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30日間の革命 #毎日小説31日目

 加賀以外、集まりの名称については初めて知ったが、一同の反応はまずまずだった。

 「いきなりだったけど、まずみんなに聞きたいのは、この名称を聞いて違和感を持った人はいる?」

 坂本は一堂に問いかけた。

 「白の会ね。かっこいいじゃん」

 加賀が答えた。そして、他のメンバーたちも、この坂本の案に賛同した。

 「白の会という名称については、違和感は感じません。なので、その意味を教えていただいてもよろしいでしょうか」

 神原が質問をした。

 「ありがとう。なら、白の会について話していくね」

 そうして、坂本は再び穏やかに話はじめた。

 「白の会は、その名の通り、何色にも染まらず白色でいたいっていう気持ちから、こう名付けたの。これから革命を起こそうって思ったとき、自分たちの意見が正しくて、他の人たちも自分たちと同じ意見に染めようって考えがちだと思う。私は、それが革命だとは思わない。あくまで、答えは自分の中にあって、それを自分で見出すことができてこそ、本当の意味での革命は成功すると思うの。私たち以外にも、歴史を振り返れば、様々な国や地域で革命が起こってきた。ここ日本もそう。そして、私たちと同じ、学生が革命を起こそうと立ち上がった時代もあったの。でも、その時は武力や暴力で革命を起こそうとする人たちが多かった。自分たちの力で、何とか世界を変えようと思ってた。逆に現代では、他人任せが基本になっていると感じるの。今、自分の周りで起こっていることに無関心でいる。もしくは、自分は関与しないけど、文句や批判はする。こういったことが当たり前になっていると思う。私は、どちらかの時代が正しいとは思わない。どちらも正解で、どちらも間違いだと思う。だから、私たちは白でいたいの。何かに染まるのではなく、自分たちで考えて、自分の中に答えを見出す。そして、私たちは、誰かを染める存在ではなく、一度、自分を白紙に戻すための存在でありたいの。生徒に主権を戻すということも、本質的には生徒が学校を支配することではなく、生徒一人ひとりが、今の状況を考えて、そして、行動を起こせることだと考えてる。そのために、私たちの活動で、みんなの心を一度白に戻して、考えさせる。だから、白の会にしようと思ったわ」

 坂本は2分ほどで、白の会についての説明を行った。短い時間ではあったが、力強く、そして芯のある話し方に、この場にいた全員が魅了された。

「いいじゃないですか、白の会。今のお話しを聞いて、ますますやる気が湧いてきましたよ」

 馬場が賛同した。

 「わ、私も凄い良いと思います。白になりたいです!」

 手崎は少し興奮した様子だった。

 「なるほど。それなら、私も賛同できます」

 神原も続いた。

 こうして、全員の賛同を得て、坂本を中心とする白の会が正式に発足した。


▼30日間の革命 1日目~30日目
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