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#間取り
住宅設計者の自分の家づくり 17 住んでみて 冬〜春編
年末に無事引っ越しを終えて最初の冬と春を過ごした感想をお伝えします。
温熱環境
メインの暖房は基礎蓄熱暖房で、下の写真のように基礎に張り巡らせたチューブ内を不凍液を循環させて基礎全体を温め蓄熱させるというものです。
熱源は電気でヒートポンプで温めるので熱効率はまあまあ良い方で、冬季は1日8時間稼働が推奨されています。
このシステムは10年以上前から新築の方には推奨していて、当時から評判は良
住宅設計者の自分の家づくり 16 植栽
この家を設計するにあたり、一番のコンセプトとしては「家のどこにいても庭木が見える」というもので、結果的にトイレだけは諦めましたが、それ以外はすべての居室から前庭か奥庭の樹木が見えるようになっています。
庭の面積としては全体で10平米弱ですが、敷地面積が75平米しかない中での精一杯の配分です。
前庭は西側の道路に面しているので午後からは日が当たりますが、玄関前は60cm程度の奥行きしかとれず、ス
住宅設計者の自分の家づくり 15 施工中(後編)
以前書きました、施工中(前編)の続きです。
構造部分がおおよそ完成し、下地と仕上げの施工に入ります。
屋根がかかり、内部に濡れる心配がなくなった段階であらわしで使う柱が入ってきました。
この柱はヒノキの芯去り材に手斧でランダムなナグリを入れたもので、京都の中基銘木さんに制作していただきました。
リビングダイニングとなる空間のほぼ中央に来る、棟木を支える大黒柱的な一本で、当初から角柱だとぶつ
住宅設計者の自分の家づくり 13 階段への偏愛
今回は書くことが多すぎて整理がつかずブログ掲載時には書いていなかった階段についてです。
階段というのは、おそらく多くの設計者にとって力が入ってしまう場所で、あまり力みすぎないように気をつけないといけないと思いつつあれやこれやと考え続けてしまうものです。
考えるポイントとしては、踏面と蹴上の寸法という基本的なところから始まり、階段を上り下りするときの目線や気分の変化、階段周りの空間との関係性や階
住宅設計者の自分の家づくり 12 施工中(前編)
実際の現場が2020年2月から始まりました。
地鎮祭の日の直前から高熱が出ていて起き上がるのままならず、自分の地鎮祭に出られないというやや先行き不安なスタートとなりました。
基礎の打設までは順調に進みましたが、さらに柱梁のプレカット工場でもコロナ患者がでたようで緊急事態宣言と相まって上棟が着々と遅れます。
型枠が外れてから、ひたすら基礎の養生期間となり、日が高くなり基礎断熱材の紫外線劣化も気
住宅設計者の自分の家づくり 11 自宅だからできる実験
これまで設計中に出たアイディアで提案を躊躇したものは少なからずあり、そうしたアイディアを試してみるには自邸というのは良い機会です。
躊躇した理由は
などで、別に無理してやらなくても良いかもような内容のものです。
とはいえ、視界に入る余計なものが一つでも減ると結構印象が変わるということもあり、「そこまでしてやる」意義があるかどうかを見極める実験として、今回の設計では
など採用しました。
順
住宅設計者の自分の家づくり 10 コロナ禍で住まいは変わるのか
(注:2020年8月時点での文ですが、おおよそそのまま掲載します)
家で長い時間を過ごす生活が定着しつつあります。
当然ながら、今回の設計期間は昨年で、現在のような事態になることは全く想定しておらず、着工後ながらもこのままで良いんだろうかということを考えたりします。
とはいえ、おそらく薬ができてしまえば以前とさほど変わらない生活に戻るようにも思え、あまり現状に引っ張られない方が良い気もしますが
住宅設計者の自分の家づくり 09 床は贅沢に
今回は床仕上げについて書きます。
床仕上げは住み始めてからの変更が大変なので、内装の仕上げを考えるときは最初に床のイメージから決めることが多いです。
住宅の場合、施主側に明確な希望がない場合はまずオークのフローリングで提案しますが、これはやはり価格がこなれていて性質的にカバーする範囲が広く色味的にも壁や天井で合わせる色や素材の選択肢が幅広いというのが大きな理由です。
杉、ヒノキ、桐、パインと
住宅設計者の自分の家づくり 08 照明計画
照明計画にあたり考えるべきポイントはざっくりと
の2つになると思います。
まず「どこを何のために照らすか」という点についてですが、部屋全体を均一に明るくしてしまうとどうしても学校や職場のような雰囲気になってしまいくつろぎの時間を過ごすのには向かず、普段からある程度室内に暗さを残す照明計画をしています。
必要な照度は人それぞれですが、今回はダイニングテーブル、キッチンの作業スペース、読書スペー
住宅設計者の自分の家づくり 07 住宅の性能
これまでの話は言ってしまえば好みの問題とも言えますが、性能となるとこれは良いに越したことはありません。
では住宅の性能とはなにか、となると、一般的な論として話しやすいのは住宅性能評価で表示される内容になると思われます。具体的にはの10項目になります。もちろん全ての項目において最低限の配慮は必要とはいえ、どの程度のレベルを目指すかは費用との折り合いもあり人それぞれです。
それでは、今回の計画につ
住宅設計者の自分の家づくり 06 窓
窓です。建築としての良し悪しの大部分が窓で決まってしまう、というか、そもそもどこを開けてどこを閉じるかというのが建築の根本であり、窓の計画に失敗すると残念なことになります。周囲が開けている場所だといろいろ想定しやすい(言い訳ができないという側面もありますが)ですが、今回のような住宅密集地だと周囲の環境の変化にも左右されやすく、今後どのような建物が建ち得るのかという事も含めて考える必要があり、一度決
もっとみる住宅設計者の自分の家づくり 05 天井高さと居心地
前回、平面的な決定プロセスを書きましたが、同時に高さ方向の検討も進めます。
平面計画というのはどちらかというと用途の整理という側面が大きいですが、高さの計画は居心地に大きく影響してきます。
一般的な天井高さの考え方
居室の天井高さは世の中的には2.3~2.4mになっていることが多いですが、個人的な感覚としては10畳以下の部屋(主に個室)については2.2m程度がちょうどよく感じます。
先人の
住宅設計者の自分の家づくり 04 平面が決まるまで
前回、少し唐突に最終の平面発表となりましたが今回は平面決定プロセスについてお話します。
事前準備
話は計画初期に戻りますが、普段の新築計画の場合と同様に初期に役所に隣地の建築概要書を見に行きました。
今回の収穫は、この時点では空き地だった南側隣地の概要書が既に出ており(=確認申請済みということ)施主や施工者の情報が得られました。驚いたことに、隣地の施主の住所が私の住所と同じ。一瞬変な夢でも見
住宅設計者の自分の家づくり 03 欲望と希望
前回、計画の外郭となる要件を洗い出し、簡単なスケッチまでたどり着きました。
ここで、もう少し詳細な要望を洗い出していきたいと思います。
仕上げ関係
設備、性能関係
生活面
設計者的な欲
細かいところではもっといろいろあるものの、おおよそこんな感じで紆余曲折しながら最終的にまとまったのが
こんな感じの平面です。(図面下が南)
各項目が最終的にどのように反映されたのかなどまた別の機会で