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3分で読めるストーリー

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大人向けの短いストーリーを書き溜めていきたいと思います。
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#ショートショート

「コトリ」

「お客さん、おめでとうございます! あなたが選ばれた方です!」

 アケミがたまたまスーパーへ行くと、入店10万人目だとかではっぴを着た男性店員に呼び止められた。ハンドベルの音と共に、記念品のオレンジをひとつもらうことになった。

 持った感じはなんの変哲もないオレンジだ。みかんよりちょっと大きくて、ずっしりしている。

「ありがとうございます。品種はなんでしょうか」

 アケミが聞くと、店員はニ

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ある愛のはなし

 魔女がいるという、古いちいさな国のちいさな城に、ある王さまがいた。王さまはお妃さまとくらしていたが、もともと体が弱いお妃さまで、なかなか跡継ぎに恵まれなかった。そんなことから、王さまは焦りもあり、浮気心を抑えることができなくなっていた。
 一方、お妃さまは国を統べる者がいなければならないことはよくよくわかっていた。王さまの葛藤を知ってかしらずか、その後、お妃さまは自分のいのちと引き換えに待望の王

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天体をめぐる3つの短いストーリー

 第一夜、チョコとチョコを作る時の煙の話

ある日、煙男がバーに入ると「お前はダメだ」とマスターに入店を拒否された「なぜぼくはダメなので?」押し問答が続いたが、実はその隙に煙男とマスターとの間を しなる身体で進み行く者がいた 黒猫だった。

マスターは応える代わりにミントのチョコを二つ三つ煙男に渡して追い払うと ドアをパタンと閉めてしまった 煙男はくさくさした気分でチョコを一気に頬張った

すると

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もぐらとことり

もぐらとことり

 ある大きな街に、もぐらくんと小鳥さんが住んでいました。二人は毎朝あいさつをするのが日課です。

 小鳥さんはいつも、大きな大きな鳥の話を聞かせます。
 もぐらくんも毎日、それはそれは大きなもぐらの話を聞かせます。
 話が終わると、もぐらくんは地下へ、小鳥さんは公園の木へとんで行きました。

 あるとき、小鳥さんは大きな鳥について行こうと思いました。
 ごおお……と大きな鳥は勢いよくやってきました

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蝶の背中

蝶の背中

 八重の住む家は、だいたい十五家族ずつでひとかたまりになって山にいくつか点在しているような村の、比較的町といえるほうに近い麓付近にあった。八重は十になったばかりだったが家がなかなかに貧しいため、よく両親や近所の人の手伝いをして家計を助けていた。八重に兄弟はいなかったが、手伝いとしてすることの多くは八重よりもさらに小さな子のおもりだった。最初から八重には子どもの扱い方が本能で分かっていた。だから泣い

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じゃん憲法

じゃん憲法

「えー、本日お集まりくださった方々、まことに、まことに、ありがとうございます。皆さまはなんとも幸運な方々であります。なぜなら、本日、この国が新しく生まれ変わる瞬間を目にするのです。今まで長らく王の途絶えていた国ですが、本日この中の誰かが王に選ばれ、そして、そして! さらによい国へと躍進してゆくのです! 遅くなりましたが、わたくし本日の司会を勤めさせていただきます、カレイ・ノ・ニツケと申します。よろ

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風の劇場

風の劇場

ぼくが窓を開けました。すると、そこは野原ではなく、小さな暗い部屋があるのみでした。

「どこへいってしまったんだろう、あの花の咲く野原は」

ぼくはひとりごとを言いました。そこにあったはずのみどりいろのやわらかい草でおいしげったやさしい野原が、窓の外にあるのが、いつもの景色だったのですから。

そのとき、窓の向こうにあらわれた暗い部屋に、ぽっと灯りがともりました。よく見てみると、ちいさい舞台にビロ

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おとぎの国

おとぎの国

 ある国のある森のおくに、古びた塔がたっていました。近くの村の人びとは、その塔には花のようにかわいいお姫さまがとらわれているだとか、魔女が薬を作っているだとか、好き好きにうわさしあっていました。しかし、その塔にのぼって真実をたしかめた者はだれ一人としていませんでした。

 あるとき、その村に、都会からきょうだいがひっこしてきました。お父さん、お母さん、それからお姉さんのアナベル、弟のサンベルの四人

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野原のちいさな物語り

野原のちいさな物語り

 広大な野原に、十字の形をした墓標が、何千、何百と立ち並んでおりました。墓標といってもそれは立派なものではなく、もともと海辺に流れついた流木であったり、壊れた船の柱であったりしました。しかし年月が経つにつれ、雨風に傷んで弱く、もろくなってゆきました。

 春のことです。
 ひとつの白い木でできた墓標の前に、舞い降りてきたものがありました。それは、花が咲き乱れる野原を夢見ていた綿毛です。白い半透明の

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真夜なかの天使

真夜なかの天使

「あたしの羽根が欲しいの?」

 雪沢のまっすぐな瞳がぼくを射抜いた。夜の教室は月明かりだけがぼくらを照らし出していて、まるで舞台の終焉のようだった。雪沢は上半身はだかで、大きくない胸をさらしているのにはずかしがるようすはない。下はプリーツのスカートで細い膝をのぞかせている。肌は白いがところどころ日に焼けたように赤くなっていて少し痛そうだった。それが、透明な青い光に透けて幻想的にも見えていた。もっ

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重い

重い

 わたしの目に映らなくなってしまったものがあった。わたしはそれがとても好きだったので大切に、大切にしてきたしたくさん愛情を注いでいつも声を掛け見つめ、とにかく、それはそれは大事にしてきたのである。

 それが見えなくなってしまった。
 それはいつでもそこにあった。わたしの隣にあって、なにかと役立っていたような気もするしわたしをひどく疲弊させるものであった気もする。それでも心から大事に思っていた。

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ひとりで歌うおんなのこ

ひとりで歌うおんなのこ

朝の静けさに包まれた町の、そこかしこが穴ぼこの石の円形劇場で、女の子は歌っていました。雲が流れてきて、たずねます。
「どうして誰もいないのに歌っているんだい」
「歌いたいからよ」
女の子は笑って言いました。

「ひとりでさみしくないのかい」
「こうして、あなたみたいに声をかけてくれる人がいるもの、さみしくないわ。あなたもひとりなのね?」
女の子がそう聞くと、雲はばかにしたように笑って言いました。

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いたずら猫共

いたずら猫共

 実樹の悩みは、顔にたったひとつある、大きなにきびでした。

十四歳になるころに右の頬にできたにきびは、十五歳を迎えた今日まで、ゆっくりと確実に育っていて、だんだん目立つようになってしまいました。気になって気になってついつい触ってしまうのでばい菌が入っているのかもしれません。

お母さんはよく実樹を見て、「あんた、触るからひどくなるのよ」と言っていました。そしてこうも言いました。「じきに治るわ。若

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男のゆくえ

男のゆくえ

 アニーズ通りは、灰色の石畳で埋め尽くされた灰色の町の、一番貧しいはずれにある。そこの街灯も人々も、不安な様子に満ちている。冷たい緑色の光を放つ街灯は、いつもアニーズ通りを一定の間を空けてぼちぼちと並んでいた。
 しかしその晩は少しだけ違った。ある一本の街灯の下に、さらに冷たいものがあった。

 男はその朝、朝から吐き気と頭痛に震えが止まらなかった。それというのも、昨夜は飲んだくれてしまい、飲み屋

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