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心のnote|エッセイ・創作

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「きっと、誰にも、聞こえない。」 そんな心をふと、垣間見る。
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2019年6月の記事一覧

シェアするということ、

シェアするということ、

共有。

それはあくまでどちらかに偏っていくもので。

合鍵に元鍵があるように、
包丁にも主導権があるわけで。

相対的なのだろう。

朝のお風呂が僕なのも、
夜の掃除がきみなのも。

あるときはこちら、
あるときはそちら。

だからこそ、心地いい。

曖昧な気遣いよりも、
ちょうどいい切り取り線が。

近くて遠い、
遠くて近い。

「どこからでも切れます」は
「どこからでも切れない」

「誰が悪いというわけではない」と言われる時点ですべてが窒息している。

「誰が悪いというわけではない」と言われる時点ですべてが窒息している。

それはまるで、
ただひたすら1本の登山道を行くが如く。

脇目も振らずに行く先は
呼吸を奪う高台で、
いただく前に、いただかれ。

きっと、みんな、夢がある。

道を選ぶとは、つまりはそういうことで。
何かを目指すから踏み出すわけで。

けれども、道は険しくて。

1人、1人と「オモイ」を捨てる。
「オモイ」は後ろに配られて、
歩みに痛みが増してゆく。

職場が澱み、濁り行き、
沈んだオモイが闇と

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ブロックは、積まなくていい。

ブロックは、積まなくていい。

突然、なんてない。

同じ時間に起き、同じ電車に乗って、
同じ会社に行く。

同じだけ残業して、同じだけ居眠り。
同じだけゲームに明け暮れて、
同じだけ寝不足のまま顔を洗う。

同じような日々を積む。
ただそれだけで変わるほど、
世界はせっかちじゃない。

ただ1つでいい。

1つだけ変えてみる。

朝の電車を1本早める。
夕食のメニューを1品変える。
いつもの飲み会を1回減らす。

なんだってい

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自由という不自由

自由という不自由

本当の意味で「好きにできる」人間が、
いったいこの世にどれほどいるのか。

もし、「僕は、私は、自由です!」
という人がいるならば、ぜひ話を聞いてみたい。

少なくとも、僕にはできない。

プライドのせいじゃなく、
お金のせいじゃなく。

無知のせい。

檻の中がすべての人に、
外の何がわかるだろう。

私ごとだが、一人暮らしならぬ、
3人暮らしを始めた。

困るのは、会話。

何を話せばいい?

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「なんでかわからない」のが一番怖い。

「なんでかわからない」のが一番怖い。

「最初から勉強。じゃなくていいんです。 
話し相手になってくださったら。」

家庭教師として行ったご家庭からの言葉。
受け持つ彼は不登校。

僕はコミュニケーションが苦手だ。

翌日から、授業を始めた。

「なんでかわからないんです。」

どこかマイナスの気を帯びていた。
けれども人間不信という感じでもない。

きっと、彼はゆでガエル。

ゆっくりと、しかし、着実に
心を蝕ばまれていく。

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方位磁針はいつも、

方位磁針はいつも、

去年の花火は綺麗だった。

きっと、もう見れない。
あのとき、あの一瞬の、花火。

そもそも前日に誘う有馬が悪い。

いくら手際の良い私だって
120km先の浴衣は取りに行けない。 

 おばあちゃんがいなければ
どうなったことか。

待ち合わせまであと5分。
ふっと風が吹いた。

「あ、すみません!」

ぼーっとしすぎだな。
どうも夏の暑さには弱い。

「いえ。」
という声とと

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水没。

水没。

 ふと顔を上げると、ポツリと頬を濡らす雫。降水確率はゼロ。
知らず識らずのうちに緩み、軋んだそれは、音もなく崩れ落ちた。

昨年の僕だ。

突然、周りの酸素が全て蒸発した。
震えて発信ボタンを押せない人差し指は、この世の何よりも速い。

胸を焦がすガスバーナーの、上ネジは硬く閉じたままで。

瞼を押しのけた先に映る夕飯の残りは、もうすでに亡くなっていて。
風を切る車輪はいつも右へ右へと流れていく。

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僕には気持ちが込めれない

僕には気持ちが込めれない

あるとき、サークル活動の一環で
伝言ゲームならぬ、伝顔ゲームをした。

教育大らしい、部室の一室。

地域の子どもたちと関わるだけあって
ユニークなゲームをいくつも知っている。

お題は「笑顔」

最初だからというのもあるし、
他のどの顔よりも楽しくないわけがない。
アイスブレイクにはもってこい、

のはずだった。

列の最後の子らの答える声に
不協和音が混じる。

「真顔」

誰しもが目を疑

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