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海獣の子供。


数週間前に買った海獣の子供。
繊細な描写と、この世界の捉え方が尊くて、大切に大切に読みたかった。
買って以来「今日読むのはもったいないな。」っていう感覚があって、ずっと手を出せなかった。

今朝、おきて、

「あ、読むなら今日だ。」

そんなふうにストンと落ちて、やっと、読むことができた。



*  *  *


外じゃ雨が降ったり止んだり、
弱かったりスコールだったり。


読んだらどうしても雨に濡れたくなって、玄関にタオルを置いて海まで出かけることにした。

琉花のように、まだ見ぬ世界をみたくなった。


雨が降ってる。
屋根があるところとないところ。
その境は、別世界のような感じがした。

傘も持たないふしぎな感覚を胸に感じながら、雨に打たれる。

街中には水たまりができてて、おもいっきり、足をいれてみる。
水たまりは、おもったより温かい。
というより、夏のコンクリは、こんなにも熱い。


足元にある空気と、肩にある空気の温度が違って、
「別の子なんだ。」なんてふとおもう。

梅雨の生暖かい空気に包まれながら、暖かい風が吹く。
次の瞬間に、冷たい風が腕をさらっていく。

空気も、風も、こんなにも違うなんて知らなかった。


一言で、外の空気なんて一括りにしちゃうけど、この世界にはいろんな場所で生まれた空気たちが
交差しあいながら生きているのかも知れない。



雨で濁った海は、いつもより騒がしかった。

空は一面どんよりくもってて、
明るい雲が太陽の位置を教えてくれた。



テトラポットに座って、
波と、波しぶきに打たれて、海を感じる。

この街に暮らしてもう10数年。

こんなふうに海に遊んでもらったのは初めて。


意識が深く深く潜りそうになると、
いつもより大きな波が来る。
波しぶきが顔にぶわぁーっとかかって、
強制的に意識は水面に浮上させられる。

いたずらされてるようにしか思えない。



「えっ?」

テトラポットに座りながら、声が漏れた。
一瞬のうちに、海面の紋様が変わってた。

さっきより鎖帷子みたいな感じだった。
楕円がいくつも連なってるような。



ときどき、「びくっ」とする。

海に浮かぶ流木が、
魚に食べられた空くんの腕や足に見えるから。



騒がしかった海が、一瞬で凪になった。

海が落ちついて、波がない。
音も、ぜんぜんしない。
サーファーが残念そうだ。
でも、休憩しながら焦らす波を待ってるよう。



波しぶきに打たれながら、雨に打たれるふしぎ。
頬をつたった雫は、ちょっとしょっぱい。

雨に打たれた海は、また紋様が変わる。

まっすぐ降ってくる雨のとき、
海はなんだか痛そう。無数の波紋が、
なんだか海に穴が開いていくように見える。

そんなふうに思ってたら、スコールになった。
横殴りの風と、大きな雨粒が波立たせる。

それはまるで、小さな魚が跳ねているようで、
とてもとても、楽しそうに見えた。


一気に、さむくなった。

雨に濡れた身体が、
冷たい風に吹かれて震える。

いたずらっ子の神様にいっぱい遊んでもらったから、
今日はもう帰ろっと。


浜辺から出ようと思った瞬間、陽が射した。

水に濡れて、風に吹かれて冷えた身体が
ぽかぽかしてきて。

「えだちゃんで遊びすぎちゃった。
 あったまっていってよ。」

いたずらっ子の神様にそんなことを言われた気がして、
お言葉に甘えて浜辺のベンチでもう一休み。

いつの間にか、
僕の正面に広がる空と上空には、
ひとつの雲もなかった。

右をみれば、雲の隙間から漏れ出た日の光が木漏れ日のようで、後光のようになってた。

左をみれば、虹がかかってた。

正面をみれば、
今日一番で青々とした海がどこまでも広がっていた。



「あ、これから先、なにがあっても
 これだけ知っていれば大丈夫だ。
 なにがあっても、やっていける。」


そんなふうに、思わせてくれた。



*  *  *


あんまり、神様は信じていない。
引き寄せとか、スピリチュアルなことも。

でも、否定はしてない。

今日みたいなことがあるから。


僕のおもう神様って、何でもできる絶対神じゃなくて。

どちらかというと、
妖精みたいで、いたずらっ子。



ビジネスとか人間関係とか、生きるとか、
すごくちっぽけに感じる。

というより、海や地球にも意志があって、
人間はそのシステムのひとつに過ぎない気がする。


海獣の子供で、
アングラードが呟いたセリフがある。

「あー…
 琉花死んじゃったかなあ…
 生きてたら面白いなあ。」


命がぞんざいに扱われてて、
ちっぽけで、
でも、そこに悪意も善意もまったく感じない。


* * *


何を感じて、それをどう表現するか。
海や空や宇宙や、
人のなかにある宇宙や、
過去と現在と未来の連鎖のなかに
身を任せれば、もうだいじょうぶ。



これから3ヵ月のテーマがきまった。


感性の世界を広げること、
自分の宇宙をファッションで表現すること。


うん、やっぱりもう、
だいじょうぶだ。


2020年7月26日
しっぱいノート176日目
えだちゃん。

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