておくわ」
こうして、最初の集会の日時が6月6日に決まった。
「わかりました。さっそく明日から参加者を集めます。そして、明後日の放課後にまた結果をお伝えにここに来ますので。それではお先に失礼します」
そう言い残し、馬場は教室を後にした。加賀は、馬場が去ったのを確認してから口を開いた。
「はぁー。何かごめんね。手崎さんも嫌な気分になったよね」
「い、いえ。彼の言っていることは正しいと思います。私なんかよりもやる気もあるし、リーダーシップもあるし。本当に適任だと思います」
「そんなことないよ。小春が手崎さんの方が適任だと思ったから、この仕事を任せたんだよ。そうだろ?」
加賀が坂本に問いかけた。
「そうね。現時点ではそうだと思ったわ。まあ、どちらにせよ、2日後を待ちましょう。その結果次第だわ」
少しだけまだ重たい雰囲気が教室内を包んでいた。
「しかし、とんでもないスタートになったな」
加賀がそうつぶやくと、坂本は笑顔で話した。
「あら、これがセトの選んだ道でしょ。まだまだこんなもんじゃ済まないと思うわよ」
坂本は、まるでこれから起こることが見えているかのようだった。
「あの様子じゃ2日後には10人集められそうね。最初は森下君に、馬場君のことお願いしようと思ってたけど、そうなったらセトが馬場君の面倒を見てね」
「お、俺が?」
「ええ、もちろん。次のセトの仕事は、後輩の教育ね」
「まじかよ……」
加賀は先行きが一気に不安になった。
▼30日間の革命 1日目~26日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!
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