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毎日読書メモ

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ジェーン・スー『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(毎日読書メモ(487))

ジェーン・スー『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(毎日読書メモ(487))

殆どラジオを聴く習慣がないので、ジェーン・スーさんがどんな人なのか、あんまり知らない状態ではあったが、女性(に限らず人全般?)の生き方とかそういうことをちょっと考えて見たくなって、ジェーン・スー『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫)を読んでみた。

読み始めて、酒井順子『負け犬の遠吠え』を思い出したのだが(わたしの感想ここ)、作中で酒井さんについての言及もある。かつて、

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宮内悠介『かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖』(毎日読書メモ(462))

宮内悠介『かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖』(毎日読書メモ(462))

宮内悠介『かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖』(幻冬舎)を読んだ。主人公は木下杢太郎、舞台は明治末期の東京、耽美主義、ロマン主義的な作家や画家が集まって結成した「パンの会」の会合で、会員が見聞きした事件についてああでもないこうでもないと謎解きをする、安楽椅子探偵スタイルのミステリー。
木下杢太郎...名前は昔から知っているよ、何でだろう、と思ったら、たぶん、鈴木三重吉が主宰していた童話・童謡

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有川ひろ『イマジン?』(毎日読書メモ(453))

有川ひろ『イマジン?』(毎日読書メモ(453))

有川ひろ『イマジン?』(幻冬舎)読了。有川ひろの1ジャンルであるお仕事小説。今回のお仕事は映像制作会社。5つの章で、映画やテレビドラマの制作現場を描く。
主人公良井良助は、故郷の別府で、映画「ゴジラVSスペースゴジラ」に別府の風景が映ったのを見て、知っている光景が映画の舞台となる=自分と物語は繋がることが出来るのだ、ということに気づき、映像制作の現場を目指すようになる。福岡の映像専門学校を出て、東

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平安寿子『もっと、わたしを』(毎日読書メモ(394))

平安寿子『もっと、わたしを』(毎日読書メモ(394))

昨日、平安寿子の本の感想文を書いた後、それよりもう少し古い時期の日記を検索して、『もっと、わたしを』(幻冬舎、のち幻冬舎文庫)の感想を発見。

図書館から電話がかかってきても「○○様が2月24日にリクエストされました本が入りました」と言うだけで(自分が電話に出ても、留守電でも同様)、本のタイトルは言わない。2ヶ月前にリクエストしたのって何の本だっけな、と思いつつ図書館に行くと、平安寿子『もっと、わ

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桐野夏生『とめどなく囁く』(毎日読書メモ(377))

桐野夏生『とめどなく囁く』(毎日読書メモ(377))

書店の店頭で、文庫化されている桐野夏生『とめどなく囁く』(上下・幻冬舎文庫)を見かけて、あ、まだこの小説読んでないな、と思ったので単行本(幻冬舎)を借りてきて読んでみた。文庫を分冊して刊行するだけあって、2段組でぎっちり書かれた444ページ。

桐野夏生の作品、ディストピア的だったり、社会の底辺にいる人を飾りっけなく酷写したりしていて、読む前から息苦しい気持ちになることが多いが、この小説はちょっと

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毎日読書メモ(231)『たゆたえども沈まず』(原田マハ)

毎日読書メモ(231)『たゆたえども沈まず』(原田マハ)

父の本棚に、原田マハの本が沢山あったので、未読のものをぼちぼち読もうかな、と思っている。まずは『たゆたえども沈まず』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫)を読んでみた。フィンセント・ファン・ゴッホ、弟のテオドルス・ファン・ゴッホ、日本人美術商林忠正、林の仕事を手伝う加納重吉(シゲ・カノウ)、4人の物語。そして嗚呼、『リーチ先生』(集英社文庫)の亀乃介同様、加納重吉もまた、架空の人物なんだけれど、物語の中心に

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毎日読書メモ(175)『嫌われ松子の一生』(山田宗樹)

毎日読書メモ(175)『嫌われ松子の一生』(山田宗樹)

過去日記より。単行本の装丁の美しさで読んだ、ジャケ買い読書。

山田宗樹『嫌われ松子の一生』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫で上下巻)を読む。本屋の店頭で、本の表紙を見たときから気になっていた本だが(赤い鹿の子模様の千代紙の表紙で、なんだか心に残るのだ。それに「嫌われ」ってなんだよ、と、タイトルも面白い)、単行本で見たときも、最近文庫に落ちたときも、もう一歩のところで買えず、そうしたら図書館で発見したの

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毎日読書メモ(143)『ナオミとカナコ』(奥田英朗)

毎日読書メモ(143)『ナオミとカナコ』(奥田英朗)

奥田英朗『オリンピックの身代金』(講談社文庫)の感想書いたら(ここ)、人に勧められたので『ナオミとカナコ』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫)を読んでみた。これも動機の弱い犯罪(いや、弱いかは判断難しいが、犯罪を犯した後のメンタルが不思議な犯人たち)。ナオミのデパート外商の仕事の部分が面白かった。お仕事小説好き。そして、この監視社会をこんなに認識しないでこの人たちは生きているのかという驚き。Nシステムとか

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毎日読書メモ(118)『麦本三歩の好きなもの』(住野よる)

毎日読書メモ(118)『麦本三歩の好きなもの』(住野よる)

『君の膵臓をたべたい』『また、同じ夢を見ていた』と読んできて、とらえどころがないと感じてきた住野よる、今度は『麦本三歩の好きなもの』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫)を読んでみた。

大学で司書資格を取って、大学図書館の職員となって3年目位、一人暮らし、彼氏なしの麦本三歩の日々の暮らし。仕事で凡ミスをしては先輩たちに叱咤され、焦ると何を喋っても噛みまくる。ちょっと気を抜くと、転倒する。頼りなくて、見てい

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毎日読書メモ(87)『愛ふたたび』(渡辺淳一)

毎日読書メモ(87)『愛ふたたび』(渡辺淳一)

自分の過去の読書記録を調べていて、昔、日本経済新聞に渡辺淳一『愛の流刑地』が連載されていた頃、毎日、内容を突っ込むブログがあって、それを愛読していたことを思い出した。検索してみたら、にっけいしんぶん新聞、というブログは今でもあった! 「今日の愛ルケ」の初回ポストはこちら。出勤して、職場の日経新聞で「愛の流刑地」を読み、それからこのブログを見て、共に突っ込み共に笑っていた。なんでこんなに独りよがりで

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毎日読書メモ(75)『ワイルド・ソウル』(垣根涼介)

毎日読書メモ(75)『ワイルド・ソウル』(垣根涼介)

垣根涼介の本も一時はいっぱい読んだ。最初の頃は、こなれてない感じにちょっとイラっとしたりしたが、どんどんうまくなっていくのが手に取るようにわかって、次々と楽しく読み進めた。時代小説に進んだあとの本(『光秀の定理』や『信長の原理』など)はまだ読んでないので、これからの楽しみ。

『ワイルド・ソウル』(上下)は、幻冬舎の単行本(単行本時は1冊本、幻冬舎創立九周年記念特別作品だったらしい)で読み、その後

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毎日読書メモ(40)『七十歳死亡法案、可決』(垣谷美雨)

毎日読書メモ(40)『七十歳死亡法案、可決』(垣谷美雨)

垣谷美雨『七十歳死亡法案、可決』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫)。

『結婚相手は抽選で』同様、このままでは立ちゆかなくなる日本社会を改造するためのごむたいな法案に翻弄される人々の物語。七十歳になった人はみな安楽死しなくてはならない、という法律が2年後に施行されることとなり、既に70歳を超えている人、60代の人は余命のことを頭がいっぱいになり、若者は、雇用の現実に苦しみながら、風通しのよくなる未来につ

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毎日読書メモ(38)『人魚の眠る家』(東野圭吾)

毎日読書メモ(38)『人魚の眠る家』(東野圭吾)

東野圭吾『人魚の眠る家』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫)。単行本出たころに友達に借りて読みました。

東野圭吾はSF作家である。そして、異常に理知的で、理知的であるあまりエキセントリックになる主人公を描くのが好き。得意、とはちょっと違うな。だってすごく変に見えるもの。脳死は判定しなければ脳死でない。だとすれば、意識はなく、呼吸を続けている人は、生者なのか死者なのか。それを1冊かけて問い続ける。
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毎日読書メモ(19)『わたしの神様』(小島慶子)

毎日読書メモ(19)『わたしの神様』(小島慶子)

小島慶子『わたしの神様』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫)、本人の経験に基づいて書いたのだろうと思うが、すさまじき世界。

一気読み。美しさに才気と打算をミックスして生き残る女子アナたち、どんな神様に愛されて、どういうライフステージを上がっていくのが勝利なのか。主人公仁和まなみのやなやつぶりに、読者みんなに不幸になれ不幸になれ、と念じさせようと書いているのがわかる。そして、まなみ、アリサ、望美、それぞれ

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